ラードマギック 『悪の華』   作:Reigon

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第二話『芽』

真堂side

………ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙ あ、あ、あ? 意識が戻っていくのを感じる。

目を開けてみよう。

「………知らない天井だ…」

俺は今まで、何を……あっそうだ…所長が…死んで…それから所長から渡された注射器を打って…

「おや、お目覚めかい?」

突如、目の前がピカッと眩しくなる。

「うっ、誰です、ってかどこですか」

「質問は一人1回までだぜ?」

「ここはねぇ…警察署だよ」

「え?何故ですか!」

「この前の研究所での大量殺戮の罪でだ」

……は?何言ってんだこの人は…俺は殺戮だなんて…そんな事…

「そんな事なんてしてません!!」

「嘘つけぇ、あん時にぃ…あそこにいたのはてめぇだけなんだよ!」

思いっきり机を叩いて、黙らせようとしてきた…耳が痛い…

「俺じゃ無くて『カンナ』が!」

「何言ってんだ!あんな辺境の場所にカンナが現れるわけないだろうが!」

「辺境って、同じ都市部でしょうが!」

「うるさい!!兎に角てめぇは、犯罪者なんだ!罰はもう決まってるんだよ、諦めな!」

くっ、こいつ理不尽すぎる…

「てめぇの罰は、この都市から遠く離れた孤島にある監獄、『ブラックペンタゴン』と呼ばれる、第一級犯罪者達が集まる所だ。そこで余生を過ごしてもらう」

「おいお前らこいつを連れて行け」

警察の人が指示するとドアが開き二人の男性に連れてかれる。

二人の男性が囁きかけて来た

「残念だったな、上の人達から『カンナ』の解剖を知っている人達を消す様に頼まれてな」

「まぁ、運の悪い自分を恨めよ」

「……」

そのまま連れて行かれ船に乗せられついた…

周りには山で囲まれており岩肌が見え隠れしている、唯一の出入口も今来た浜辺のみ、昔習った鎌倉の地形を思い出される感じ…てか…それよりも…

「……でか……」

つい口からこぼしてしまうほどデカい監獄、一面ネズミ色のコンクリの壁、鉄格子がはめられていて風とうしが良さそうだ。監獄の門から誰かがこちらに歩いて来る。

「……よく来たなぁ!クズ共!」

「クズ共って俺一人ですよ?」

「う、うるせぇ!黙ってろ!」

あっこいつ脳筋だなとふと思ってしまった、このガッチガッチのムッキムキの筋肉黒服ダルマ男、なんでもこの監獄の監獄長で『体育』のラード使いだとか、

「ここがてめぇの部屋だ、特別に一人部屋にしてやった、感謝しな!」

こうして俺の監獄生活が始まった。

────────────────────────

朝4:00

起床、遅れてきた囚人は監獄長直々にムチで叩かれる、今日は5人だった、当たった所からは血が出ている。

その後は朝ご飯、囚人の食べる飯にしては思ったより良かった。

その後は10時まで自由時間、中には筋トレしたり本を読んだり寝ていたり、囚人達の好きなようにしている。

何か、先輩囚人達からいびられる様になった、辛い。

10:00

刑務作業、この日は畑仕事だった、その他にも布作り、監獄内の掃除

この監獄内の掃除が最もキツくこのバカでかい館内を隅から隅まで掃除するという内容、勿論壁もだ。足腰がやられるかと思った。

12:00 昼ご飯 美味しい。

1:00から夜の9:00までは刑務作業 よりによって長い午後の作業が掃除だった。

ノルマが出来ずに思いっきり殴られた、死にかけた。

夜10:00

夜ご飯、時より脱獄犯を晒したり、報告とかを言ったりしている。

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軽く日記を書いてみたが、バカ丸出しだな。

そう言えば最近、気になる事が起こるようになった、例えばドアを開く度にドアノブが指の形に凹む様になった。

……その度に監獄長に叩かれる、痛い。

何故か気になって図書室に向かってみた、途中で先輩にあっていびられた。

図書室は沢山の本が立ち並び、図書室と言うよりかは図書館の方が似合うくらいである。とりあえず適当に本棚を漁ってみる。

調べてるうちに…あの日の記憶が蘇ってくる。

『これは『ラードマギック』の適合者にする為の道具じゃ…』

そう言えば…俺はあの時に…あれを………もしかして…適合したのか?

ちょうど眼を向けた先にラードマギックについて書いた本を見つけた、ちょっと運が良いと思ってしまった。吸い込まれるかの様にその本に手を伸ばす。

「ふむふむ……なるほど」

この文献を見ると、どうやら俺は『対価』ってやつの効果を受けているみたい。

となると俺は何使いになるんだ? 学生時代は国語とか得意だったからなぁ。

ん?……この馬鹿力を使えばここから脱獄出来るんじゃ……こんな所でくたばったら天国にいる所長に申し訳がつかない。

そうとなれば準備だ……

────────────────────────

夜10:00

「お前らァ!よく聴けぇ!」

騒がしい食堂内を監獄長が黙らせる

「本日、この中から死刑に処される人間が決まった!」

食堂内が再びざわつき始める。

しかし、死刑だなんて、誰だよ、んな脱走レベルの問題を起こしたのは。

「名前は『真堂 雅紀』、よくやったなおめでとう!」

食堂内の全囚人が俺の方を向く。

いやいや、何でだよ、俺結構しっかり働いていた方だろう…確かに脱走しようとしてるけど。

「何で俺が死刑なんですか!」

「それはだな…上からの指示さ!」

また上からの指示、この上の奴らって誰だよ、こいつがいなけりゃ、俺も所長もみんなもこんな事にならずに済んだんだろうに…

「という訳で、真堂君とは今日でさよならだ、飯を食べ終わったら速やかに部屋に戻るように!」

今日中に脱走しなけりゃ、死ぬ、それは明確にハッキリ理解出来るぐらい確実、しかし自分が何使いなのかは知りたかったな。

ほかの囚人達が出ていく度に、

「お疲れさん〜w」

「じゃあ、また明日……って明日はもう居ないんだよねw」

とわざわざ肩に手を置いて煽ってくる、あぁ本当にこれでさよならだ。

飯を食べたら部屋に戻る。

自分の部屋は2階の隅っこ、天井がいちいちデカいので、鉄格子の外からの景色はかなり良い…ってこんな事はどうでもいいんだ。

とりあえずこの壁を壊して…その後はどうしよう。

あぁ鳥みたいに飛べたらなぁ…やわらか……んぇ?

顎をフサフサした物が撫でる。

つい、いつもの癖で顎を手で触って考えようとすると何故か手がフサフサする。

ふと自分の手を見ると、

「なんじゃこりゃーー!!!」

恐らく人生の中でもトップクラスにデカい声だったと我ながら思った…いやいやそれよりも…

自分の手どころか腕が鳥の翼の様になっている!?

もしかして…これが俺の魔法? えぇ〜…ちょっと残念、ビームとか出してみたかったのだが…これは…鳥になれるのか?

人間の腕をイメージすると元の自分の腕にメキメキと音をたてて変わる。

「よし、これなら…行けるかもしれない…」

思いっきり腕を振りかぶり、そして…殴る!

「よいしょっ!」

気持ちいいくらいの破壊音をたててコンクリの壁にクモの巣状にヒビが入る、あ、でも恐らく館内全体に響いただろう。

「これは…バレたな…」

まぁもういい、もう一発殴り、壁を粉砕、吹っ飛んだコンクリの壁だった一部は遠くに飛んで水切りみたいに跳ねて飛んでった。とても愉快爽快だ。

そして腕を鳥の翼にして、翔ぶ!

「うわぁ、私達ぃ風になってるー-?……うわぁぁぁぁ!」

この言葉を人生で1度くらいは言ってみたかったから嬉しい…はずだった。

今必至に腕を動かして、飛ぼうとしているけど、飛べないぃぃ!

落下中ふと走馬灯の様に脳に思い出が蘇る。

────────────────────────

『なぁ、真堂君よ』

『どうしたんですか?所長』

『あの今飛んでいる鳥達の骨はどうなっているか、分かるかのう?』

『はい!確か空洞状になっていて非常に軽く出来ているのですよね!』

『その通りじゃ、だからこそあの鳥達は翼を使って風に乗る事が出来るのじゃよ』

────────────────────────

………はっ!そうか骨が重いからか、だから飛べるのにこうやって落下してんだ、なら。

「…全身の骨が軽くなるイメージで…軽く軽く軽く…今です!」

全身が軽くなっていくのを感じる…地面に激突してしまいそうな、その瞬間、俺は思いっきり腕を動かして翔く!

激突するちょっと前、地面とスレスレの所で停止した。

そしてフワッと着地手や骨を元に戻す、こころなしか、さっきよりメキメキうるさい。

「ふぅ…ってこうしている場合じゃ…」

いつ監獄の職員やましてや監獄長が来るか、分からないから急がないと。

「止まれぇい!」

うわっ…一番会いたくないのにあった…運がないな、監獄長の直々のお出ましだよ。

「どこに行くつもりだァ!」

「すみませんが、こんな所でへばる訳には行かないんです!」

「てめぇの死は、絞首刑のつもりだったが…」

監獄長の体格がもりもりとでかくなっていく。

「今!ここで!俺が!殺す!」

何か嫌な予感がした為後ろにジャンプすると、先程まで居た場所に監獄長の拳がめり込んでいた。

「速っ!」

間違いなく分かるのはあれに当たったら死ぬという事だ、ハッキリ明確に理解できる。

しかしどうしたものか、こちらはあんなにも早くは動けないし、変身出来るのは鳥くらいしか。

チーターみたいに、早く動けたらなぁ…ってまた来た避けなきゃ!

「…さっきよりスピードが上がった?」

自分がいた所に拳が刺さる、すげぇ破壊音がしたな。

?…何を言ってるんだ?あの監獄長は、そんな速くは…ふと走ってみると…

「うぉ!速いッ」

自分で言うのもなんなんだが、かなり速くなっている、それこそチーター並に。

ん?…もしかして…さっきは…鳥、今はチーター…俺の魔法って…思った動物の能力を自分の身に宿すって事?

……強くね?試しにゴリラの腕をイメージするとメキメキと音をたてて形が変わって毛が生えてくる。

…ちょっと試してみよう。

「……ふぅ『実験開始』だ」

「何を言ってやg…グフゥア゙!」

監獄長が吹っ飛んでいく。何をしたかと言うと、チーターの足の速度でゴリラのパンチを当ててみたのだが、意外といける。

なら動物以外はどうなんだろうか。

「くっそ舐めんじゃねぇ!!」

思いっきり殴りかって来た監獄長に俺は…

「硬ってぇ!!」

生物界最硬度の殻を誇る『クロカタゾウムシ』と『カサガイ』の歯舌を全身に再現した、その結果、体が黒くてトゲトゲした殻に覆われた。

それを殴ってあの監獄長は拳を痛めたのだ、ざまぁねぇな。

もう1つ分かった事がある、複数の生き物を同時に再現すると『凄く疲れる』という事だ。

つまり…一気にキメなければいけないと言う事だ。

「さぁ、これで終わらせよう」

『クロカタゾウムシ』と『カサガイ』の歯舌の殻を拳のみにし、『ゴリラ』の腕と生物界唯一のマッハを超えるパンチを出せる『シャコ』の腕と全身が筋肉の『タコ』の腕を混ぜ合わせ、『チーター』と生物界の中でも唯一初速から最高速度を出せる『ゴキブリ』の足を創る。

「これで終わってたまるかぁ!!」

監獄長が先程よりも大きくなる…はぁ…的が大きくなるだけだと言うのに。

思いっきりダッシュして、殴る……殴る…殴る、殴る殴る殴る殴る殴る…

「オラァ!」

思いっきりアッパーカットして吹き飛ばす。岩肌に思いっきり激突し、煙が上がる。

それでもなお、立ち上がる、化け物かよ…確か『体育』の

ラード使い、自己修復でもついてるのか?

「貴様を出す訳には、出す訳にはいかんのだ!」

「善良なる市民を守る為、ここは地獄の大砦、ここが崩れてしまっては、いかんのだ!」

ふむ確かに真っ当な意見だ、でも…

「俺には目標がある、俺の大切な人を殺し、俺の人生を奪ったヤツらを…」

「しいてはこの腐った社会を直す為にも、俺はここから出ていく!」

「その邪魔をするのであれば……消えてもらう」

我ながら酷いセリフだ、まぁもう堕ちに堕ちた身、どこまでも行ってやろう。

俺は、監獄長にあゆみ、そして顔面に向け最大限の力を持って振り下ろした。

体が大きく跳ねた後監獄長は動かなくなった。

頭のあった位置には大きな赤い水溜まりが出来ている。

俺はなんも間違っていなかったのだ、これも必要な犠牲だったんだ。

俺は足速に海へかけていった。

────────────────────────

浜辺で今のは腰まで水に浸かっている

しかしどうやってここから出ていくこうか、魚類もいけるのだろうか。

まぁ貝類いけたし、それじゃ試しに魚類最速を誇る『バショウカジキ』を再現する、

すると疲れと共に体が大きく変わり小さくなる…あれ?

「…うわぁ、本物のカジキじゃん」

腰まで水に浸かっていて良かった、じゃなきゃピチピチ跳ねて行かないと行けないところだった。

満月が輝く夜空、俺は街に向かって泳いで行った。

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───────────────────

あれから何時間たったんだろうか、いくら泳ぎが慣れてないとしても時速110キロメートルだぞ!

いくら何でも遠過ぎる…

今は、どこかの街の浜辺でうつ伏せに寝そべっている、何やら遠くから女性の声が聴こえる。

「あっ、もしかして………じゃないかしら!、良かった無事だったのね!」

誰かが駆け寄ってくるのを感じる。

何か柔らかい物に包まれているのを感じる…とても落ち着くし、何より、お日様みたいな柔らかい匂いがする。

あの脱獄、闘い、泳ぎでの余りの疲れでまぶたが落ちて…いく…またこの終わり方か…

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