?side
「ん〜っ今日も疲れたぁ〜」
私の名前は『
……はぁ、誰も居ないのに、こんな事言い始めるなんて、私、かなり疲れているみたい……ね?
「誰かしら?」
砂浜で誰かがうつ伏せになっている、あのままじゃ風邪を引いてしまうじゃない。
「ん?、もしかして…真堂君じゃないかしら!良かった、無事だったのね!」
顔を少し向けた瞬間直ぐに分かったわ、なんせ私の友達がよく喋ってくれたり、写真を見せてくれたから。
直ぐに駆け寄って、抱いてみると…
「冷たい…ってビショビショじゃない!」
まるで泳いできたかのように、体が海水でビショビショになっている…って寝ちゃってるし…
ふふっ、可愛らしい寝顔ね、彼の境遇は耳にしている、とりあえず『あの場所』に、行かなくっちゃ…
「重っ…どうしようかしら……そうだ!」
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真堂side
…………はっ!、つい寝てしまった…ここはどこだろう。
「知らない天井だ…」
この展開は…前にもやったな、でも前と違うのは、天井には優しい色のライトがついていて、少し体を起こし、周りを見ると、どうやら自分は、ソファーに寝っ転がっていたらしい、部屋の間取りを見るに、リビングの様な感じだ、そして何より…
「いい匂い…」
本当に美味しそうな匂いが俺の鼻腔をくすぐる。
耳をすませると、遠くから声が聴こえてくる、女性の声だ。
「つ〜る〜まきまき♪つ〜る〜まきまき♪、ひいーてひいーて、トントントン♪」
……なんだこの…歌?は凄い音痴だな…でも優しい声だな…ん?こちらに気付いたのか、誰かがこっちにやって来た。
「~♪…あら〜起きたのね〜!、おはよう〜!」
凄い元気な人だな…白いワンピースを着た優しい薄緑色の髪を持った女性の人が、手にお盆を持ってこちらに歩いて来る。
「……えっと…おはようございます…あの〜ここは?」
「ここのことは、いいからとりあえず…」
グイッと目の前にお盆を突き出す。お盆の上には塩おにぎりと味噌汁、それらを近くのテーブルに乗せる。
「食べて…元気になってから…ね?」
くっ、上目遣いを…匂いは特に問題はないし…見た目もなんら変わりない。
大丈夫か…?
「それじゃぁ…いただきます……………!」
おにぎりをひとつ取って口に運ぶ……凄く美味しい…塩のバランスと米の甘みが程よい…正直言ってここまで美味しい、おにぎりは初めて…
これならお味噌汁もきっと……!?……
「ぶふっ!?」
「きゃっ」
何これマッズ!てか塩っぱ!おにぎりからの期待を見事に真正面から潰してくれた。
てか…それよりも…
「大丈夫ですか!…ってすみません!」
思いっきり顔に吹きかけてしまった、顔とか折角の洋服も台無しだ、怒ってるよな?
「……またかぁ」
「また…ってえ?」
「…むう…他の料理は出来るんだけど…お味噌汁だけはどうも上手くいかないのよねぇ…」
「なら…なぜ出したんですかぁ」
「今日こそ上手くいくと思ったんだけどなぁ」
そう言いながら吹き出してしまった味噌汁を近くのティシュで顔を拭く。
「ちょっと着替えてくるわね」
……まさかこんな味噌汁を食べる事になるとは…おにぎりは美味しいから良いけど………不味っ
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「ふぅ…ご馳走様でした」
「はい、お粗末さま」
「えっと…ご馳走になったんですけど…」
「…そういえば名前を聞いてなかったわね!」
まるで聞いてないな、てか知らずに俺を運んだの!?
「…えっと 真堂 雅俊って言います…」
「やっぱり、真堂君だったのね!私は弦巻 美沙希って言うの!」
ん?弦巻…………は?
弦巻って確かあの時にニュースに報道されていた…嘘やろ。
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『ニュースには世界で最年少にして、初の光学迷彩の気体化に成功した』
『女性がテレビに出ている。まだ19歳だそうだ』
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「えぇぇぇぇ!何でそんな凄い人が俺の事を!?」
「ふふっ、元気になったわね!」
「えっとそれはね、あなた海岸で倒れていたじゃない、それで気になって見ていたら、昔の友人が言っていた人にそっくりだったんだもの!」
「昔の友人?」
「…えっと貴方にとっては『所長』って言った方が分かりやすいかしら?」
え、所長ってそんな凄い人と友達だったの?
何で教えてくれなかったんだろ?
「所で貴方は?何歳かしら?」
唐突だな、えっと…
「えっと今は49歳ですね」
「…え?その見た目で?」
「お世辞ありがとうございます、でも事実なんで」
「え?いやでも、ちょっと鏡見る?」
何か急に失礼な事を言うな、この人。
弦巻さんは何処かに歩いていって暫くすると手鏡を持ってきた。
「……ほらっ」
「ありがとうございます……え?」
もう一度鏡を見る。
「え、は?、えっと、ん?」
…やっぱり魔法なんてある世界、面白いものがあるなぁ、まさか、二十歳に見える鏡だなんて、凝ったドッキリだなぁ。
「…ドッキリじゃないよ?」
読まれた…いやいやいくら何でもこれは無理があるって、と言いつつ頬を触ってみると…
ムニィ……こんな音は出なかったが本当にこんなくらいモチモチしてると言うか俺の二十代の時はこんなにモチモチしてなかったぞ!?
「ねぇ、真堂君?貴方もしかしてこんなの使わなかった?」
手鏡の方を夢中で見ていた俺に、弦巻さんがフリップを持って来た、フリップにはあの注射器が描かれていた。
「…えっと確かに使いましたが…それがどうかしましたか?」
「…やっぱりか、えっとこれがどう言ったものなのかは知ってる?」
「…えっと確か、大人をラード使いにする為の道具…ですよね?」
「うん、そこまでは確かに合ってるけどね…正確にはそれの『プロトタイプ』だね」
「『プロトタイプ』?ってつまり試作品ですか」
「うん、本来大人がラード使いになんかにはなれないの、でもある時に政府の中の人達がラード魔法を大人達でも使える様にしようと言うプロジェクトがあってね…」
「そんなのがあったんですか…」
「うん、結果だけ言うと、成功したんだけど、一つ問題が出てね…」
「問題ですか?」
「うん、副作用なんだけど『若返り』の効果があるの」
「『若返り』って全然いいじゃないですか!」
「いや、確かにそうなんだけど…何歳まで戻るのか分からないの…」
「つ、つまり…」
「とある大臣さんが飲んだんだけど…赤ちゃんまで戻っちゃって…」
「しかも、これ精神まで戻るから、記憶は残るんだけど…」
「えぇぇぇぇ!」
つまりあの時に俺は赤ちゃんまで戻る可能性があったって事になるんだよな、ちょっと血の気が引いていく感覚がハッキリと分かる。
「…いやそんなに引かないで…私もそれを使ったうちの一人だし…」
「…え?」
「…えっとつまり、本来のお歳は…」
「ちょっといくら何でもレディに歳を聞くのは失礼だよ!」
「…すみません…」
「まぁそれでその薬を作ったチームの一人が所長なの!」
あの所長、そんな大プロジェクトに参加していたんだ…
「んでね、そのあと、その副作用を無くすために試行錯誤して」
「結果は大成功、無事にその副作用を無くすことに成功したんだけど…」
「…だけど?」
「…普通の天然のラード使いよりも弱いんだよね」
まぁ、その副作用が無くなった代償としては、良いの…かな?
「ちなみに私のラードは『技術』、因みにこの前の気体化光学迷彩は魔法は使ってないからね?」
「いやいや、使っていてもなくても充分凄いですから!」
「はは、ありがとう、あなたのラードは?」
「えっと、理科?なのかな?…生物学です!」
「へぇ〜うちの子にもいるのよね!」
「そういえば…ここは?」
弦巻さんに質問をしようとした時、ガチャッと言う音と共に扉が開く。
「あっおかえり〜」
「ただいま帰りました、MyMother」
「もう、Motherなんて堅苦しい事いわない」
扉から出てきたのは黒人の外国人だ、服はまるで神父さんみたいだ…外国人にしては日本語が上手いな、ハーフなのかな?
「ん?MyMother、そちらの男性は?」
あっこちらに気付いたみたい。
「えっと、初めまして、真堂 雅俊って言います、よろしくお願いします」
「OK、真堂さんね、私は『モハメド・F・プッチ』と言います、よろしくお願いします」
握手をしてきた、結構見た目以上にがっしりとした体つきだ、着痩せするタイプかな?
「彼も、同じ副作用持ちのラード使いよ!」
「えぇ、理科、特に力学系に精通しています。」
「そうなんですか、自分も理科のラードなんですよ!…で、弦巻さん、ここは?一体何処なんですか?」
「そういえば、説明していなかったわね、ここはいわゆる『反社会的勢力』のうちのひとつ、社会に蔓延る、ゴミ達を綺麗にする為の組織よ!」
「名前を『カタルシス』っていうのよ!ここはその本部よ」
サラッとこの人笑顔で怖い事を言ったな…ゴミ達って…
「まぁ組織って言ってもまだたったの3人しか居ないのだけなのよね」
「MyMother、何で真堂さんをここに連れて来たのですか?」
確かにいくら友達がよく話していたとして、この組織の事まで話さなくてもいいのではないのか?
「それはね、プッチ君、この子もまた、同じ境遇にある人だからよ!」
「と、言いますと?」
「この子もまた社会に消されそうになった、うちの一人よ」
…え?…何で知ってるんだ?この人は…
「え?、弦巻さんそれを、何処で?」
「ふふっ、これでも私は世間的には国家も重宝する天才発明家よ?」
「裏の情報だって知らない事なんてないのよ」
そう胸を張って言う、弦巻さん。
なんでも知ってるってまたサラッと凄い事を言ったよこの人。
「…まぁ、MyMotherが言うのですから、そうなんでしょうね」
「そういえば『獣田』君は?」
「そういえば、遅いですねぇ…まだ仕事をやってるかと」
「そう…そういえば…」
弦巻さんが口を開くと同時に扉が乱暴に開けられる。
「…今帰った…」
「おかえり〜!」
「おかえりなさいませ、今日もお仕事お疲れ様です」
扉から出てきたのは黒い革ジャンを着て、無精髭を生やしたいかにもワルって感じの人だ。
そんな人に抱き着きにかかる弦巻さんを綺麗にかわし隣にドカッと座り込む。
かわされた弦巻さんはそのまま扉の外の地面に顔をぶつけた…痛そう。
「てめえが美沙希の言ってた、真堂って奴か?」
革ジャンの人が話しかけて来た
「あっはい、えっとお名前は?」
「俺か、俺は『
「そして、貴方と同じ副作用付きの薬の適合者よ!」
顔を撫でながら弦巻さんが説明してくれる。
「ふむ」
「な、なんですか?そんなにジロジロ見て」
獣田さんがこっちをジロジロ見てくる。
「なぁてめえ人を殺った事あるだろ」
……は?
「え?」
なんて言ったんだこの人?
「ちょっと厳曹さん?びっくりしてるじゃないですか」
プッチさんが獣田さんにツッコミを入れる。
「ん?あぁすまねぇ、つい、昔の癖でな」
「見て分かるもんなんですか?」
純粋な疑問だった、そんな見て人を殺った事があるかないかってのは分かるものなのだろうか。
「まぁ、昔から戦争とかを経験しているからな」
「あの戦争に参戦していたんですか!?」
「まぁな」
「しかもしかも、獣田君は、軍隊の隊長だったんだよ!」
弦巻さんが体を乗り出して説明してくれる、顔はまだ赤いままだ。
「いいんだよ昔の事は……それよりもなぁ」
「は、はい」
「てめぇはここに入る気はあるのか?」
確かに今まで流されっぱなしだったけど、1回もこの組織に入るなんて言ってはない。
あぁ…でも、弦巻さんがこっちをキラキラした目でめっちゃ見てくる。
まるで、『はいってくれるわよね!』って言ってるみたいだ、超断りずらい。
「おい、どうすんだ?入んのか?入らねぇのか?」
どうやらあまり迷って居られないみたいだ。
なら、俺の答えは……
「……入らせて頂きます」
「わぁ!良かったわ!」
弦巻さんが手を叩いて、さらに目をキラキラさせて喜んでくれた、ちょっと可愛いかも。
「ふふっ、どうぞよろしくお願いしますね?真堂さん」
ペコりと執事みたいにお辞儀をして、歓迎してくれたプッチさん。
「よしなら、『あれ』をしなくっちゃな」
何やら変な事を考えている気がしてならないが、歓迎してくれている獣田さん。
「『あれ』?」
みんな、俺の事を歓迎してくれているみたい…だけど、この瞬間、俺の全生命本能が嫌な事が起きると感知した。
「あぁ、この組織に入るに足りる力を持っているのか、この俺と勝負してもらう」
「ええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
こんなに強そうな人と戦うの!? 何!?俺に死ねと!?
「よし、早速準備をしよう、美沙希ぃ頼んだぜ」
「はぁーい」
くっ、やるっきゃない、頑張らなくちゃ…
こうして俺の人生の中でも最も過酷な戦いの火蓋が切って落とされた。