変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生—   作:鏡花水月アッくん

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今回は、ちょっと短かめで、いつもとは違う方の視点での話です。
最近になって、ちょくちょく思う様になりました。
本作のアーク様が、きちんと原作のアーク様らしさを出せているのか分からなくなって来ました……ヤベェーイ。





episode seven

ツヴァイウィング・ライブ会場で起きた事件から1ヶ月の月日が流れた。

 

特異災害対策機動部二課本部。

緊張した空気が部屋を支配する中、風鳴弦十郎はいつもならスーツを着崩しているのだが、今日ばかりはそうは行かずしっかりと身嗜みに身を包み、これから大事な交渉へ赴くべく、

 

「よしっ!!」

バコォォォォン!!

 

在らん限りの力で自分の両頬をぶっ叩いた。すると、凄まじい炸裂音が緊張の空気で支配されている部屋中に鳴り響く。

 

「む?どうしたのだ、みんな。ひっくり返って?」

「……げ、弦十郎くんの……せい…よ」

 

じんわりと痛む頬によって緊張がほぐれた弦十郎は、周りを見渡すと何故か頼りになる仲間達が耳を押さえて、倒れているではないか。弦十郎の疑問に答えたのは、1番近くにいた櫻井了子であった。OTONAである弦十郎が、思いっ切り自分の頬を叩けば、凄まじい炸裂音が発するのは当たり前。その炸裂音は、軽く脳震盪を起こしかねないほどの灰爆音でもある。そのため、彼の周りにいた仲間達は地に沈む羽目になったのだ。

 

「おっ、そうだったか。すまんすまん。何せ、あの仮面ライダーからの呼び出しを受けたんだ。俺とて緊張もするさ」

 

そう、全人類の中で最も神経が図太いと影で言われている弦十郎でさえ、緊張を隠せないほどの相手とは、仮面ライダー。

全世界が、どれほど力を尽くしても未だにその正体すら掴めていないにも関わらず、先日彼らが所属する二課のコンピュータをハッキングする形でコンタクトを取ってきた。その内容は、直に会って話をするというもの。加えて、条件として、来る相手は弦十郎とし、発信機および同行者を認めないという物。普通なら、そんな条件を飲める訳はないのだが、条件を飲まなけれは二課の存在を公にすると脅して来たのだ。そのため、仮面ライダーを軍事利用させる前にアメリカから再三横槍を入られている政府としては、自分達がシンフォギアと呼ばれるノイズに唯一対抗できる兵器の存在を秘匿しているとバレれば、全世界から仮面ライダーの様に非難される。そんな事態を避けるために、仮面ライダーから提示された条件を渋々飲むこととした。

 

「よし、いくか!留守を頼むぞ、了子くん」

「はいはい、天才(てぇーさい)考古学者で出来る女の櫻井了子様に任せておきなさい」

「ガチコンだけはやめて下さいね、司令」

「司令、お気をつけて」

「ご武運を、司令」

 

こんな時でも呑気でマイペースな了子、特に弦十郎なら大丈夫だろうとあまり心配していない緒川慎次、職務に真面目な藤尭朔也と友里あおいの言葉を聞き終えると、弦十郎は仮面ライダーが指定した場所へ車を走らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

***************

 

 

数時間後。

とある山奥にて、2つの人影が並んだ。

1人は、特異災害対策機動部二課の風鳴弦十郎。

もう1人は、漆黒の戦士である仮面ライダーアークゼロ。

沈黙が支配する中で、全く敵意を見せない弦十郎に対して、アークゼロこと悠星は話を切り出す。

 

「約束通り、発信機も護衛も付けずに来てくれたことを感謝する。風鳴弦十郎」

「いや、礼を言うのはこちらの方だ。今まで、無力な俺達の代わりに多くの人々を護ってくれて、ありがとう」

 

一切の悪意のかけらを見せない感謝の言葉と意思を見せた。はじめて、弦十郎と相対した時から、この男は善意で動くことが出来る大人と理解していたため大したリアクションもなく、悠星は静かに感謝の言葉を受け取る。

 

「早速だが、此方からお前達に要求したいことがある」

「……我々に頼まなくても、君達なら大抵のことはできるのではないのか?」

『それができないから、お前の様な愚かで脆弱な政府の人間にコンタクトを取っているのだ』

 

「痛い所を突いてくるな、キミは」

『我々を殺し、軍事兵器に利用しようとしている者達に敬意を払う理由などない』

「そう言うな、アーク。しかし、此方としては、人権もへったくれもない“特級危険生命体”として指名手配するつもりでいる上に、此方の生死を一切問わない“仮面ライダー捕獲作戦”ていう馬鹿かげたことをしようとしている政府に対して、自分の身を差し出すほどおめでたくは無い」

 

「なっ!?なぜ、君達がそれを!その作戦は、一課が極秘裏に進めているはずだが……もうそこまで政府の情報を掴んでいるとは、君達の情報収集能力は凄まじいな」

 

頼りになる部下である緒川によって、官僚やタカ派の議員達によって極秘裏に一課で進められている“仮面ライダー捕獲作戦”の内容を最近知った弦十郎としては、驚きを露わにせざるを得ない。勿論、この作戦を悠星が知ったのは、アークのハッキング能力によるもの。なお、この作戦は二課が使用しているノイズ検知システムにワザと嘘のノイズ警報を鳴らさせることで、同様のシステムを盗み出したアークゼロを誘き寄せた後、音響兵器を用いて動きを麻痺させ、数に物を合わせて、集中砲火を浴びせるもの。この作戦の詳細を知った時の悠星の怒りは凄まじかったのは言うまでも無い。

 

「そんなことはどうでもいい。それよりも、そんなことを企てている政府を信用しろと言う方が無理な話だ」

「確かにそうだな。俺としては、君達を二課に所属してもらいたかったのだが、やはり君達にとっては政府の管理下に置かれるのは危険すぎるな」

『人命よりも機密を優先にしているお前達に、我々のアークゼロを任せられる結論など存在しない』

 

「話を戻すが、俺から貴方達…日本政府にどうしてもやってもらいたいことがある」

「やってもらいこと?内容によるが、俺個人としてはもっと君達と話をして、少しでも君達が人類にとって無害の存在であるということを証明していきたいから、あまり無茶なことでなければ応えよう」

『実に愚かな存在だ、お前もゼロも』

 

相変わらずのアークの毒舌に聞き慣れているゼロこと悠星は、半ばBGM感覚で流しながら、個人的な願いを口にすることにした。

 

「最近、各地で起こっている“あの事件”の被災者達へのタチの悪い迫害を少しでも止めるために、被災者達の近辺警護を頼みたい」

「……それははっきり言うと厳しい。あの事件で、二課への信用は格段に落ち、以前よりも官僚達に何か言えるほどの立場ではなくなってしまった。すまない」

『お前達が無力なのは承知の上だ。だからこその交換条件だ』

 

「交換条件?」

 

そう言ってアークゼロは弦十郎から少し離れると、物陰に隠していた大型のトランクを背負ってくると、弦十郎の前に置いた。ちなみに、弦十郎はゼロのことを年若い少年と認知しているため、運ぶのを手伝おうとしていたが、アークと悠星の無駄にあった拒否の言葉で断念したのは余談である。

 

そして、置かれたトランクに取り付けられているパスワードを入力すると、ロックが解除され中に入っているものに弦十郎は驚きを隠せなくなる。

 

それは、

 

「アタッシュショットガン4丁、プロトショットライザー5丁。どちらもノイズに対して、有効な武器であり、アークが生み出してくれた物だ」

 

アークゼロがたびたび使っている武器であった。

 

「コレを渡す条件に、官僚達に掛け合って欲しい。謎の多い特急危険生命体から、これだけ武器を譲渡されれば上出来だろ」

『コレだけの武器を譲渡される上に、我々にコンタクトを取れるのは二課の司令であるお前だけとなる。そして、お前達二課が所持するシンフォギアへの重要性はさほど低下せず、お前達の地位は戻るどころか、以前よりも高くなると予測済みだ』

「有り難すぎるな、コレは。しかし、なぜ君達は俺達にこんなにも肩入れしてくれるんだ?今まで、どの国とも接触することはせず、ノイズを倒して即離脱を繰り返していたほどに、他者を警戒している君達が」

 

『この愚か者のお人好しが出ただけだ』

「おいっ!」

 

お人好しという本当かどうかは疑わしいが、少なくとも弦十郎からすれば、自分をほっぽり出してドライバーにいるアークと口喧嘩を始めたゼロを見る限りでは普通の少年と何ら変わらないことを改めて認識させられた。

 

「ふふ、そうか。やはり君達は、人類の……いや人の味方のようだな。今まで多少なりとも疑っていた自分が恥ずかしい限りだ」

『勘違いするな。私はお前達…悪意を産む権化である人類を信用しない』

「人間は、どこまでも身勝手な生き物だが、その中にも善意で生きる人達を見捨ていい理由がないだけだ。しかし、俺の相棒(バディ)であるアークを利用しようとしている政府は信用に値しない」

 

「厳しい限りだ。だが、これだけは信じて欲しい!俺達は、人の命を守る決意を!!」

「……………………組織は信用しない」

 

弦十郎は出来る限り自分なりの決意を真っ向から示すが、まだまだ自分達と彼らとの間には分厚い壁があることを痛感する。しかし、その心には明らかに以前よりも晴れやかなモノとなっている。

 

「だが、アンタなら信用しても良さそうと思える様に、してくれ。俺は……同じ人間によって、傷つけられて絶望していく人々を見てきたから」

「わかった。ありがとう、ゼロくん、アークくん…いや仮面ライダーアークゼロ!」

『気安く私の名を呼ぶな』

 

「政府が要求通りの対応を取ったことを確認したら、此方から遠隔でアタッシュショットガンとプロトショットライザーのロックを解除しよう。そして、ケースに格納されているデバイスを起動すれば、それぞれの使い方が判るはずだ」

「分かった。俺達も君達の期待に応えられる様に最善を尽くす!」

『此処で感情を昂らせた所で、政府側が此方の要求に応える時間の予測は変わらない』

 

こうして、二課と仮面ライダーとの間で行われた非公式の会談は無事に終演を迎えた。

 

だが、この選択によって後に悠星の心の中にある

悪意の侵食”は大きな唸りを上げ、激しく鼓動することになるのを、誰もまだ予測できなかった。

 

その結果、誰にも気付かれる事なく、

 

殺意絶望が悠星の善意を呑み込むべく、

 

すぐそこまで迫っている。




余談ですが、プロトショットライザーは、ゼロワンで一回だけ登場した銀色のショットライザーです。変身機能は有りません。


原作が開始される前に、オリキャラ設定として悠星とアーク様の補足説明の話を出します。
後、並行世界でもアーク様推しが多かったのは完全に予想外でした……どうしよう…。

ヒロインアンケートです!ただし、アンケート通りになるかは分かりません!!ご注意を!

  • 頑張ってハーレム目指そう!
  • 誰かに縛るべき!!
  • リア充◯すべし!
  • 全てはアーク様の意志のままに……
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