「うりゃ~!今日の先生は無敵なのですよー!おら店中の酒全部もってこいなのです!」
「ちょっと先生!はしゃぎすぎですよ!」
「小萌先生を止めるふりして体触れるチャンスやん!ボクはそのためなら明日なんてモノはいらへんよ!ちょっくら行ってくるわカミやん」
「青髪先輩を止めてきちゃいますね物理的に…」
一升瓶片手に気炎を上げる月詠小萌を止めるため吹寄、青髪と舞殿は別のシマに移って元のテーブルに取り残されたのは上条、弓箭。
さっきの会話にも入らず俯き小さなため息を繰り返す弓箭。
「なんか悪かったな、弓箭。お前たちと同じクラスになれたお祝いの会でもあるのにつまんなかったよなここじゃ…今からでも俺の事は気にせずフレンダいる机に行ってきていいんだぞ?」
「はひ?ななななんですかね?私こそすみませんなんかすみません」
「何悪くもないのに謝ってんだよ、お前。だいたい謝ってのはこっちだぞ」
「いいいいえいえ!そんなこと全然気にしなくても…私ボッチ慣れてますし……」
立ち消えていく語尾と共に再び俯いていく弓箭を前に上条当麻は語る。
「良かったらでいいんだが、ちょっとだけ店の外で話をしないか?酔っ払い共の声もうるせーし」
酔っ払い教諭の鼻歌に吹寄の怒声、不逞の輩こと青髪ピアスが物理的な天罰、具体的に言うと舞殿に大ジョッキ頭にぶつけられた。が下され悶絶する声のハーモニーをBGMに話をする気にはどうしてもならず、上条当麻は柄にもなく女の子に積極になってみた
「へ?そそそそれは世間でいうとこのおデートというやつでありますかね?上条先輩はわたくしに懸想してくれてるからそういうお誘いしてくれてるんですよね?そそそそういうことであればわたしもやぶさかではないというか…さらば暗黒の青春!ようこそリア充生活!あ、でもでもクラスでは秘密にしてましょうね噂されたら恥ずかしいですし!」
俯いていた顔は恐るべき勢いで跳ね上がり弓箭は華のようにほころんだ笑顔を見せる
「違いますですはい」
「…ちぇっ」
「うー寒い…おーい缶コーヒーはホットの微糖で良かったのか?」
「そ-んなことよりー!はやくこっちいらしてくださいよー上条先輩ー!」
「恥ずかしいからそんな大声出すなって」
自販機で飲み物を買う上条を大げさな身振りで急かす弓箭。
焼肉店内とはうって変わって浮かされたような弓箭の態度に若干の違和感を感じていると、茶髪の少女はツインテールを揺らし小走りで駆け寄って腕に縋りついてくる。
「ほら微糖。わざわざ外まで出て来てくれてありがとな、こっちの方が弓箭と落ち着いて喋れるかなって思ったんだが…」
「見て見て上条先輩!学園都市でも星がくっきり見えたりするんですね!そうだ一緒に流れ星探しませんか!?」
噛み合わぬ会話。上条はわずかな苛立ちを覚えたが気を取り直しなおも会話を続ける。
「姫、それはよろしいのですが上条さんに質問させては頂けないでしょうかね?」
「うむ、苦しゅうないです!なんちゃって…えーと趣味はバイオリンとハンティングを少々」
またしても会話の歯車を外し脱線させようとする弓箭に構わず上条は、
「だから趣味の事は…」
「ああそうだ上条先輩も今度一緒にやってみませんか?ハンティングはあれですがバイオリンなら手習い程度ですがお教えできますし」
「なあ…」
「はい、なんでしょうか?やはり殿方には退屈かもしれません絵」
「弓箭なにをそんなに恐れているんだ?人と関わるのを」
弓箭が手にするスチール缶はぺキリと歪む
「………何を言っているん…ですかね?」
「考えてみたらおかしかったんだ」
弓箭猟虎は常々「友人が欲しい」と「リア充になりたい」と口にしている。
が、だとするなら弓箭猟虎の行動は明らかに道理に合わない。
「最初は人と話すのが苦手なだけかと思った。」
「ええそうですともだってわたくしはずっとずっと友達なんかいませんでしたから話すのなんか慣れていませんからそりゃおかしな話し方にもなりますとも」
まくしたてる弓箭をもう一度無視し上条はさらに続ける
「だとしたらおかしいんだよ弓箭。人付き合いが苦手な奴だってそりゃいるさ。どもったり話してる内容がチグハグになったり。でもさ、お前のスタイルは一貫してる好意という糖衣に包んで相手との対話を拒絶してる。本当に友達が欲しいなんて思ってる奴はきっとそんなことになったりしないんだ…」
弓箭の顔から表情が消える。そして手に持っていた缶コーヒーは既に強く握られ過ぎて中の液体が染み出ていた。手が汚れるのを気にも留めず弓箭や上条に問いかける。
「いけませんかね…みんなが仲良く手を繋いで笑って生きるそういうのが苦手……ううん嫌いな人だっていますよ…駄目ですかね、そういう生き方?」
「ダメとは言っちゃいないさ……でも嘘をつく必要もない」
「別に迷惑かけちゃいないつもりでした、まあ多少ゴールドやあなたにとっては鬱陶しかったかもしれませんが…」
「弓箭、勘違いすんな。お前が嘘をついてるのは自分自身に対してだよ」
上条の言葉を聞くや否や弓箭は珍しく本当に珍しく激昂した
「あんたに私の何が分かるって言うんですかっ!」
「何も。だからそれを聞こうと思って」
まだ寒いのか弓箭の溜息は白く大きくたなびいた…
「分かりました、じゃあ私のちょっとだけ長い懺悔を聞いてもらえますかね?」