変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生—   作:鏡花水月アッくん

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皆さん、お久しぶりです!!
お待たせ致しました!

新社会人になったばかりなので、色々覚えることややる事が多くて中々書けませんでした。すみません、完全な言い訳です。

てな訳で、ルナアタック編第3話どうぞ!
因みに、マシンアークの見た目なのですが、fgoに登場する『キュイラッシェ・オルタ』をイメージしております。


episode three

『悠星、残念な知らせだ。立花響が、私の予測とは異なる行動を開始した』

「はぁっ!?」

 

マシンアークで響のいる所まで急行しようとしているが、響がシンフォギアを纏った事を知らない悠星は、突然アークゼロの予測演算から外れた事に驚愕する。しかし、アークはただの人間である響が、自分の予測を超えた事に密かに驚きはしたものの再び予測演算を開始する。

 

『っ?!それから原理は不明だが、立花響は天羽奏と同じ反応を出すシンフォギアを発現させた様だ』

「う゛ぇっ!?ちょちょちょちょ、ちょっと待て!頭がパンク寸前!」

 

『黙れ。思考を放棄するな』

「わかった!分かったよ!!ったく、不安でヤバいのに何つーことになってんだよ」

 

ただでさえ、自分達の全てを受け入れ支えてくれていた両親を失った事で、悠星は親しい存在を失う事を極度に恐れており、それ故に冷静さを失い始めている。そんな悠星の心情を長年一緒にいるアークは、既に看破しているため最演算によって導き出された響の行動パターンを表示させる。

そして、表示された新たな経路に従い、悠星はマシンアークのエンジンを吹かせ走り出す。途中で、ナメクジ型のノイズが無数に出現したが、8割ほど今朝完成させたクロスライザーを左手に持ち斬り捨てていく。ノイズを撃退しながら響達との距離を詰めて行くと、やがてノイズに囲まれて逃げ道を失い、恐怖に震えながら拳を構えようとする少女の姿を悠星は視認する。

 

「響ッ?!アーク!ドードーゼツメライズキー生成!」

『私に命令するな』

 

【ドードー】

【ゼツメツクロス・ショット】

 

響の姿を視認した悠星はアークドライバーによって生成されたドードーゼツメライズキーをクロスライザーのプログライズキー装填部にセットすると、トリガーを二度引く。すると、ゼツメライズキーに保存されている戦闘データが抽出される。そして、クロスライザーにインプットされているドードーゼツメライズキー用の必殺技を発動させる準備が完了すると、悠星はアークによって定められたルートに従い、銃口を向けチャージされた雷の弾丸をノイズの集団へ放つ。

そして、放たれた雷の弾丸は1体のノイズに直撃すると一気に炸裂し、直撃したノイズを中心に全てのノイズが炸裂した雷によって跡形もなく消滅した。

 

悠星専用の武器として開発されたクロスライザーには、2種類の必殺技が存在しており、今回はその内のガンモードによるもの。ソードモードの必殺技を発動する場合はプログライズキーを装填してからトリガーを1回引く。ガンモードの必殺技は先程の様にプログライズキーを装填してからトリガーを2回引いて発動させていた。コレにより、クロスライザーによって悠星はより一層攻撃のバリエーションが増えた。しかし、まだクロスライザーは未完成な為、あまり必殺技の乱用は出来ないため1日に3回まで限界となっている。

 

クロスライザーから放つ事ができる貴重な必殺技を使用したが、状況が状況なため気にしている所はない悠星は、響の無事な姿に確認すると一旦気を落ち着かせる。

 

「…よかった、今度は間に合えた………はぁーまったく、がむしゃらに逃げやがって、不安で頭がパンク寸前の追いかけるコッチの身になれ」

『ここまで私の予測を外れて行動するとは……怒りを通り越して、寧ろ観察対象として認識を改めてならないな』

 

「……なんで、お前がソレを身に纏ったのかは置いておくが———」

 

「————取り敢えず、助けに来たぞ」

 

 

困惑する響と怯える幼い少女に悠星は視線を向けてはいるが、アーク共々現在響に起こった事態に困惑する。いくらアークによって、二課からシンフォギアのデータを盗み出したとは言え、自分達の仮面ライダーシステムとは異なるシステムの構造をしており、まだまだ知識不足な悠星は今の響の状態を解明する手段を持ち合わせていない。

 

それもそのはず、ガングニールの先代所有者である天羽奏とは異なるイレギュラーな方法でシンフォギアを顕現させているため悠星やアークどころか、二課でさえ状況に困惑を隠せない。

 

原因究明のために無理矢理にでも響を連れ帰る、という選択肢を悠星は思い浮かべたが、すぐに彼はその考えを除外した。

 

響とは会おうと思えばいつでも会える。

 

だが同時に仮面ライダーとしての俺を見ないで欲しい。

 

矛盾に近い2つの考えが頭をよぎる。

 

そもそも今すぐにでも響の状態を解決しなければならない、というわけでもない。むしろ、響はノイズから自衛する力が備わったことで多少なりとも特異災害であるノイズから生存する確率は上がる事は喜ばしいことだ。父と母の様に、自分のいない所でその命が散らされる危険が大いに減ったのは、本当に嬉しい誤算でもあるのだから。

だが、その力を己の欲望を満たすために狙われる、または争いに巻き込まれる可能性も出てくる危険も上がってしまったのは、不安要素でしかない。

 

響には、僕みたいに理不尽な悪意の渦にもう巻き込まれて欲しくない。

 

不安を胸にしまい込むと、一応念のために響に状況を聞くだけ聞いてみるためアークゼロがマシンアークから降りて地に足をつけると、2人の下へと一歩踏み出す。しかし、アークゼロが一歩踏み出すと、響は少女を抱えて一歩後ずさる。

先程の『助けに来たぞ』という言葉が響にとって本当に真実と確信する事が出来ず、完全にアークゼロを信用できることが出来なかった。更に、テレビや新聞で目にする仮面ライダーに対する悪評を知っているため、無意識の内に恐れを抱いてしまう。

目の前にいるのが、親友の1人であるとも知らずに。

テレビや新聞、週刊誌、ネットの情報が全て正しいとは、過去の経験から響は考えていない。しかし、仮面ライダーの悪評が全て嘘である、と否定できるだけの情報を彼女は持っていなかった。

 

そして、アークが周囲のあらゆる電子機器をハッキングし監視していると、二課に加えて、仮面ライダー抹殺計画を企てている一課のヘリ、はてには装甲車までもが向かって来ているため悠星に伝える。更にその向かって来ている者達の中には当然、悠星と最も会わせてはならない人物が既に数十メートルに迫って来ていた。アークゼロと響達の位置に真っ直ぐ向かって来ていることから、たまたま通りかかったというわけでもなく、ガングニールとノイズの反応を検知して向かって来ている。

悠星はタイミングの悪さに思わず舌打ちをする。

 

『(悠星、奴等が来る。早く離脱するぞ。既に滅には待機を命じている)』

「ちっ、もう来たのか。操り人形どもが」

 

あまりにも間の悪さに悠星は相当苛立っているのか、秘匿通信にするのを忘れているため自らの声がだだ漏れである。自身が墓穴を掘っている事に気付いていない悠星は、滅と合流する為マシンアークのエンジンを吹かせると、その場を後にする。咄嗟に響が自分達を呼び止めようとしていた様だが、悠星は敢えて気にした素振りを見せる事はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あったかいもの、どうぞ」

 

そう言ってコーヒーを立花響に差し出したのは、彼女とは初対面である女性。

特異災害対策機動部二課の一人であり、政府の関係者を名乗っていた。

仮面ライダーにノイズから助けてもらった後、どうしようかとオロオロしている間に、その人達は現れ、辺りを一時的な立ち入り禁止区域とし、周辺に散らばるノイズであった炭素の塊の後片付けを始め、自身と幼い少女は彼らに保護されることとなった。そして、先程まで自分の身を包んでいたオレンジ色の鎧は、あの後光の粒となって消え、彼女は聖リディアンの制服に戻っていた。

結局あれが何だったのかは、響自身にもわからなかった。

だが、あの時、響はまだ状況に追いついてはいないものの、自分を頼ってくるその幼い少女を見て、ノイズから“この子”を助けなければいけないと確信した。とは言ったものの、ノイズに対して何も持っていない“ただの人間”ができることは、ノイズが自壊するまで逃げることだけだった。その為、必死になって幼い少女を連れてノイズから逃げるものの、逃げた先にまでノイズがいる始末。

それでもッ!それでもッ!……と、生きることを諦めなかった想いがキッカケとなったのかは分からないが、突然胸の中に歌が浮かび上がり、その歌を歌うと自身の身体をオレンジ色の鎧が包み込んだ。そして、余りにも飛躍的に上昇した身体能力を使って、ノイズを1、2体くらい無我夢中で倒せた。とは言ったものの、ガングニール(あの力)を使いこなせたかと言うと答えはNOである。はっきり言うと、振り回されていた上に仮面ライダーが来てくれなければ、おそらく幼い少女は守れなかった。

それに、仮面ライダーの声を何処かで聴いた様な……いや違う。“あの声”には大切な“陽だまり”と同じ自分の心を護り、支え続けてくれた“日光”に限り無く近い安心感と暖かさを感じていた。

 

「いったい、なんだったんだろう……それに、『助けに来たぞ』って…」

 

ふいに、幼い少女の方を見ればそこには、はぐれた母親と再会し喜んでいる姿があった。母親と再開できて喜んでいる姿を見て、自分は人助けをする事ができたのだと思い、ほっと胸をなでおろした。そして、あったかいものを渡してくれたスーツを着た女性が、何やら母親に国家特別機密事項……とかなり難しそうな話していたが、その辺の知識がさっぱりな立花響には全く分からず、その様子をぼーっと眺めていた。本来であれば、今頃は親友である悠星と特典付きのCDを買っていたはずなのに、ノイズから逃げて、謎の鎧を纏って、悪評高い仮面ライダーに何故か助けられて、今はこうして政府の関係者を名乗る人達に囲まれているこの状況になっている。

 

「私って…やっぱり呪われているのかな…」

 

はぁ〜と今日一日で1番デカい溜息を吐いた後、あたたかいものをくれた女性の話によれば、今回の件で犠牲者は奇跡的にも出ていなかったため、必然的に悠星が無事であることがわかった。

その事実に安堵していると、

 

「ここにいたはずのノイズの大群、倒したのはあなた?」

「い、いえ……私はあの子と一緒に逃げることしか………できなくて」

 

目の前に来た風鳴翼が、質問を投げかけてきた。

先程まで纏っていた鎧の力のおかげ、不可能と思っていたノイズをがむしゃらにだが1、2体は倒すことができた。しかし、全てのノイズを自分の手で倒したかと言われれば、NOだ。何故なら、元いた数に比べれば自分が倒したノイズなど、一欠片に等しいのだ。

 

響は、自身にとって憧れの存在に会えたことには、しゃぎ倒して悠星や未来に報告したい気持ちがないわけではなかったが、翼からの質問によって、頭の片隅に追いやられていた事柄を改めて蘇らせる。

 

「それに、あの場所に、さっきまで仮面ライダー…さんがいて、ノイズを全部やっつけてくれました」

 

見掛けないバイクに跨り、見たこともない武器を手にし、一撃でノイズの群れを倒したことを響は、包み隠さず翼に伝えた。

 

「……やはり、ノイズが現れるとヤツは現れる様ね。ヤツに関して気になることは無かった? 何でもいいの、気づいた事はなかった」

 

ぐいっ、と険しげな顔で響の前に押し出し、少しでも情報を翼は得ようとする。しかし、その物言いには、明らかにトゲトゲしい言動が含まれてもいる。

 

「……気になることって言われましても、凄すぎて何がなんだか…」

「行動じゃなくてもいい。何か、喋ったりとか」

 

「あッ!なんかベルトさんとゴニョゴニョ言い合っていて、よく聞き取れは出来ませんでしたけど、確かに『助けに来たぞ』って言われました」

「そんな馬鹿なッ!?あり得ない!!ヤツが人を助ける筈ない!!」

 

激情を露わにした風鳴翼の言葉に、周囲にいたスーツを着た者達の他にも特殊な戦闘服を来た特殊な部隊の動きが一斉に止まり、全ての視線が2人へ注がれる。

 

「そんな……奏を見殺しにしたヤツが、『助けに来たぞ』だなんて……言う筈がない。本当に、貴女にヤツはそう言ったの?」

「えぇ…えっと、はい。たぶん……聞き違いじゃなければ」

 

「…………」

 

何処か心配げに自身を見つめる響から視線を外した翼は、まるでナニカを押さえつける様に自身の顔を鷲掴みにし、自分の中の心と考えが一致せず酷く混乱する。

 

 

有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない!!

 

ヤツが……奏を見殺しにした“アイツ”がそんな事をする筈がない。

 

ウィンターローズなるテロ組織を、平和なこの国に招き入れる原因を作ったヤツが誰かを助ける筈がない。

 

ヤツは、仮面ライダーは、人類の……私の敵だ!!

 

 

心の中にある仮面ライダーアークゼロに対する憎悪に限り無く近い自身の感情と、目の前の少女が言う気さくな態度を出す事実に混乱するものの、翼はまるで自身に仮面ライダーアークゼロが敵であることを言い聞かせる。

それがいったい何を意味するのか。

方法が如何であれ、思考の沼に嵌りかけていた風鳴翼は、改めて目の前の少女には聞かねばならぬことが沢山ある事を認識する。

仮面ライダーのことも、そうだが、彼女が纏ったガングニールのことも勿論聞かなければならない。

 

「貴女には特異災害対策機動部二課まで、同行してもらいます」

「そ、そんなこと言われても……」

 

困惑し後ずさりする響の周りには、サングラスを掛けた黒服の男達が囲む。自身を囲む黒服の男達の一人の中から唯一サングラスを掛けていなかった優男をイメージさせる男性が、響が知っている手錠よりもよりゴツく、一目で堅固であると分かる手錠を手に近づき、ガシャンと付けられ、彼女は拘束された。

 

「すみませんね。あなたの身柄を、拘束させていただきます」

「エェッ?!いや、あの、ちょっと!?」

 

拘束されるようなことをした覚えは一切ない。

……多少、逃げる途中で物や道路は壊してしまったかもしれないが、それでもここまで頑丈な手錠などされるとは思いもしなかった。そして、抗議の声を上げようとしたところで、背後の方でナニカが倒れる音と共に悲鳴が上がった。

 

振り返ると、その場の誰もが目を見開く。

 

「自分達にとって未知な存在と判断すれば、如何なる手段をとる。やはり、人間というものは、愚かだ」

 

先程まで周囲を警戒していた特殊部隊の面々が倒れており、その近くには顔を丸々覆い隠す三葉虫を思わせる銀色のフェイスカバーをした者の他に、掌からケーブルの様な触手を伸ばしている仮面ライダーアークゼロがいた。

 

「馬鹿なッ!ノイズに有効な特殊装備をした一課の戦闘要員を」

「仮面ライダーさん?!」

 

響と翼はその存在に驚き、響に手錠をかけた緒川慎次はとっさにショルダーホルダーの銃へと手を伸ばしながら響と翼を庇うように前へ出る。2人の周りにいた黒服の男たちもまた懐の拳銃を取り出し、上空にいるヘリは、ライトでを照らし出す。囲まれている状況にも関わらず、仮面ライダーアークゼロとフェイスカバーの者は気にした様子を見せない。

 

「その人達に何をしている!!」

「貴様達…愚かな政府の手先が知る必要はない」

「くくっ、事実でもそう言うなスコーピオン。あえて言っておくが、お前らにとくに用はない。俺たちは、用事を済ませに来ただけだ」

「用事ですか…」

 

フェイスカバーをつけ全身を黒スーツを着たスコーピオンと呼ばれた者の手には、仮面ライダーアークゼロがよく使用する弓状の武器が握られている為、仮面ライダーの仲間であることが見て取れる。そして、仮面ライダーの真意を確かめるため慎次は視線を触手の先に向けると、そこには4年前に仮面ライダーから渡されたプロトショットライザー、アタッシュショットガンが繋がっていた。

 

『我々が与えた武器を我が物顔で使う愚かなオマエ達に、我々からの警告だ』

「破壊はしないでおいてやる。俺達に銃口を向けても、起動しない様にプログラミングしているだけだ」

「我々がお前の様なヤツの言葉を信じるとでも思っているのか!」

 

翼は一歩前へ踏み出し、仮面ライダーアークゼロと向き合う。

その手には、彼女の剣たる聖遺物『天羽々斬』の欠片より造られたシンフォギアのペンダント。

 

「目の前の事実を受け止める事はせず、己の激情に身を任せる。あの時からまるで成長していない様だな。天羽奏が泣いているぞ?」

「黙れ!!奏を見殺しにしたお前が、語るな!!」

 

 

後ろにいる慎次の制止を振り切り、起動詠唱を口にする風鳴翼。

彼女がその身に纏うのは、日本神話の建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)が八岐大蛇退治に使用した刀剣を原典とした天羽々斬(アメノハバキリ)

二課が保有するシンフォギアシステムの第一号。

 

「お前は、私がこの手で斬り捨て、奏の敵を討つ!!」

 

「………操り人形風情がスコーピオン、続きを頼む」

「了解した」

 

ケーブルを自身から引き抜き、スコーピオンの掌に接続し直しプログラミングの続行を任せ、クロスライザーを手に取る石蔵悠星。

彼がその身に纏うのは、悪意の人工知能と1つとなる事で完成する仮面ライダーアークゼロ

又の名を、特級危険生命体1号。

 






次回、翼死す!
デュエルスタンバイ!!
※冗談です


分かる方は、分かると思いますがスコーピオンは滅が正体を隠すためにトリロバイトマギアを想起させる仮面を付けているだけです。服装は、令和ファーストジェネレーションのスーツ姿です。
後、前話に登場したオリジナルキャラクターである
大輔のモデルキャラクターは、皆大好きフワさん
垓斗のモデルキャラクターは、社長ウィルスに侵されていた1000%おじさん
をそれぞれモデルにしています。また、見た目は違います。あくまで、性格や名前がモデルなだけです。

それでは、次回もお楽しみください!

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