変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生—   作:鏡花水月アッくん

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今回はホッコリする話です!
それにしても、仮面ライダー滅亡迅雷が堪りません!
早く見たい!!どう変身するか!



episode six

悪意というものは誰にでもある。

だが、対に善意というものも存在する。

 

家族にもっと楽な生活をさせてあげたい。

会社を儲けさせたい。

何かを守るためにチカラが欲しい。

 

という様々な思いは、人によっては欲望(エゴ)とも言える。

 

「……でも、それを否定すれば…何もなくなるな。この世界は」

 

それは人々が正しくあろうとする努力を否定することにもなる。

そうなってしまえば、この世界には未来はなく、あるのは絶望だけ。

それは本当に悲しいこと。

 

そして、アークも悲しい存在だと俺は思っている。

結構失礼かもしれないが。

悪意を産む存在である人間を滅ぼすことで、アークも地球を救おうとしていた。だが、何処で道を誤ってしまったのか、アークはやがて自分以外の存在を自身を滅ぼす害悪と判断し、人間、同族とも言えるヒューマギア達に刃を向けてしまった。その結果、アークは人間とヒューマギアによって滅ぼされてしまった。

本来ならアークは、衛星ゼアの様に善意と悪意をそれぞれ学ぶことができれば、人類との共存も望めたのではないのかと思う。現に、俺とアークは共存し、協力し、生活することができている。

 

こんなにも近くに善意のカケラは存在するのに、どうして悪意の渦は更に強大なんだろうか。

 

「はぁ……どうすれば…止まるんだろうな…」

「何が?」

 

無数の果物が入った果物入れを持って、悠星は立花響の病室へ向かう中で独り言を呟いていると、背後から聞き覚えるのある声が彼の耳に入る。

 

「よっ、風邪はもう良いのか。小日向?」

 

後ろを振り返ると、そこには今日体調不良で休んでいるはずの小日向未来が、綺麗な彩りのある花が入っている花瓶を持っていた。

 

「うん。ズル休みしちゃった。でも、どうして石蔵くんがここに?」

「プリント届けに。後、見舞いだ」

 

「そっか……その…よかったの、響の所に来ても?」

「こんな見た目してる奴を相手にするほど、根性がある奴等は居ない」

 

謎のドヤ顔をする悠星に、未来はどう反応して良いのかわからないため、口元引き攣りつつ無理矢理笑みを浮かべていた。改めて、目的地である病室を発見し、入り口に掛けられている名前は立花のみであったため彼女の一人部屋のようだ。

ノックをし、中から大人の女性の返事を聞いて入室すると、そこには立花によく似たおそらくは立花響の母親であろう人が椅子に腰掛けていた。かなりそっくりだ。多分、立花をもう少しお淑やかに成長させたら、こんな風になるんだろう。

 

「あら、貴方はどなた?」

「ども、娘さんのクラスメイトで、人相の悪い真面目兼ボッチヤロウでお馴染みの石蔵悠星と申します。娘さんへのお見舞いとプリントを持ってきました」

「どういう紹介の仕方ぁ!?」

 

悠星のボケ1000%の自己紹介に未来はツッコミを入れ、響の母はどう反応していいのか分からない為、先程の未来と同様に引き攣った笑みを浮かべてしまう。

 

「あ、コレつまらないモノですけど、どうぞ」

「そ、そうなの。ありがとう、娘も喜ぶわ……」

「ま、マイペース………石蔵君ってこんなキャラだっけ?」

 

先ほどまで表情を曇らせていた未来であったが、悠星の謎のペースに振り回されているためコロコロと表情が変わっている。そんな謎のテンションの悠星は、困惑げな響の母にフルーツバスケットと共に丁寧にファイルに収納されているプリントを手渡す。そして、暗い雰囲気とは異なる謎の空気が立ち込める病室に暫く沈黙が流れていたが、その沈黙は突然鳴り響く携帯の着信音によって破られた。

 

「あら、私ね。ごめんなさい、少し出て行くわ。2人ともゆっくりしててね」

「あ、はい」

「うっす」

 

一断りを入れて親御さんは退室し、部屋には又もや暗い表情の小日向、眠っている立花と俺の3人が残された。当然ながら、会話など起ころう筈もない。あんな感じに和ませてはみたが、やっぱり一時凌ぎにしかならないか。

彼女らが終始無言で居るというのは珍しい事だが、致し方ない。小日向は、自分がライブに誘ったことで親友の立花が事件に巻き込まれてしまった上に、重傷を負ってしまった。その上、マスゴミどもによって悪意の渦に呑み込まれようとしている。そんな事態を自分が引き起こしてしまったと、自責の念を抱いているのは、間違いないだろう。こんな風に他人を想うことができる小日向は父さんや母さん、潤さんの様に本当に良い人間なんだと改めて痛感する。ちょっと不謹慎かもしれないが、さっきの親御さんは全く小日向に向けて悪意の目を向けていなかったことに驚いた。普通なら、娘がこうなってしまった原因の1つと言われてもおかしくはない。それなのに、あの人はそんなことを言う所か娘の側にいて欲しいと言っている。

 

「(やっぱり、善意の心を持った人々もこんなにも近くにいるんだな)」

「……響、石蔵君が来てるよ。そろそろ寝たフリは辞めて」

 

「えっ?」

 

小日向が椅子に腰掛けて立花の手を握り始めたため、お邪魔と思い退室しようとしたら、聞き捨てならないワードに思わず振り返ると、そこには、

 

「あ、やっぱりバレちゃった?」

「石蔵君が、変な自己紹介の時に笑うの我慢してたでしょ。口元、ひくついてたよ」

「ほぼ最初からじゃねぇーか!?」

 

ちょっと窶れているが、ぎこちない笑みを浮かべて立花が起きていた。

 

「ゴメンね、悠星くん。こんな遠いとこまで、大変だったよね」

「いや、そんなに大変じゃなかったから気にしないでくれ。というか、よく小日向は気付いたな。立花が起きてること」

「親友だから」

 

先ほど暗い表情とは打って変わり、未来の表情には謎のドヤ顔が浮かんでおり、今度は悠星が困惑げに口元を引き攣らせる。

 

「……でも、未来にも言えることだけど、ここには来ない方がいいよ。2人も、その、みんなに……」

 

正直に言って、かなり驚いた。ずっと寝ているはずなのに、何処で聞いたのかは定かではないが、それでも自分より他人のことを優先するなんて。やっぱり、立花や小日向は良い人間な様だ。

 

「私に関わっちゃうと、悠星くんが友達に……」

「それは大丈夫。だって俺、ボッチだし。こんな人相の悪い奴にちょっかい出す根性がドブどもがあるとは思えないし」

 

俺の素晴らしいジョークを聞いて、立花と小日向は2人ともポカンと口を開けたまま固まっている。

返事がない。唯ノ屍ヨウダ。

ヤベェ、滑ったなコレ。

少しでも場を和ませようとジョークのつもりだったのだが、アークにも言われたが、やはり俺には飛電或人並に笑いのセンスはない様だ。ちょっと落ち込むな、コレはコレで。

その後、あまりの沈黙に耐えかねたのかオロオロし始めた悠星のリアクションが面白かったのか、響と未来は同時に噴き出してしまう。その結果、2人の顔には、穏やかな笑顔が溢れ出した。

 

なんだろう……複雑だ。笑顔になってくれるのは嬉しいはずなのに、素直に喜ばない。

 

「私たち、もう友達でしょ?」

「俺と、2人が、か?」

「何言ってるの、当たり前でしょ?」

 

俺が……この2人のともだち。

ともだち…友達か、こんな僕にも友達…が、できるんだ。

 

「石蔵く…ううん、悠星くんはこんなに優しい人だもん」

「そうそう、私と未来はもう悠星くんの友達だよ。それに友達がいないなら、私達が悠星くんの友達になればいいんだよ」

 

ははっ、こんなことを平然と言ってみせれるのは、きっと彼女たちの心の強さなんだろうなぁ。こんな2人が、あの時僕の近くにいてくれたら、変わって……いや変われたのかな。

『立花響にはなんの取り柄もない』なんて言った奴は、とんだマヌケだ。確かに、立花響は、成績はお世辞に良いとは言えないし、凄くスポーツができる様な運動神経はしていない。加えて、クラスの中心的人物になれる様なカリスマ性を持っているわけでもない。

それでも、それでも立花響だけしか持ってないモノがある。

まだまだ元気が足りていない立花の弱々しい笑みを見て、不思議と俺も釣られて、口元が緩んでしまう。

 

人を笑顔に出来る優しさ。

それがきっと立花響にしかない強さなんだろうな。

 

少し……羨ましいと思う。

 

俺は、アークがいないと家族を守ることも、理不尽という名の“ノイズ”から人を助けることもできない。

それに例え、護れたとしても誰も僕達を見てはくれない。

奴らが見ているのは、アークのチカラだけ。

誰も僕達の言葉を、嘆きを、叫びを聴いてくれない。 

 

でも、もしかしたら、2人なら聴いてくれるのかな。

 

 

 

 

 

 

 

響と未来の2人と友達になった悠星は暫くの間、面会時間が終わりまで談笑していた。そして、未来と共に病院の外へ出た悠星は空を眺めると、すで太陽は沈んでおり、真っ黒な夜空が広がっていた。

 

「未来は1人か?1人なら送って行こうか?」

 

すっかり夜になっているので、流石に未来の様な少女をこんな夜道を1人で帰らせるわけには行かない上に、今は何か危険があるかもしれない。起きてからでは、遅いし。

そもそも未来の家の場所まで分からないが、同じ中学に通っていることだ。距離的には俺の家とそう変わらないはず。

 

※この時、アークに未来の住所を調べて貰えばいいのだが、アークが今朝からずっとスリープモードなため、悠星はその方法を忘れていた。

 

「大丈夫だよ、お母さんが迎えに来てくれるから。ありがとうね、悠星くん」

「ほほう、親御さん公認のズル休みか」

 

「あはは、そんな感じ」

 

如何やら、本当に親御さん公認のズル休みの様だ。

親御さんが迎えに来るのなら、安心と言えば安心だ。

響の入院しているこの病院は、少々地元から離れた所に立っている為、未来がどのようにして来たのか気になっていたが、コレで解決した。そもそも免許を取得できる年齢ではないため、自然と交通手段は親御さんの迎えか、中々に高いタクシーまたは電車に限られる。ちなみに、俺はデート中の潤さんに送って貰った。めちゃくちゃ嫌そうだったが、今の彼女さんが子供好きな為寧ろ高ポイントとなったらしい。

 

「親御さんが来るなら安心だな。また学校で」

「うん、あのね悠星くん……」

 

歩き出そうとした所で、未来が何か言いたそうなので足を止める。

今思うと、未来とちゃんと話すのは初めてかもしれない。いや、そもそも俺はクラスでもあまり誰とも喋らない。それに今まで話したことは、主にクラスでの仕事のこと、先生からの伝言などと言ったコミュニケーションと言い難いものだった。

そもそも僕は、女子とそんなに話をするタイプではない!!

と言うか、女子を下の名前で呼んだのなんて前世と今世を合わせてもはじめてである!!

そんな下らないことを考えていると、

 

「本当にありがとう」

 

眩しいほどの笑みを浮かべて感謝を未来が述べてくれた。

 

「いやいや、感謝の言葉を言われるようなことはしてないぞ」

「ううん、響のこと、心配してくれてたでしょ。それだけでも、私は本当に嬉しかったの…………他の人は…誰もしてくれなかったから」

 

後半の部分はかなり絞り出す様に、擦り切れてしまいそうなほどの声量で未来は呟いた。

 

「なぁ、未来はこれからどうするのんだ?」

「え?これから?」

 

響や先生も言っていたが、俺も未来が心配だ。

響が退院し、再び学校へ来れるようになれば、十中八九直接的な嫌がらせが始まる。確実に。未来がこのまま響と共に居続ける選択を取れば、間違いなく未来もターゲットにされてもおかしくはない。まぁ、そもそも未来と響の2人がターゲットにされようとも、大抵のイタズラならアークの予測を借りるしかないが防ぐ。加えて、何か物を隠されようがやりようはある。大体、隠す場所の目星などつく。ああいう奴らは、単純だからな。

しかし、精神面は……僕では無力だ。たださえ、今日2人と友達になれても支えれる自信はない。

 

「私はずっと響の側にいるよ」

「自分が巻き添えで虐められてもか?」

 

「……うん。私は響の親友だもん。今だからこそ、こんな状況だからこそ言えるの。私にとって響は、誰よりも大事な人なんだって……本人には恥ずかしくて言えないから内緒にしてね」

 

未来の真っ直ぐな瞳から強い決意を感じ取った俺は静かに頷く。

未来には、大切な人を支え続ける優しさという強さがある。

 

やっぱり、この2人は強くて、優しくて、良い人間だ。

 

「そっか、なら俺から何も言わない」

「うん、ありがとう」

 

「でも、何か有ったら……俺を頼ってくれ。絶対2人の力になってみせるから」

「……ッ!?…うん………ぅん……本当にありがとう。悠星くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***************

 

 

 

時刻はちょうど0時。

真っ暗な部屋で、悠星は目の前に設置されているモニターに映し出された存在に向き合う。

 

『お前から抽出された悪意は、とうとうコレで4つとなったぞ』

「あぁ、分かっているよ。

 二度目の死に対する《恐怖》

 自分の無力に対する《憤怒》

 ノイズを倒すために必要な《闘争》

 悪意に満ちた人間への《憎悪》

 この4つだろ、アーク?」

 

真剣な顔付きで悠星は自らが抱いてしまった悪意を改めて自覚し、目の前のモニターに映し出された存在———悪意の人工知能アークに対して、何処か困った様な笑みを浮かべている。

 

『“善意”などいう不要なモノが私に宿ることはない。

悪意”に染まったお前が私の器となる結論は既に出ている』

 

そんな悠星に対し、アークはまるで悠星の神経を逆撫でするかの様に煽りながら語る。また、アークの言葉の節々にある自身を戒めるかの様な感情を悠星は表情を変えることなく感じ取る。

 

「……かもな。でも、それでも響や未来の様に必死に抗って生きようとしている人間たちはいる!」

『だが、そんな人間達こそ自らの私利私欲の為に生きる愚かな人間達の餌食となっている。それを一度前世で体験したお前が1番よく分かっているはずだ。だからこそ、人類は全て抹殺するべきなのだ』

 

そんな警告とも取れる言葉を発するアークに、悠星は肩を竦める。

 

「その全てには、僕も入っているのか?」

『…無論だ。既に人類滅亡への結論は予測済みだ。この結論が覆ることはない』

 

『お前は今まで見てきたはずだ。悪意ある人間の悍ましさ、愚かさ、そして醜さを。この世界の人間たちは、誰もが我々アークゼロを恐れている。人類は、我々の声に耳を傾けたことはない。悪意に染まりつつあるお前が、身を持って証明している』

「そうだな。それでも、父さん、母さん、潤さん、響や未来の様な存在は確かにいる」

 

一瞬たりともアークから目線を晒すことはせず、悠星はたった1人のアークの相棒(バディ)として、相対する。

 

『己の可愛さに平気で他者を犠牲にする者達がいる』

「大切な人を守るためにその身を犠牲にして戦う人達がいる」

 

血を流し、歌を歌い、人の心に希望と言う光を灯すことができる歌姫たち。

 

『周囲の状況に流されるまま、他者を傷つける者がいる』

「友達の為に必死に手を伸ばし合い、お互いを助け合う人を見た」

 

自分達がとても危険とも言える状況にもかかわらず、お互いの身を案じ合う少女たち。

 

『チカラに恐怖し、他党を組み異端者を排除しようとする愚かな者達がいる』

「強大な力を目にしても、変わらず愛を注ぎ続けてくれる人達がいる」

 

不安定で、まだまだ未熟で中途半端な自分を誇りに思い、帰りを待ってくれる家族。

 

「人には、そう言った素晴らしい“善意の心”があれば、お前の言うように醜い“悪意の心”も確かにある。だからこそ、あの人達にも素晴らしい面があるんだってもう一度信じたい」

 

 

「僕が、お前を信じている様に

 俺はまた人間を信じられる様になりたい

 僕はお前と一緒に人の優しさをラーニングしたいんだ」

 

『…ッ!?』

 

アークの内臓メモリーの中に一瞬だけノイズの様な波紋が広がった。コレで人間で言う動揺であるが、余りにも一瞬のことであったため今のアークでは、気づけない。

 

『…くだらない。理解不能だ』

「分かってる。アークの心の闇を祓うのなんか並大抵に出来るもんじゃないことぐらい。だからこそ、俺もお前に負けない様に頑張るさ。友達として、相棒(バディ)として、そして、家族として」

 

『……お前は私の道具に過ぎない。それを忘れるな』

 

そう言ってアークは一方的に会話を終わらせると、アークドライバーへと戻り、再びスリープモードへと入ってしまった。

 

「……俺は、僕は、アークを通して、また誰かを信じられる様に頑張るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アークゼロだけに自分の悪意(アーク)もゼロってね」

『0点だ。実に下らない。飛電或人以下だ』

 

グサッ!

 




テレテレッテッテッテー
悠星は、未来と響と友達になれた。
同時に人の善意を少し信じられるようになった。

アークは、悠星から新たな悪意を抽出した。
同時に悠星に対するツッコミ力が1上がった。

もしもアンケートです!アナザー悠星をどんな仮面ライダーがいいでしょうか?

  • 仮面ライダーカリバー
  • 仮面ライダーエボル
  • 仮面ライダーダークドライブ
  • 仮面ライダーダークキバ
  • 並行世界でもアーク様!!
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