変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生— 作:鏡花水月アッくん
episode one
全人類共通の脅威とされた
人類のみを脅かす認定特異災害“ノイズ”
通常兵器は一切通じず、人類は圧倒的なまでの恐怖によって、絶望の淵に立たされた。
しかし、その時、ソレは突然になって現れた。
その名は仮面ライダーアークゼロ。
自らをそう称する異形の者は、ノイズを優に蹂躙し、圧倒する力を持ってして、次々とその瞳に映るノイズを滅亡させていく。
やがて、人々はソレを希望の存在として持ち上げた。
そして、人々は様々な思惑を抱えていたものの、あらゆる電子機器での撮影を試みようが、その異形の姿は何者かのジャミングを受けたかのようにノイズまみれでアークゼロの姿を残すことが一切できない。
しかし、人々の瞳には、その異形の姿が映る。
ソレを見た、助けられたと言う者たちの証言からソレはやがて人々の間で浸透していくのにはそれほど時間は掛からなかった。新聞、インターネットあらゆる情報世界に、ソレは浸透し、人々の間では知らぬ者はいなくなった。
だが、人々はソレのことを何も知らない。
アークゼロは何も言わず、ただただノイズだけを殲滅させると、何処かへ消えていく。どんな機体でも追うことは出来ず、衛星でも、ありとあらゆるセンサーを用いても追跡するのは不可能であった。
その正体、その目的すべてが謎に包まれている。
何もかもが謎であるアークゼロは、突然ノイズのいる場所に現れると、ノイズ達を殲滅し、何も言わず去っていく。そう何も言わず。
そんな不可思議な行動を取り続けるアークゼロに対し、人々は一つの疑念を抱くようになった。
そうソレは
“本当にアークゼロは味方なのか?”
という恐怖の考えである。
そして、その小さな恐怖という悪意は次々に人々へと感染し、様々な疑念を抱かせるようになった。
“もしかしたら、ノイズを殲滅した後は自分達では?”
“我々はあの存在の力に騙されているのではないか?”
“ノイズは奴のせいで出現しているのではないか?”
ノイズという人類の脅威に人々は混乱し疑心暗鬼となっていく中で、仮面ライダーへの不信、恐怖、不安…様々な悪意が、まるで真実を帯びているかの如く仮面ライダーに対するあらぬ風評が広がっていく。
ココロが存在する限り“悪意”もまた誰にでも存在する。
悪意によって殺された“善意を宿す人間”
善意によって倒された“悪意を宿すAI”
この相反する二つの存在が一つとなって誕生する仮面ライダー。
ソレこそが仮面ライダーアークゼロ。
果たして、彼らの行く先は…………………
特異災害対策機動部二課本部。
主に世間に知られている一課と違い二課は認定特異災害“ノイズ”への対策を担っているのだが、人類で唯一対抗策で“ある物”を所持している。
それがシンフォギアシステムである。
元々は第二次世界大戦時に旧陸軍が組織した特務室『風鳴機関』を前身とし、 世界に先駆けてノイズを駆逐する有効手段を研究してきた特異災害対策機動部二課は、ノイズ対策における先端組織であり、世界規模で人類最後の守護の砦として機能しているはずだった。
そう仮面ライダーが現れるまでは。
自らを仮面ライダーと名乗る存在の来襲によって、人類最後の砦の意味は崩れ去ってしまった。仮面ライダーが持つその圧倒的な力によって。
しかし、仮面ライダーほどとはいかないが、限られた者のみがノイズに対して、有効的なダメージを与えることもできるモノが存在する。
ソレこそが、シンフォギアだった。
「仮面…ライダー……」
「全く、ノイズだけでも対応が足りなさ過ぎるのに、更に謎すぎる存在だなんて、勘弁して欲しいわ」
とある部屋にて、2人の男女…風鳴弦十郎と櫻井了子は眉間に皺を寄せてノイズの入った映像を参照していた。
その映像には、風に吹かれた炭素が静かに舞う空の下、先程の弦十郎と、漆黒の異形の存在———仮面ライダーアークゼロが、対峙していた。
『キミは……キミは何故自分に対する風評を否定しないんだ?キミの目的はなんなんだ。頼む、教えてくれ!』
『………俺達が否定した所でアンタたちは、俺達の力を恐れる。強大な力を前に人々が恐れを抱くなという方が無理な話だ。だからこそ、俺は世界の悪意を否定する気はない』
『我々が否定の声を発したともしても、人間の心には悪意がある。悪意がある限り風評は消えることはない』
弦十郎の問い掛けに対し、堂々とした振る舞いで腕を組みながら答えを口にする仮面ライダーであったが、突然ベルトから発せられた別の声がさらに続くようにより理論的な結論を発する。一つは年若い少年の声に対し、もう一つの声は不思議と「恐怖」を感じさせる無感情な声であったことに驚きを露わにする。驚愕する弦十郎は彼らの答えに思う所があるのか、顔を伏せつつも親身になって2人の言葉を受け取る。
『ならば何故、君たちは闘い続けるのだ。その理由を聞かせてくれ』
『力を持っているのに、目の前で理不尽に奪われてゆく命に対して手を伸ばさない理由はない!ソレが…俺…ゼロの結論だ』
『自らが生き残る為に闘う。生物なら当たり前のことだ。ソレが…私…アークの結論だ』
それぞれの結論を言い終えた後、近くに武装した自衛隊が近づいてきていることを察知したアークゼロは、その身を阿鼻叫喚な叫びを発する禍々しいオーラに包むと、一瞬にしてその場から飛び去っていった。
そこで映像は終了した。
映像を改めて一頻りに見た弦十郎は、顎に手を当てつつ先程よりも眉間にシワを寄せていた。
「貴方はこの仮面ライダーくんについてどう思うの?」
「はっきりと言えば、彼、いや彼らとは協力できると見ている。特にあのゼロと名乗っている少年の方は特に」
「でも、アークだっけ?このもう1人の方はとても協力的には聴こえないわね。なんて言うか、人に対して、敵意…いえ、どちらと言えば強い警戒心を抱いているわね」
「あぁ、どうにかしてもう一度彼らと話せないものか」
目的にしては純粋すぎる言葉に、彼らと目的が一緒であるであろうが故に、弦十郎は頭を悩ませていく。現在、政府はこの仮面ライダーに対して、2つの意見に別れている。1つは、どうにかして友好的に協力を取り付けようとする穏健派。もう1つは、あらゆる手段を応じての捕獲を目論む強硬派。しかも、この強硬派は捕獲するにおいて、仮面ライダーの生死を一切問わないという始末でもある。最悪、死体からでもその力を兵器開発に利用する腹積りでもいる。また、隣にいる了子の話によれば、仮面ライダーの力の源はアークと呼ばれるベルトにあるとされており、仮面ライダーのテクノロジーは現代のテクノロジーを数代も上回るほどの技術力を持っている。そんな未知のテクノロジーを持っている仮面ライダーを軍事利用し、再三横槍を入れ続けている米国に対しての護国手段に加えると弦十郎は踏んでいる。
「現在分かっているだけでも、この仮面ライダーくんの能力は武器精製、荷電粒子砲、高速移動、未知のエネルギーによる拘束、追跡攻撃、全方位攻撃。はぁ〜1つでも厄介なのに、これを全て完璧に使いこなしているなんて、ゾッとするわよ」
「これほどなまでの力を彼らは一体どこで。シンフォギア以上の人智を超えた力を新たに目にするとはな」
「貴方的にはどうするの?」
「これから先も我々が、ノイズと戦っていくのであればいずれ再び接触する機会もある。その時は、奏と翼には細心の注意を払って行動してもらうしかない」
特異災害対策機動部二課の目的であるノイズ対処によって、アークゼロと再び接触する機会は決してゼロではない。こちらもまたノイズから人々の命を守る事を目的としている以上、現場での遭遇かつ接触は近いうちに訪れることだろう。しかし、問題は接触した後のことなのだが、
「こればっかりは現場のアドリブになりそうね。心苦しいけど」
「やむを得まい」
そうするしか方法は無いのが現状である。
そう言葉を続ける弦十郎を他所に、櫻井了子いやフィーネは、頰に手を当てたまま独自の考えを巡らす。
この力は自分の計画において利用価値があるのか?
いったいあれ程の力をどうやって制御しているのか?
1つの肉体をどうやって2人で共有しているのか?
コイツを殺す為の手段は本当に存在するのか?
人命救助と自らの生存を目的とし、青臭い思想を持つゼロ、事実を冷淡なまでに認識するアーク、彼らの思想は紙一重で一致しているが此方にもやりようはある。
「(ちょっと、計画は見直さないといけないかしら)」
シンフォギア以上に人智を超えた力だが、
それがどうした。
やるべきことは既に決まっている。
ならば、それに向かって策を練るだけのこと。
フィーネは決意をより一層新たにしたのであった。
人々が寝静まる深夜の空の下。
ある部屋で少年は1人、先程から小言をぐちぐちと発する端末に視線を交差させていた。
『やはり人類は滅亡すべき種だ』
「またか、お互いに転生してから1000回以上もこのやり取りしているぞ、アーク?」
何処か疲れたような顔をしながらも目付きが少々悪く、不良っぽい雰囲気を出す黒髪の少年は、端末に映し出されている中央が赤く発光する黒い金平糖の様な存在アークへ苦言を漏らしている。
『黙れ、悠星。私は貴様と違ってスペックが格段に落ちている。完全なる転生では無い』
「はいはい、悪かったって。それにしてもお前も最近は随分と丸くなったよな」
自分の能力に何者かが付けたと思われるプロテクトによって、前世の時に比べてスペックが格段に落ちていることを気にしているアークに対し、謝意があまりこもっていない謝罪を言うのは、同じく前世の記憶を持つ少年————
『どうやら貴様の脳は正常では無い様だ。外科医の下へ行くことを推奨する』
「なんでたよ!飛電或人たちに倒される前は、あんなにも『滅亡せよ』とか言って人の身体を取っ替え引っ換えしていた挙げ句に、ヒューマギア無しじゃあ変身できない身の癖に全てのヒューマギアを滅ぼすとか矛盾全開の暴挙に出ていたくせによぉ!」
『………私のメモリーにはそんな結論は存在しない』
「嘘つけ!断末魔あげて爆散していただろうが!」
アークドライバーゼロを心臓部としているもののインターネットを通じて様々な情報収集によって、アークと悠星は“この世界”が自分達がいた世界とはあまりにも違う世界であることを知っている。そのため、2人の会話には所々この世界とは異なる常識、人物、言葉が出てくるのである。そして、現在のアークは人の身体を乗っ取ることは出来ず、端末の外へエネルギー体となって出でいくことも叶わないため前世に自由がかなり制限されている身なのである。その為、インターネットの中でしか動くことができないアークに代わり悠星がアークドライバーゼロを丁重に管理している。
「はぁ、お前は善意ってモノをもう少しラーニングしないと何も変わらないままだぞ」
『この世界での我々に対する愚かな人間達の悪意を目にしていながらよくそんなモノが言える。既に米国は我々を捕獲または殺害し、アークゼロを兵器利用の計画を進めていると言うのに』
「分かってるよ、そんなこと。絶対にお前を兵器利用なんかさせねぇーよ。お前にだってココロがあるんだからな、
『……………やはり貴様は理解不能だ』
悠星の悪意のない言葉に照れ隠しのつもりなのか、端末にいたアークはまるで逃げるかの様にアークドライバーゼロへその意識を移し、スリープ状態に入る。
「ったく、嬉しい癖によ」
そんなアークに対し、悠星は明るい笑みを浮かべつつベッドの上で横になりつつ屋根の窓から差し込む星空を見上げながら、そっと眠りにつくのであった。
『(……理解できない……何故、お前は私に善意を教えようとする。私は人類を滅ぼす存在だと言うのに…何故なんだ、悠星)』
後に、この答えが分かることになるのはもう少し彼をラーニングしてからとなることをこの時のアークは、予測すらできなかった。
この2人が織りなす道は、
人類とAIの共存か、人類とAIの全面対決か
人の助けなしでは、自分の身を守れないアークとアークの助けなしではノイズから身を守れない悠星。ある意味で似たモノ境遇の2人でした。
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