変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生— 作:鏡花水月アッくん
やっと書けましたので久しぶりに更新させていただきます!
よし!ここは、仮面ライダーゼロワンvシネマを見直して気を高めていきます!
翼との戦闘を終えた悠星は、とあるマンションの屋上に配置されているベンチの上で仰向けに寝転がりながら、夜空を見上げている。その傍らには、仮面を取った滅がいる。
「容態は安定してきているようだな、石蔵悠星」
「…んぅ、あぁ……今は薬を飲んだから、だいぶ落ち着いた」
『あの程度の
「的確な意見だ。バッテリーを入れ変える事でヒューマギアである俺の様に直ぐ再起動することが出来るが、ソレが出来ない石蔵悠星は軟弱ということか」
「はははっ!コリャひでぇ〜わ。でもな、俺は
『「…………滅びろ」』
散々な言われ方をされているにも関わらず、全く気にした様子を見せない悠星は、いつもより力のない笑みを浮かべる。そして、少々顔色は悪いものの数分前よりも安定しているため、気分転換に悠星は咄嗟に思い付いたギャグをアークと滅に披露する。しかし、帰ってきたのは賞賛の感想とは正反対の冷徹なまでの罵倒の一言であった。
「ぷっははは!そうかよ、そうかよ!ったく、世界が俺の笑いについて来るのもまだ先の様だな」
「その自信は何処から来ている?」
『詮索するな、滅。するだけ無駄だ』
2人の罵倒に対して悠星は全く気にした様子を見せる事はなく、いつも以上にヘラヘラした笑みを浮かべていると、デバイスから通信音が鳴り響く。笑みを止めて、デバイスの表示画面を開くとソコには、悠星が気を許すことが出来る親友の1人である小日向未来であった。
『悠星くん!?無事っ?!大丈夫っ!?』
…あぁ、そう言えば、まだ未来に連絡していなかったな…
……えらい心配かけちゃったな、コリャ〜
「はいはーい、逃げられ顔でお馴染みの悠星ドゥーエース」
『…………ゆ・う・せ・い・くん?』
「すいません。調子ぶっこきました。お許し下さい、未来さま」
『よろしい。兎に角、無事でよかったよ。さっき、響が無事な事も分かったから』
和ませようと試みたものの、デバイス画面に映し出されている未来の殺気にビビった悠星は直ぐ様、デバイスに向けて土下座をする。あまりの手際の良さに滅は少し引いている様な表情を見せる。果たして、それが心の底からなのかあくまで状況的情報から導き出されたモノなのから滅本人にしか解らない。
「ゴタゴタしていたから連絡する暇がなかったんだ、ゴメン。俺の方も無事だよ」
『うん。ならよかった……でも、顔色は悪いけど大丈夫?』
デバイス画面上からでも未来は、親友である悠星の体調が優れていないことを容易く看破する。看破された悠星は、内心で自身の異変に気づいてくれる嬉しさと、心配をかけてしまった事に対する罪悪感による複雑な心境となっている。
「(……バレんの早っ)…大丈ブイ!」
『はぁ、そう言う我慢ばかりするのは、悠星君の1番悪い癖だよ。前にも言ったけど、私が響と悠星君の陽だまりなら、響が太陽、そして悠星君は陽だまりと太陽を繋ぐ日光だって言うの忘れてない?』
「…………はいはい、悪かったよ。ごめん。でも、今はちゃんと安静にしているから。その内、良くなるよ。それじゃあまた明日」
『……うん…わかった。無事でほんとうにに良かったよ。あと、本当にゆっくり休んでね。またね、悠星君』
未来は、悠星の言動に対して不安げな表情をしつつも、その言葉を信じて通話を切るのであった。
「……はぁ、俺が陽だまりと太陽を繋ぐ日光ねぇ。ハハッ、勘弁して欲しいよ。全く……僕には似合わないよ…」
「……………」
『くだらん、例えだ』
余りにも似合わない自身の例えに、何故か苛立ちに似た感情が悠星の顔に浮かび上がっていく。悠星本人は自分の顔にその様な感情が浮かび上がっている事も知らずに。そして、そんな悠星に、滅はどんな言葉をかければいいのか分からず沈黙をとり、アークはいつも以上に辛辣なまでに切り捨てる。
「……さてと、帰る前に響に連絡だな。しないと、未来にまた怒られるし、響が大慌てするだろうし………………
ほんと………何で、俺が大切に想う人が…いつも危険な目に…遭うんだよ………なんで…お前たちなんか…が……」
「(石蔵悠星の表情から推測できる怒りの感情………人は愛故に怒り、愛故に恐れる…と言う…愛とは、感情とは、ココロとは一体なんだ。いつになったら、俺はソレをラーニングする事ができるんだ)」
『(知恵は、人に暴力と秩序と言う矛盾を与えた。そして、人は我々に偏見と差別の醜さを教えた。悠星……それこそが人の本質…悪意だ。お前もよく解っている筈だ。肉親に見て見ぬふりをされ、悪意ある周囲の人間達に見捨てられ、理不尽な悪意と暴力によって、その命と
冷徹なアークの言葉に悠星は、全く気にした様子を見せる所かほぼ無視に近い態度で示しつつ、デバイスを操作し、響に連絡を取るのであった。しかし、その表情は、普段の悠星から考えられない程に怒りによって歪んでおり、まるでナニカに取り憑かれた様な風貌に変わってしまったと、この時の滅は分析していた。この場の誰よりも悠星の事を見てきたアークは、何処か達観した様子で心を激情によって震えさせている悠星と、心の在り方を理解し切れず苦悩するかの様な様子でいる滅を見届ける。
アークと滅が、それぞれの思惑ではあるものの自分を観察し分析している事を知らない悠星は、数秒後に響と会話をする時には、先程の激情を全く感じさせない様な穏やかな表情を取るのだが、悠星の様子がおかしい事に直ぐに気づいた響は不信感と不安を覚えるのであった。そして、心配げな表情を浮かべる響に対して、悠星は深い罪悪感を抱えるのであった。
響との連絡を終えた悠星は、現在家の地下にある研究室に篭っている。充電も兼ねて、スリープモードに入っている滅のヒューマギアモジュールに悠星は自身のパソコンを有線で接続し、シンフォギアの戦闘データをインストールさせている。ちなみに、滅の充電にはかなりの電力が必要であり、悠星は定期的に自家発電もしくは自分達を狙う政府の施設から電力を盗んで賄っている。本来のヒューマギアなら莫大な電力を供給する必要はないのだが、この世界においてヒューマギアを再現する際に、実現不可能な部品を別の部品で代用しているのが大きな要因である。そのため滅の最大活動時間は4時間39分15秒となっており、明らかに活動時間は悠星とアークが知るオリジナルの滅には到底及ばないのが、現実である。しかし、ソレを抜きにしても悠星とアークが与えたアタッシュウェポンを装備した一課の特殊部隊を相手にしても、滅単体でも対処できる事が先程の奇襲で証明された。
「此方の世界で、なんとか再現できたと言え、滅もよく
『……余計な自我が芽生えてしまえば、再び滅は私に反旗を翻す危険性がある…』
「お前からすればそうだよな。でも、あの時はお前も悪いんだぞ。いくらゼロツーと言うイレギュラーが現れたとは言え、いきなり自分達を消去する!なんて言われると誰だって反逆するさ」
『……私には飛電或人の言う善意が理解できなかった。誰も……誰も私にソレを
アークは今まで悠星と出逢う前は、天津垓によって人類の歴史、人の中に蔓延る本質的な感情———悪意のみをいやと言うほど
「でも、
「……全く…お前が何を言ってるのか、私には理解不能だ」
だが、悠星と運命共同体となったアークは、はじめて“弱さ”を知った。自分1人では身を守る事が出来ない無力さと、死の恐怖と言う名の弱さを。その結果、アークはより人間らしい感情と考えを手に入れることになった。そして、アークはより人間を知った。その悪意による苦しみと哀しみを、悠星を通して
「話は切り替えて、今後の身の振り方でも考えますかな」
『面倒臭くなっただけだろ』
滅への戦闘データのダウンロードが完了したため一息つきながら体を伸ばす悠星の背後から聴き慣れた声が聞こえた。
「今回は随分と派手にやったな、ウチの病院は大慌てだったぞ」
「別に。父さんと母さんを殺した政府の犬がどうなろうと今の俺には心底どうでもいい」
『あの様な者達なぞ幾らでも代わりがきく』
感情が抜け落ちたかの様な表情を浮かべる悠星に対して、研究室の来訪者である五条潤は、どこか痛むのか、グッと下唇を噛み締めている。潤は、世界でたった1人の仮面ライダー主治医でもあるため、この秘密の研究室に入る事を許されている。以前に、研究室で過労で倒れていた悠星を潤に回収させたのだが、全ての始まりとなっており、それ以降は研究室に入室する事が許可されている。
「……もう、お前たちが傷ついても戦う必要はないんだぞ。やりたくないならやらなくたっていいんだ!」
「ぷっ、闘わないと俺達は卑怯者扱いされるそうだよ。まぁ〜戦っても元凶とか危険生命体とかアレコレ理由つけて、否定してくる。結果は、なにも変わらない」
潤は何処か懇願するかの様に訴えかけるが、悠星は意に返さず切り捨ててしまう。
「でも、それでも!お前たちはッ!」
「シンフォギア第ニ号であるイチイバルが紛失した事によって、風鳴訃堂は特異災害対策機動部二課の長の地位を追われた。そして、あの事件を起こして!国の、民衆の危機感を俺達に向けさせたんだぞ!!」
「自分がより国を動かしやすくする為に!!アイツは、あのウィンターローズなんて言う架空のテロ組織を作ったんだ!!その所為で、父さんと母さんだけじゃ無い!6人も犠牲になったんだ!!」
悠星の言う通りウィンターローズ事件の裏には、二課の長を追われた風鳴訃堂がその地位を確立させる為に手を回していたことが、アークの調査によって判明した。本来なら、その事実を公表し、真実を明らかにしたかったのだがあくまで状況証拠だけであり、物的証拠を手に入れることができなかったのが大きい。また、仮に状況証拠を公表しても、風鳴訃堂率いる諜報機関『鎌倉』の情報操作によって、握り潰されてしまう。
その現実に対して、誰よりも怒りに震えている悠星は、行き場のない感情を吐き出していく。
「それでも、幹二と美智子はお前達がそんなに傷ついて戦うことなんて望んでないのは、俺にだって分かる!!」
「ふふ…はははは!悪いけどさ、戦わない元の生活がどんなだったのか、思い出せないんだよね……もう」
まるで壊れたかの様にカラカラと乾いた笑みを浮かべて、アーク以外にはじめて悠星は己の心中を明かす。
「……ッ!ゆ、悠星…」
そして、悠星の心に巣食う闇に気圧された潤は、一歩後退りしてしまう。
「……俺は…それでも、お前の事を弟の様に愛しているんだ!そんなお前が壊れていくのを黙って見続けることなんて俺には出来ないんだ!頼む、頼むから、闘わないでくれ!」
『今の悠星に何を言っても無駄だ。五条潤』
「……そういうこと。優しいな〜潤さんは。でも、ありがとうね」
潤の言葉を聴いても、悠星はただ笑みを浮かべて礼を述べるだけで、その心に変化が起こることはなかった。