第一話『種』
悪の華 第1章 『種』
「ボスゥ〜はやくはやく〜」遠くから可愛らしい女性の声が聴こえる。
「MYBOSS、皆さんお待ちしていますよ?」落ち着きのある男性の声が聴こえる。
「おい何をボサっとしてんだ?はよ行くぞ」低くて渋い男性の声が聴こえる。
「あぁ、行くぞお前ら」
これはまだ大人が教科魔法、通称『ラードマギック』を使える様になってから暫くしての物語。
そして一人の男が裏社会のボスへとなるまでの物語。
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?side
ピピッピピッピピッピガチャン
6:45 いつもどうりの何も変わらない朝、
俺の名前は『
普通一般的な49歳の人間だ、職業はとある生物研究所で働らく研究員。
はぁ…部屋の中独りで誰がいる訳でもないのにまるで自己紹介みたいな事を考える辺り俺も結構ヤバいんだろうな。
そんなの事を考えながらテレビのリモコンに手を伸ばす、部屋はアパートの一室1DKの借家、今の御時世にしては古臭い部屋だ。
テレビを付けるとニュースが流れる。
世界は今戦争や革命での大不況時代を何とか終わろうとしているみたいだ。
ニュースから流れて来る情報を右から左に流しながら俺は食パンに手を伸ばす。
そのまま食パンをトースターにセットし、タイマーを入れ、コーヒーを入れる準備をする。
コーヒーを入れ終わってちょうどコップに入れた辺りでチンッ トースターでパンが焼き上がる
それをコーヒーで流し込みながら、ニュースに集中する。
「へぇ〜…すげぇな…」
ニュースには世界で最年少にして、初の光学迷彩の気体化に成功した、女性がテレビに出ている。
まだ19歳だそうだ。
光学迷彩と言えば前の戦争にて猛威を奮った道具の一つである、ただマント型にした為、風とかでマントが舞ってしまうとか言う下らない弱点があったそうだが、その戦争で猛威を奮った物は他にもある、その代表例としては2350年以降現れた化け物『カンナ』それの唯一の対抗策である、
教科魔法『ラードマギック』と呼ばれる魔法である。
昔は『奇跡』だとか『災害』とか言われて、差別されていたみたいだが、この前の革命によりその差別問題も無くなり、大人でも使える様になったとか、まぁ俺みたいな一般人にとっては関係の無い事だが、パンもコーヒーも無くなった所で、食器をシンクにおき、着替えと身支度を済ませて研究所に向かう。
都市部から少し離れた自然の溢れる所に務めている研究所がある。
「おはようございます」
仕事場について先に来ていた所長に挨拶をする。
所長はパッと見幼い幼女みたいな体型をしている、まぁそれは禁句なので言ったら、どうなるか…先輩が前に言ったら、その後たんこぶだらけで帰って来たからなぁ…
「あぁ、おはよう真堂君、いつも早いねぇ」
「まぁ、早起きは三文の徳って言いますしね」
「いい心構えじゃな」
「今日は何をするのですか?」
「今日はいつもやっておる解剖とかでは無くてのう、貴重なサンプルが来たのでな」
「貴重なサンプル?…なんて言う動物ですか?」
「………『カンナ』じゃ…」
「………え?」
この所長、遂に狂ったのか? なんて言ったんだ?カンナ?特別な動物どころか化け物じゃないか。
「…所長一体どこで……そんな物を」
「ちょっと上の方からのう…とはいえ腕の一部心配する事は無いだろう…お主も一緒にやるか?」
え?一緒にやるかだって確かに一人の研究員としては気になるが……
「……すみません…辞めときます」
「…そうかなら仕方ないのう…」
そう言い所長は振り返りとぼとぼ歩いていった
「…何か済まないことをしたなぁ」
俺も仕事の準備を始める。
今日はタコの腕の筋肉構造を詳しく見てみようっと。
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所長side
はぁ、まさか真堂君が断るなんてのう、あの子ならきっと一緒にやってくれると思ったんだがのう…
まぁほかのみんなは一緒にやってくれるみたいだから良しとするかのう、扉の前に来た。
ふぅ、この先に『カンナ』の腕がある。
この前の大戦で偶然手に入ったお宝中のお宝。
解剖室の中は病院のオペをする部屋の様にしておる、儂の趣味じゃ、ええじゃろ?
助手や他の研究員らは儂とカンナの腕を囲み見物する。
「よし、始めるぞ……メスを…」
助手の一人がメスを渡してくれた、普通カンナには刃物等は効かないのじゃが、こいつは別、何でも『技術』の魔法で作った特製のメスで儂の友達が作ってくれた逸品、そのメスでカンナの肉に切込みを入れる。
その瞬間、周りがザワつく。
「解剖中は静かにしなさい…」
「いえ、所長……カンナの腕が…腕が」
助手の一人がカンナの腕の付け根を指さす
そこにはカンナの腕の付け根がモゾモゾ動き…
そうまるで再生してるかのような……………は?
何故じゃ!?
この腕が飛ばされてからかなりたったはずじゃぞ!
その瞬間私の意識は無くなった。
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真堂side
もう定時の時刻を過ぎようとしている
おかしいな、他ならともかく所長は比較的、定時に帰る様な人だ。
嫌な予感がする、俺は解剖室へとダッシュする。
扉を開けるとそこには………
「所長……しょ、ちょう?」
本来なら青い筈の解剖室が真っ赤に染まっているのが目に映る、ほかの職員や助手さんは見当たらない、いや理解したくない。
壁には爪痕や肉片、白い布切れ、それらが”彼らの残骸”だと言うことに…
所長はまだ形が残っている、僅か一瞬だけ指先が動いた。
「所長!!、大丈夫ですか!」
「あぁ、真堂か、」
「何があったんですか!」
「あの腕が動き出してな……そんな事より」
「そんな事より…って大問題でしょう!」
「……これを……」
「…何ですかその注射器は…」
所長が血だらけの白衣の裏から何かを取り出した、形は注射器に似ているが、それにしては針がデカすぎる。
「…本当は…私が使おうとしたんだが…もうダメみたいだ…」
「…もうダメって……そんな…」
「これは『ラードマギック』の適合者にする為の道具じゃ…」
ラードマギックの適合器って最近の研究で出来た大人でもラード使いにする道具、何でこんなものを…それより!
「……色々押し付けてすまない……あとは頼ん…だ」
所長が倒れた、倒れた体からは赤い血が床に広がる。
「所長?所長!!」
「所長!!…あ、あ、ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
何でだよ……何であの人が死ななくちゃいけねぇんだよ…
自暴自棄になった俺は所長がくれた注射器を徐に自分の腕に突き刺し、薬みたいなのを流し込む。
「!?…ぁ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙!!」
その瞬間激痛が俺を襲う
そして意識が……遠のいて…行く。