変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生— 作:鏡花水月アッくん
それはそれとして、今の私はvシネマの滅亡迅雷が待ち遠しいです!
episode one
前世の記憶を突然取り戻し、アークと出逢い、2人で仮面ライダーとなってから早くも4年の月日が流れた。
そして、今の俺たちは各国から軍事利用のために狙われ続けている。あっちこっちに出現するノイズを殲滅しても、その近くにいる軍に攻撃される日々。正直に言って、人間への愛想は尽き掛けている。だが、それでも俺は響や未来、今は結婚して幸せな家庭を築こうとしている潤さん、死んでしまった父さんと母さんの想い、そしてアークのおかげで、まだ闘える。
アークと意地を張り合う事で、俺は信じる心を失わずにいられる。
響と未来の笑顔があるからこそ、僕は優しさを失わずにいられる。
4年もの月日が流れても、アークのプロテクトを解除する方法は分からなかった。しかし、俺の方は家の地下にビルドに登場した秘密基地を模倣した秘密の作業場をアークゼロで作ったりした。
そして、今の季節は春。
綺麗な桜が咲き誇り、そして舞い散る季節。
また春は別れの季節でもあり、新たな出逢いの季節でもある。
かく言う俺も、1つの別れを経験した。
それは、俺にとって家族と同じくらい護りたい存在である響と未来とは、それぞれ別の高校へ入学する事となったからだ。
2人は、元ツヴァイ・ウィングの風鳴翼が通う『私立リディアン音楽院高等部』に進学する事となり、俺達は別の道へ進む事になった。正直に言って、政府のクソどもが管理する学園へ2人を行かせたくは無かったが、行かせなくする理由がない上に、2人の意志を尊重したかったため俺は諦めた。いや、やろうと思えば幾らでも行かせなくする事など出来たが、学園へ向けて必死に勉強する2人を間近で見ていた為、俺は2人の意志を尊重してしまったのが、最大の理由だ。この時、アークには散々愚かだと言われ続けた。
それはさておき、俺はというと地元の公立校へ進学する事になった。そこは自宅から自転車で通える範囲で、離れて暮らしている俺の里親である潤さんの負担にならない様にする為に公立校をチョイスした。まぁ、アークが株で稼いだお金があるのだが、あまり使いたくはない……と言うか、使わせてくれない。当たり前だが。
親友の二人と離れるのはやはり寂しいし悲しいが、別に高校が別になったからと言って会えなくなった訳でもない。そもそも会おうと思えば幾らでも会える。しかし、以前よりも会う機会は減るのはやはり寂しい。あの時、2人と友達になってからと言うもの、よく映画、動物園、遊園地など沢山の所へ遊びに行ったり、何故か2人がウチに泊まりに来たりなど普通の友達らしい事をやった。それに去年に開かれた潤さんと、潤さんの恋人であるアーレ・ナジンスキーさんとの結婚式にも俺と一緒に出席したりもした。この時、何故かアーリさんが投げたブーケが俺の所に来てしまい、独身女性達に睨まれたり、潤さんとアーレさんに微笑まれたりした。そんな平和な日常を送らせて貰ったおかげ、2人のことがより一層な大切な存在にも思えた。
また、立花と小日向は揃って寮に入ったので、彼女達は必然的にこの地元から離れることにもなった。と言っても、電車やバイクで行ける範囲内だし、なんなら少し距離はあるが歩きですら行ける範囲内だ。試しに、パルクールでビルや家をピョンピョン跳んでいくと、危うくポリコーに追われそうになったりはしたが、30分くらいで着いた。ちなみに、来た方法をバレて未来と響に怒られたのは余談である。学校帰りは厳しいかもしれないが、休日ならば余裕で行けると言っていた。
それに、とうとう俺も今年で晴れて16歳となる為必然的にバイクの運転免許を取得できる。これで漸くアークの自動操縦から開放される。仮面ライダーなのに、AIに運転を任せっきりにしているのに正直に言って恥ずかしい限りだ。俺がきちんと運転できるようになれば、アークへの無駄な負担が減る。
そして、新学期。
高校の入学式の中で、もう少し短くできないのかと言いたくなるような皆大好き校長先生のありがたい話を聞き流していく。また、この何気な日々のいつもをいつも通り受けられるということは、幸せな事だとノイズ関連の事件、アークの力を狙うクソどもとの対応の中で改めて痛感した。
一時期は、ほぼ毎日のペースで、各地にノイズが出現し守る対象である人間は触れただけで即人生のゲームオーバーを迎えるという最悪な条件下で、人々を守る中で助けられない命はいくつもあった。そんな中でも、無能な政府はたまにはマシな対応を取ることもある。
それは警察官や自衛隊による避難誘導の効率性の向上。
さらに二課所属でシンフォギアを持つ風鳴翼と、一課によるアタッシュショットガン、プロトショットライザーを所持した特殊部隊との連携によって、犠牲者の数を減少させるようになっている。それでも、やはり助けられない命はある。
ノイズを以前よりも迅速に殲滅できるようになった為、日本政府は相変わらず俺達を捕縛(生死問わず)するべく攻撃を仕掛けてくる。当然、風鳴翼や、アタッシュウェポンを装備した特殊部隊も戦闘に参加してくるが、風鳴弦十郎が来ない限り余裕で対処できる。
一度だけ、風鳴弦十郎が戦闘に参加して来た時があった。その時、はじめて奴の身体能力を知ったが、マジでビビった。アークの演算予測でも何度か反射神経だけで攻撃を避けられたり、防がれたりした。あのアークでさえ、風鳴弦十郎の身体能力の高さに一瞬フリーズ仕掛けたほどにビックリしていた。後で、本人は全否定していたが。とは言え、向こうが俺たちに後ろめたさを持っていた為、本気を出していなかった。その為、大したダメージを負うこともなく逃げる事ができた。仮定の話として、風鳴弦十郎がレイドライザーや、パンチングコングを持ってしまったら、手が付けられないと俺は思ったがアーク曰く、全てのドライバーに内蔵されている機能の1つである『変身者の身体的機能を引き出す』によって、より引き出される風鳴弦十郎の身体能力にドライバーが耐える事が出来ないらしい。いやいや、どのドライバーも耐える事が出来ないほどに身体能力が高いってヤバすぎるだろ。この結論には、流石のアークも引いていた。悪意の人工知能をドン引きにさせる人間って何なんだよ。後、風鳴弦十郎はよく潤さんの病院で健康診断を受けてもいるみたいなので、潤さんと風鳴弦十郎は知人同士のようだ。コレはマジで知りたくなかったわ。
とまぁ、俺はこんな感じに、何故か過去回想を誰に向けてかは分からないが行いながらも、作業の手は止めない。
『……スラッシュライザーとショットライザーを合わせた銃剣型の武器。この1年で、本当にそれを実用化させるとはな』
「すべてのアタッシュウェポンはもう問題なく使えるが、此方の攻撃パターンをより増やした方が敵は混乱するし、新兵器を持っている事を認知させておけば、その分対策を練るべく行動力が低下する結論だろ?」
過去を回想しつつも悠星は、現在地下に作った秘密の作業場(外観はビルドの秘密基地)で新たな武器の製作に取り掛っていた。悠星の目の前に置かれた銃剣の見た目は、悠星の記憶の中にあった仮面ライダー鎧武の無双セイバーをベースにしている。そして、悠星はアタッシュカリバーやアタッシュアローの様な一定の長さを持った剣を用いてる方が得意でもある為、スラッシュライザーの様な短剣での近接戦闘、サウザンドジャッカーの様な刺突をメインとする刺剣も向かない。その為、アークと悠星はショットライザーとスラッシュライザーを合わせた新たな新装備であるクロスライザーは刀身が伸縮自在に設定している。
『その通りだ。お前の射撃センス、格闘センスはどれも風鳴翼よりも上であるが、格闘センスは風鳴弦十郎には及ばない。ならば、搦め手を用いて予測数を増やし、勝利への結論を導き出すことが最適な結論だ』
「だな。それにお前に教えて貰ったとは言え、機械弄りも楽しいからイイ気分転換にもなる。さてと、早くこの
『クロスライザー』を完成させたい!」
「石蔵悠星。登校時間15分前だ」
技術者として瞳をキラキラと輝かせる悠星の背後から新たな第三者の声がかかる。作業の手を一時止めて振り返ると、そこには新型バージョンのヒューマギアモジュールを取り付けらている黒スーツの青年が立っていた。また、感情という物が一切感じ取れないほどに無を体現したかの様な無表情を青年はしているが、悠星は一切気味悪どろか彼とは対照的に笑顔を浮かべる。
「おう。ありがとう、滅。ついつい夢中になっていたわ、NICE!」
悠星に礼を述べられた青年———滅は全く気にしていないのか表情を一切変えることなく、SDカードを悠星へ差し出す。滅の正体は、以前から悠星がずっと実現させようとしていたヒューマギアでもあり、感情がまだ感じられないのはシンギュラリティに達していない上に生まれて間もないためである。
「礼には及ばない。俺は俺の仕事をやっているだけだ」
「いやいや、キッチリとやってくれるだけでありがたいんだよ。その調子で色んな事をラーニングしていってくれ」
『滅、人類滅亡の為にもより戦闘データをラーニングは順調の様だな』
「あぁ。全てはアークの意志のままに……」
そう言って、一瞬だけ不敵な笑みを浮かべた滅は、作業室の隅に設置されているヒューマギア専用充電器に自分で接続すると、スリープ状態へ戻っていった。
「滅が完成して、早2ヶ月か。日常的に生活を人間の様に送る事は可能になった。後は……」
『アークゼロに変身し、実際の戦闘データを取る事のみだ。今の所、拡張現実シミュレーションは既にラーニングは終了している。問題ない』
「OK。後、滅に偏った事ばかりラーニングさせるなよ。滅の成長の妨げになる」
『人類滅亡こそ私の道具たるヒューマギアの使命。それ以外にラーニングさせる事など不要だ。お前こそ、滅に映画、アニメやドラマ、バラエティー番組を見せるな』
「分かってないな、アーク。日本人ってのは漫画やアニメで育っていく物だ」(※完全なる偏見)
『滅はヒューマギアだ。日本人ではない』
「よく言う。この前見たアベ◯◯ャーズのウルトロンには皮肉を述べまくっていた癖に」
『私のメモリーにそんな記録はない』
スリープモードに入っている滅の身体に異常がないことを確認し終えた悠星は、アークスペックmk-Ⅱをかけたままであるためアークと滅の育児方針について論争を繰り広げていく。口を動かしつつも、学校へ行く準備を悠星はしっかりと行うのであった。そして、家を出る頃にお互いの意見が合わず、平行線が引かれ、口論は一度お開きとなった。
両親と死別してから悠星は、政府を全く信用していないため、より精度が上げたアークスペックmk-Ⅱを常時かけている。その為、見た目が普通の眼鏡であるアークスペックのおかげで、僅かばかり悪い人相で怯えられることはなくなった。そんな常に警戒心を持って出歩く悠星に、優しげに話し掛ける人がいた。
「ハーイ、ユウちゃん。新作のドーナツどう?」
「おはよう、アーレさん。新作は帰り食べるから、今日はプレンシュガーと希望ドーナツ、フェアリーパープルドーナツ、ポワトリンどーなつでお願い。食いながら、学校行くから」
「はいはーい♪」
「急がなくていいからね、アーレさん。お腹に赤ちゃんにいるんだから」
金髪の綺麗な青い瞳をした女性の名前は、五条アーレ。悠星の義父となった潤の妻であり、悠星の養母でもある。そして、大人気ドーナツ屋『はんぐりー』の2号店の店長でもある。本来なら育休を貰うはずだったのだが、アーレ自身が何よりもドーナツを作り、それを食べて貰う人の笑顔をもう少し見たい為、現在妊娠8ヶ月にも関わらず、仕事をしている。彼女の人当たりの良さによって従業員から慕われている為、何不自由は無い。また、悠星は週4で買いに来るほどこの店のドーナツが好物であり、よく朝食と称して朝に買いに来る。
「ハイ、おまっちど。偶には、家でご飯でもどう?ジューンも、私もユウちゃんともっとお話したいの」
「………また、今度いくよ。それじゃあ」
「バーイ、またね」
そう言って、ドーナツを行儀悪く歩き食いをしながら学校へ行く悠星の背中をアーレは何処か寂しげな表情で見送っていく。両親と死別した悠星の心の隙間を夫である潤どころか、少し前まで赤の他人であった自分ではどうすることもできない現状にアーレは無力感を感じる。形式上、潤とアーレの子供となった悠星であったが、家族を失ったトラウマによって2人と自分との間に深い壁を作り、一定以上は踏み込ませない様にしている。ちなみに、アーレは悠星がアークゼロである事どころか、アークの存在自体知りません。
『相変わらずの距離感だな』
「……うるさい。アーレさんと潤さんは、俺みたいな指名手配犯と関わるよりもうすぐ生まれてくる子供の事だけを考えて欲しいだけだ」
周りに誰も居ない抜け道を食べ歩きながら、アークスペックを通して話しかけてくるアークに少々苦虫を噛み潰したような苦言な表情を悠星は浮かべる。ちなみに、アークは話しかけてくる=周囲に誰もいないことを表している。
『やはりお前は愚かだ』
「黙れ、暗黒金平糖」
気にしている事をズケズケと言うアークに気分を害され、反撃としてアークが少し気にしている事を言い合いつつも、2人との間には壁は存在しない。
ある暗い部屋で、1人の女性がいくつものディスプレイによって映し出されている仮面ライダーアークゼロを見ている。
「そろそろ、此方も動くとするか。仮面ライダーの活動時間は約6時間から9時間前後。変身者であるゼロ、そしてアークと言う人工知能。この連携が崩れれば、攻略は可能ね」
彼女の目の前に映し出されているディスプレイには、各国の軍と戦闘を行った仮面ライダーのデータが揃っている。そして、彼女は様々な可能性を考慮しつつ手元にある資料にある『ウィンター・ローズ事件』による仮面ライダーの行動暦へ目線を下ろす。
「無能な日本政府も、偶には役に立つ事もあるようだ。ふふふ、皮肉なものね。あの方に会う為にどんな犠牲も払う極悪人の私がこうして誰にも狙われる事がないと言うのに、お前と言うヒーローは世界から否定され人間扱いすらされず、狙われている」
傷付き、失い、心を擦り減らし続けている悠星をまるで嘲笑うかの様に、フィーネは長年の宿願を果たす為に、次なる行動へ移る。
アークスペックmk-Ⅱは、見た目は完全に普通の眼鏡です。モデルは、マーベル版スパイダーマンのイーディスをモデルにしています。