真堂side
あの後、宴という名の歓迎会が三日三晩続く…わけがなかった。
普通に考えてそんなに飲み食いできる筈がないし、そんな財力がある訳でもない。
美沙希さんの音頭から始まった歓迎会は意外にも数時間で終わった。
テーブルにはお酒に合いそうな濃い味付けの料理が並べられ、湯気が立っている、その隣にはどこから出したんだと言わんばかりにいろんな種類のお酒が並べられている。
まぁそんな料理も数時間後には跡形もなく消え、あんなにあったお酒も空っぽになり、空き瓶は床に転がっている。
俺は今、いつの間にか終わった宴会の片付けをしている…仮にも”俺の”歓迎会なのに…..
他のみんなはと言うと……
獣田さんは完全に酔いつぶれており、ソファーに豪快に寝転んでいる、そんな状態になっているのに、日本酒はしっかりと握り締めて持っている、無駄に握力があるせいでその日本酒を片付けられないのでほっといている。
プッチさんはと言うと、酒に強いのか、一緒に片付けしている、めっちゃテキパキして動きに一切の無駄がない。
それで…弦巻さんはと言うと……
「えへへ〜、のんでりゅう〜?しんどぉくぅん?ねぇねぇどうなのぉ〜」
絶賛俺の背中に飛び乗って、絡んでいる。
この人が1番酒に弱いなんて…てか、めんどくさい事に絡み酒のタイプ…
「あぁ〜今めんどくさいってかおしたでしょぉ〜、ひどいにゃあ〜おねぇさんなきゅよ〜ほんとうににゃくよ〜?」
「あぁもう、危ないから早く降りてください」
「ふへへ〜、ぎゅー!、はぁ〜しあわせだにゃ〜」
…ダメだ全然聴いてねぇ、んってか酒臭っ!…あとなんか背中に柔らかい何かが…
「あの…当たってますよ、弦巻さん」
「あててるのよ?どんかんさんだにゃ〜んへへへ〜」
…..……はぁダメだ…早くなんとかしなきゃ。
「ほれぇ〜ウリウリィ〜あ!かおがあかくなっt、ひゃっ」
胸を必要以上に擦り付けてくる弦巻さんをソファーに落とす。
「むぅ、もういいもん!、じゅうだくんであそぶもん」
「うぐっ!…….グゥ….zzzZZ」
あ、獣田さんの事忘れてた…まぁいいか、そのまま寝付いたみたいだし。
「すみませんね、うちの人達が迷惑かけてお酒を飲むとこうなっちゃうのですよ、特にMYmotherの絡み酒には…」
「いえいえ、大丈夫ですよ、プッチさんは今までこれの相手を一人でやってたんですか?」
「そうですね、そう出なきゃ、外に飛び出しかねませんし…」
凄いなこのキャラをたった一人で…凄い。
「そう言えば真堂さんはお酒に強いのですか?、随分と獣田さんに飲まされていましたが」
「そんなに強くはないですよ、ただちょっと嫌な予感がしたので魔法でちょっと」
宴会中に、獣田さんにめっちゃめっちゃ飲まされたのだが予め世界最強の酒豪動物『ハネオツパイ』と言うと小動物のアルコール分解構造を再現しといた、そのおかげで、酔わずにすんだが、えぇっとこれからは酔おうかな…片付け大変だし、酔っぱらいの相手するの大変だし、んんどうしよ。
「それならプッチさんだって、顔色ひとつ変わってないじゃないですか」
プッチさんは飲んでも飲む前から本当に顔色ひとつ変わってない。
「あぁ、それなら私も魔法を使って肝臓の機能スピードを上げてるのですよ」
「そう言えば、プッチさんの魔法ってなんなのですか?、俺との同じ理科の魔法だとは聴きましたが…」
「そう言えばまだでしたね、あぁっと真堂さんは物理はお好きですか?」
「いえ、生物の方に進んだので…」
「そうでしたか、だとするとちょっと難しいかと思いますが…私は体を『ニュートリノ』と呼ばれる光速…光の速さで動く元素に変えることが出来るのですよ」
「そんなスピードで動いたら、周りに被害が出ませんか?」
音の壁を超えた戦闘機が通ると周りのガラスがその衝撃波で割れるのは俺でも知っているが、光速なんかで動いたら衝撃波が凄まじいのではないのか…?
「あぁそれならご心配なく、この『ニュートリノ』は他の元素と違って電荷を持たず、他の原子に反応せず通り抜けるので、衝撃波も発しないのですよ、しかし質量はあるので、光速で動く私にぶつかったりすれば吹っ飛ぶとは思いますがね、それに私が触れていると認識すればその方向に衝撃波が発せられるようなのですがね」
「結構便利な魔法なんですね」
「確かに便利なのですが、一つだけデメリットがありまして、使うと全身もしくは使った部位がむち打ちになったみたいに痛むのですよね、それもかなりの重めの」
「今平気なんですか?先程肝臓に魔法を使ったと言ってましたが」
「あぁそれも心配せず、私の対価は痛覚の遮断、痛みを感じないのですよ」
「強くないですか?それは戦っている時いくらでも使えるじゃないですか」
「確かにそうなのですが、痛みがないせいで、自分のダメージが分からないのでその性で命の危険とかも分からないのですよね」
「それは…かなり…」
「…その性でよくMYmotherに叱られるのですよね…」
「…そうだったのですか…そう言えばプッチさんはなんでここに?」
「そうですね、まぁもう仲間ですしえっとそれはですね…私の親…所謂ギャングだったんですよね…アメリカだからマフィアともいいますが…前の戦争をご存知でしょうか…私の親もそこに駆り出されたのですよ…それで戦死…死因は…ラード使いの流れ弾に当たって死亡と言うなんとも惨めな…親父さんは部下から愛されて…ある意味その地域の犯罪防止力になるくらい…親父さんとお母さんの葬儀の時に偶然聞いてしまったのですよ…私の親は流れ弾なんかではなく…わざと殺されたってことを…親父さん達を邪魔だと思ってた…政府によって消されたのですよ…それを聞き途方に暮れてた時に現れたのがあのMyMotherだったのです…彼女の持っていた注射器を使い…この魔法を手に入れそして今に至りますあぁ長く喋りすぎましたね…」
……何も言えない…彼も相当なワケありだったというわけだった…きっと他の二人も似たことを経験したのだろう。
「さっ、早く片付けをしましょう、早くしないと日が変わりますよ」
「はいっ」
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結局片付けは翌日までかかった…その間にプッチさんと俺を除いた2人は熟睡…ちょっとイラッときた。
あの宴会から数日がたったある日…事態は急展開を迎える。
「真堂くん!あなた宛に手紙が来てるわよ!」
手紙か…は?なんでこの場所に居るって分かってるんだ…とりあえず読むか。
弦巻さんから手紙を受け取った俺は直ぐに手紙を読む。
[親愛なる真堂君へ
よくぞ、生き延びてくれたな、私は驚きを隠せえないよ、きっと君のことだろうから私が何者なのか気になっているのではないだろうか、あえて言うのなら私は君が居た研究所に『あのカンナの腕』の解剖を依頼した者だと思えばいいし、君の事を消そうとした者と思えばいいし、彼女を間接的に殺した者だと思えばいい、どれも正解なのだしな、そんなものが何故手紙を書いているのか不思議に思ってるのではないか?だから教えよう…今までの事では死なないどころがかなりめんどくさい組織に入ったことが分かったからね、故にその組織ごと潰すことにしたよ?だからそのまま大人しく部屋の隅っこでガクガク震えているといい
君の仇より]
なんだこのふざけた手紙は、はぁいいだろう…返り討ちにしてやるよ。
「真堂君、間違っても返り討ちにしようとかなんて思わないでね?」
後ろから急に声がした…この声は弦巻さんだな…てか、またサラッと人の心を…
「こういうのは、来る前に先に潰した方がいいのよ…大丈夫こういうののプロがうちに入るから」
そう言うと弦巻さんは俺の手にある手紙をサッと奪い、トコトコどこかに走っていった。
「ちょっと獣田くん?起きてぇー!!」
直ぐに獣田さんを起こす声と鈍い音が聴こえた、それと……
「いってぇぇぇええ!!」
獣田さんの大声…耳がキィーンってする…
「寝起きで悪いけどこれの場所特定してくれないかしら?」
「あ゙ぁ゙?分かったよ…んで?なんでだ?」
「私達の敵よ」
「分かったよ…ちょっと待ってな…」
トコトコと弦巻さんが戻ってくる。
「すぐに終わるから待っていてね」
「おい美沙希ぃ終わったぞ!」
「ね?すぐって言ったでしょ?」
本当にすぐだったよ…
「…この場所にカチコミに行くんだな?」
「えぇ私達を潰すとかなんとか言う阿呆を早く刈り取らなきゃ」
可愛い顔して恐ろしいこと言うなぁ…
「…では早速行きますか」
「!?プッチさんいつの間に?!」
「最初っからいましたよ?」
いつの間にか背後にいたプッチさんが場を仕切り、向かうことにした。
「それじゃぁ早速行きましょ〜!」
まるで遠足のように始まった、初の敵へのカチコミ。
その上ただの敵ではなく…あの手紙が正しければ俺の復讐するべき相手である。
所長…あなたの仇必ず討ち取ります。