「で、留年したというわけなのね。上条当麻」
黒髪巨乳で広めのおでこ、1年7組の良心にして三馬鹿の調教師、吹寄制理はお怒りであった。
「だから日頃から言ってたじゃない!!真面目に勉強しろ!ちゃんと授業に顔出せ!学校行事にも気を抜くなって!」
「待ってくださいよ吹寄さん聞いてくださいってば!話せばわかる!」
「なんで貴様はこの段になってもそんなふざけられるのよ上条当麻!分かってるの?留年よ!留年!あんただけ一年遅れて卒業なのよ?」
「まあ確かにそりゃ留年っていったらそうなんですけどね…なんというかごめんなさい」
事の顛末はこうだ。月詠教諭との職員室での話し合いを伝え新年度からの自分の処遇についてせめてクラスメイトでことさら仲の良かった吹寄、姫神に先んじて伝えたところ話の半ばにして吹寄が上記のように怒り出したのだ。
ちなみにアロハグラサン陰陽師と似非関西弁の青紙ピアスはメイドの始まりはどの国か?を巡って早退しているようだ。
「ゴメンってなによ?意味が分からないわ!なんで貴様いつもそうなのよ!」
上条は不思議だった。この少女は何をこんなに怒っているのだろう?
だって上条は吹寄にとってクラスメイトであると同時にクラスの調和を乱す不良分子であったはずだったのだ。
吹寄はいつも言っていたじゃないか不真面目な奴は嫌いだ。努力しない奴は嫌いだ。自分で自分を不幸なんて言う奴は大嫌いだ。と
その疑問は上条当麻のシナプスを駆け巡り言の葉に変えた
「あのですね吹寄さん、なにをそんなに怒ってるのでせう?」
「はあ?」
「そもそもですよ?吹寄が俺の進級についてそんなムキになって怒ったり怒鳴ったりってのはしなくてくてもいいんじゃないか?いやいや上条さん的には気にかけてくれるの非常に嬉しいんでけども、はい。それでも俺がいなくなってもそれはそれで吹寄的には願ったりかなったりじゃないか?」
これはかつて北欧の魔神との争いの際にもシスターズの意思の総意にしてミサカネット―ワークの擬人体…総体にも指摘されていたことだが、上条当麻は自身の価値をを必要以上に軽んじる。
だからこそ他人が自分を心配するというケースに対して疑問を持ち、狼狽える。
そのことが誰かの想いを軽んじることにつながるとは知らずに…
「上条、貴様何を…」
パチン‼
吹寄が二の句を継ぐ前に軽い破裂音と共に上条の頬にわずかな痛みと熱だけが残った
「上条君。それはダメ」
上条当麻の頬を張ったのは姫神秋沙
美しい黒髪と日本的な美しい容姿を備えた能力『吸血殺し』の少女であった
彼女の目は誰かに確かな暴力を振るった事への後ろめたさとそれでも友人の想いを守ろうという意気が込められたまなざしを上条当麻に送っていた
「駄目だよ。上条君」
「姫神さんあの私は…」
「駄目だよ。上条君には一度ちゃんと言わなきゃわからない」
「上条君。私は君の謙虚なとこ。大好きだよ。でも。それが吹寄さんを傷つけるようなら。私は何度もでも君を怒らなきゃいけない」
「姫神さん…」
ああ。と一息ついて吹寄も姫神の言葉を繋ぐ
「上条!私は貴様がいたら迷惑だなんて思ってない。大覇星祭の時も言ったでしょ?私はみんなと一緒に喜んで涙してこの学校を卒業したい!もちろんその中には貴様にもその中いて欲しい!ううん、いてくれなきゃ嫌なの!」
「うん。私も。だからもう一回小萌にみんなでお願いしに行こ。大丈夫。小萌ならきっと…」
「うんそうしましょう!今から私もクラスの連中集めて…」
顔を真っ赤にしながらも想いを伝え、美しい友情を確かめ合う二人を見ながら上条当麻は言いにくそうに切り出す
「だからですねお嬢様方!なんで上条さんが一年生に残留って話になってるんですか?しっかり話を聞けって言ってんだろ!」
「「はい?」」
「上条さんは留年じゃなくて留年(仮)なんですよお‼」
「「はいいいいいいいいい????」」