とある魔術の留年生(仮)   作:ブッシュ

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つまらないものですが そのに

「こんなとこでどうしたのかしらあ、御坂さん?」

 

ショッピングを楽しんでいた御坂御一行様に声をかけたのは他でもない御坂美琴の天敵。

瞳に映る十字形の星に蜂蜜色の長く美しい髪、中学生離れした美貌と肢体、そして耳の奥をとろかすような甘ったるい声が特徴的な常盤台中学のクイーンこと学園都市序列5位食蜂操祈であった。

 

「食蜂!?あ、あんたこそダイヤノイドに何か用でもあるっていうの?」

「御坂さんったら全くもってお馬鹿さんなんだゾ?ダイヤノイド下層階にいるってことはあ~ブランド品を買う以外の用なんてなにかあるのかしらあ?」

「んぐっ!」

 

冷静に考えたらまるっとそのまま食蜂の質問にブーメランなのだが、上条当麻へのプレゼント選びでニューロンをいくらか破損させてしまったのか、冷静な思考力を欠いた御坂は食蜂にいいように言いくるめられ絶句してしまう。

 

「あ、食蜂さんだ!お久しぶりです!ほら見てみなよ初春。やっぱお嬢様はこういうとこで買い物するんだよ」

「ほわわわ、やっぱり常盤台のお嬢様は気品違いますね佐天さん!」

「あのう…佐天も初春も最近私やお姉様も常盤台中学の生徒って事を失念してしまっているのではないですの?」

 

キラキラとしたお嬢様オーラをまとった食蜂の登場に色めき立つ柵川の二人とその二人の反応にそこはかとなく引っ掛かりを覚える白井黒子。

だが一般庶民のお嬢様像とはあくまで薔薇や百合や十字架であって、短パンやゲコ太、変態ではないのである。一般イメージと実情の乖離は世の常なのだ。

 

「わ、私だってハンカチとかシャンプーとかそういうのはちゃんといいの使ってるのよ?のべつまくなしゲコ太グッズ買いあさってるわけじゃないんだから」

 

お嬢様というブランド自体に格段興味はないのだが、食蜂と比較されてそういう評価を頂戴するのは不本意だったのだろうか?

聞いてもいない自己アピールを始める御坂。

 

「ウププププププ、脳筋でお子ちゃま趣味の御坂さぁーんを基準に常盤台生を見たら誰だってそんな反応するんだゾ。私も特段お嬢様ってレッテルにこだわってるわけじゃないんだけどお、御坂さんもこれに懲りたら自販機を蹴飛ばしてジュースのただ飲みなんてマネはやめた方がいいわよお」

 

ざまあないとばかりに勝ち誇り高笑いをする食蜂に御坂の自制心がプツリとキレる。

 

「あっッッッ‼!?この見栄っ張りのキンキラ惰乳が!そんな他人の目ばっかり気にしてるならもうちょっと運動して体型の維持にも気を遣ってみたらどうなのよ!ていうかアンタ中学生でブランド品ばっかり買い漁るってどうなのよ枯れすぎじゃない?アレアレアレ~?やっぱあんたってばBBAなんじゃねーの?」

「はぁ?はぁ?はぁ?御坂さんったら何を血迷ってるのかしらぁ?いきなりキレ出すってカルシウム足りてないんじゃないの?だからいつまで断崖絶壁胸部ななんだゾ!?」

「うし、殺す!人のコンプレックスを気軽に刺激した自分の愚かさを後悔しやがれっての!」

「やってみなさ~い!御坂さんへの脳へのアクセス手段は既に解析済なんだゾ!だいたい誰がババアだっての復讐するは我にあり!」

 

本当に見るに堪えない見苦しい争いを繰り返す、常盤台を代表するレベル5のお嬢様たち二人を見るに堪えないとばかりに額に人差し指を当て目を伏せ形のいい頭を振るばかりの黒子。

目の前の惨状に脳の理解と処理が追い付いていないのかただ口をぽかんと開けて、呆然とする佐天と初春。

そう。彼女たちは一つ失念していた。

食蜂操祈がいかに美しかろうが、ブランド物を身に付けていようが、彼女もまた御坂や黒子と同じ穴のムジナだということを。

 

………キャットファイトをはじめて20分。外野はおろか自分たちすらこのバカげた争いに倦みだし始めようやく講和交渉が始まった。

「そ、それでぇ~、ゼヒー、み、御坂さんはあ~、ゼヒー、あの人の進級祝いにい~、ゼヒー、プレゼントを選んでたってわけなのねえ~、ああもう限界!冷たいものでも飲みながらあ~、ゼヒー、ちょっとそこの喫茶店で話し合わないかしらあ?白井さんちょっとそこまで飛んで欲しいんだゾ」

「へへへへえ~、あ、あんたにしてはいい案じゃないの…いいわよ、乗ってやるわよ。黒子、そこまで飛ばしてくれないかしら?」

「駄目ですの…お二人とも反省なさいな」

 

黒子の言葉を聞いた二人は親に見放されたような顔をしたかと思うと、すぐに頭を切り替え疲れ切って鉛のようになった身体を押しノロノロと喫茶店に歩み出す二人。

争いの愚かさはきっとやってみて初めて分かるものなのであろう…。

 

「あのー白井さん…私たちどうしましょうか?」

「放っておきなさいな。どうせもうしばらくかかるでしょうから終わったら連絡すれば済むことですの…それに…せっかく第十五学区まで来たんですからわたくしたちも甘いものでも食べませんこと?」

「それグッドアイディア!いいですね!白井…さん」

「佐天!」

「はいはい!分かりました!白井!これでいいんですよね!」

「敬語が気になりますがまあそれでよろしいですの…食べた後はわたくしもあの殿方への贈り物を選びたいので協力していただけますか?」

「わー白井さん、なんだかんだ文句言ってますけど上条さんに気があるんじゃないんですか?」

「初春!そんなこと言うのはこの口ですの?この口ですの?」

「いひゃい!いひゃいですってば~白井さん。はんしぇいしてますから許してくらしゃい」

「ハハハ、そりゃ初春が悪いってば。でも上条さんってなかなかカッコいいですもんね」

「あれあれ?佐天さんもですか?」

 

女の子は三人あつまりゃ姦しいを地でいく三人娘はレベル5コンビを置いてさっさと別の飲食店に向けて歩き出す。そしてそれと入れ替わるように…

 

「たくもう!女の子の買い物って奴はどうしてこう長いんですかね?どれもこれも似たようなもんだろって言ったら舞殿とフレンダがブチ切れだすし参るよな。挙句先輩はどっかで待っていてくださいって!俺の存在意義って何なんですか?だいたいですね上条さんにこういうお高いお店は肌に合いませんのことよ、せいぜい激安スーパーとかさ」

「いや、そりゃ怒られるだろうし今後の為に女の扱い位は覚えておけよ、人間。まあ私はお前がいるなら激安スーパーだろうが無人島だろうが構わないが…まあいいさ、少々喉が渇いたからそこの喫茶店でお茶でも飲まないか?」

「そりゃいいな俺たちだけ先に小休止してようぜ、オティヌス」

 

レベル5×2と幻想殺しが交差する時、お買い物は始まる!

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