変身絶唱シンフォギア—悪意のAIと共に転生— 作:鏡花水月アッくん
byキャプテン・アメリカ
多くのヒーローの中でグッと刺さる名言の1つと私は考えています。皆さんはそう言うグッと来る名言はございますか?
私は色々ありますけど、この言葉がとても好きです。
大雨が降り続ける空の下。
ボロボロの少年が曇天へ向けて叫ぶ。
「
「勝手に化け物と蔑んで、勝手に恐怖しておきながら、この
彼の頬を伝うのは、
果たして……涙か、雨か、
たった1人で、曇天に叫ぶ彼の側には誰も居ない。
「お前達なんて、生きてる価値なんて無いんだよ!!俺達が化け物なら…お前達なんか、お前達なんかの方が人間じゃねぇ!!必死に生きてる響や未来の方がよっぽど人間なんだよ!!!!」
「何が正義だ!?くだらない!!」
「
「俺の邪魔をするというのなら全ての敵を滅ぼす………
それこそが仮面ライダーアークゼロだ!!」
小さな悪意が彼の心を穢したことで、彼の中の愛は憎しみへと変わり、彼を冷酷なダークライダーへの一歩を踏み出させてしまった。
彼を止めることができるとすれば、
ソレは…………………
数時間前。
風鳴弦十郎が持ち帰った武器によって、二課は官僚達の信用を取り戻すことに成功した。そして、ノイズに対して有効な武器を仮面ライダーから交渉の末にどの国よりも先に手に入れることに成功したという事実によって、二課の影響力を改めて重要視された。発言力を取り戻した二課もといい弦十郎は、仮面ライダーからの要求通り、ツヴァイウィングの事件によって迫害されている被災者家族の近辺警護を多くの民間の警護会社に呼び掛けた。
その結果、あの事件から5ヶ月たった今では被災者に対する迫害は少しずつ減少していった。また、少しだけ仮面ライダーである悠星とアークを理解したことで、弦十郎はより一層彼らの期待に応えるため被災者への迫害を増長する原因を作った週刊誌、誹謗中傷に同調した報道などへ圧力をかけた。コレによって、公の場で行われている迫害も止まった。しかし、あまりにも無理をやり過ぎたため各官僚達からは行動の自制を余儀なくされたのは言うまでもない。それでも、弦十郎は世界の悪意とたった2人で闘う仮面ライダーの期待に応えたかった。彼の力を狙う者たちから守ることは出来ない自分なりに仮面ライダーと言う大いなる力を持ってしまったゼロを守りたかったのだ。自分が娘の様に想う翼や今は亡き奏の様に。
そして、ツヴァイウィングの事件からノイズは、出現することはなかった。しかし、ツヴァイウィングの事件の際に、余りにも不自然過ぎるほどのノイズの同時出現を懸念して、悠星とアークは情報収集に専念した。だが、思った成果は得ることはできなかった。これ以上黒幕の好きにさせる訳にはいかないため悠星とアークは長時間での激闘会議の末に、弦十郎が司令を務める二課にアタッシュショットガンとプロトショットライザーを数台ずつ譲渡することにした。また、何の理由もなく渡すのは不審に思われるため、要求として被災者への近辺警護を要請した。コレによって、響は住宅周辺では迫害を受けることはなくなった。しかし、それでも学校で手酷いイジメを受けている。アークの予測と、かつて前世でイジメを受けていた悠星からすれば、行動を先読みすることはたやすい。
そのため、響の机を汚そうとすると何故か自分の机を汚していたり、響の上靴を隠そうとすると何故か既に響の靴が無かったりと言う摩訶不思議なことが多発している。代わりに、響を庇う悠星がイジメの的になりかける人相の悪さに加えて仮面ライダーとして鍛えてきた腕っ節によって逃げられている。何故、撃退しないのかと言うと、響と未来がそんなことを悠星にして欲しくないと言ったため、やり返すのではなく逃げの一手に出ている。余談ながら、仮面ライダーとしての特訓で身に付けたパルクールを使って逃げる悠星を見て各部活の部長達は密かに悠星を部員に引き入れようと一瞬考えてしまった。
ようやく落ち着き始めている現状の中で、弦十郎が自分の要望以上に応えてくれたことに心の中で感謝していると、
「ほらほら悠星、久しぶりの家族での外食なんだからニュースばかり観ないで。食べましょ?」
「そうだぞ。でないとまた母さんに酒飲ませるぞ」
「それは本当にヤメテ!酔った親にファーストキスを奪われるとか、黒歴史だから」
向かいの席に座る両親から注意を受けてしまった。
今日は幹二の仕事が落ち着いたため、家族3人+アーク様で出掛けている。因みに、アークはAIなため食事ができないため、悠星の懐の中にあるアークドライバーでスリープモードに入っている。仮面ライダーとしての日常と、石蔵悠星としての日常の中で受ける悪意に心を痛めている息子を想い、美智子と幹二は少しでも心に安らぎを与えるために出掛けている。その意図を理解している悠星は、2人が自分の親で良かったと心の中で噛み締めた。
そんな久しぶりの日常の中で、あまりに聴きたくない話が始まってしまった。
「あら、失礼ね。お父さんとの馴れ初めも私の酔いキスからなのよ」
「いや、聴きたくないから。前世の記憶持ちの息子相手に生々しい馴れ初めなんて聴かせないで」
「あまり母さんに逆らうな。また身を滅ぼすぞ」
かつて余計なことを言って、アークでさえ3日間もドライバーが出てこないほどの地獄を見た悠星は顔を青くしながら凄まじいスピードで美智子に頭を下げて謝罪した。
「まぁいいわ。それよりも悠星は、響ちゃんと未来ちゃん。どっちが本命なの?」
「はい?」
「おっ!それは俺も気になるな。悠星が女の子を連れて来た時は、天変地異が起こったと思うくらい驚いたものだ。で、どっちの子なんだ?」
「何言ってんの?アークがいないと何も出来ない俺が誰から好かれる訳無いじゃん。世界中探しても、そんな物好きは絶っー対いません!」
「そこまで断言しなくてもいいじゃない」
「2人とも、とっても良い子達じゃないか。好きじゃないのか?」
「好きさ。父さんや母さん、潤さん、アークと同じくらいに」
即答で応える悠星には、2人を異性として好意が無かった。あるのは、友達としての好意だけだった。しかし、悠星の言動の節々には自身への自虐が含まれているのを幹二と美智子はすぐに察知する。未だに息子の中に巣食う前世のトラウマは根強く心を蝕んでいる現状も同様に2人は察知した。
「ありがと、さあ次は買い物をしましょう♪」
「悠星、覚えておくんだぞ。女性のショッピング=男は荷物持ちということを」
「父さんはちょくちょくダメなことを教えるね」
久しぶりの家族のオフを満喫するべく、昼食を済ました美智子は幹二と悠星の腕を掴んで、ショッピングへ出かけようとした所で、
『ここで番組の途中ですが臨時ニュースをお伝えします!』
何か只ならぬ雰囲気に3人は足を止める。
『神奈川県・横浜市に建設された横浜ランドマークタワーが突如侵入して来たテロリストによって占拠された模様です!!』
「……犯人の狙いは何かしら…?」
「…この時期に…この事件……何か只ならないな」
「……………アーク、起きてるか?」
『既にニュースの情報は検索済みだ』
悪寒を感じ取った悠星はポケットから片耳につける小型デバイスと共に眼鏡を取り出す。コレはアークのメモリーの中にあったザイアスペックを模倣して作ったアークスペック。アークスペックとは、コ○ンくんの眼鏡と同等の機能を兼ね備えており、AIほどの思考力を得るためのものではない。また、耳に付けているデバイスを用いて、アークドライバーの中にいるアークと視界や音声を共有する役目を持っている。
『…たった今入って来た情報によりますと、犯人グループから犯行声明が届きました。画面を切り替えます』
すると、リポーターの画面から黒い覆面を付けた全身をサットのような特殊な防弾チョッキに身を包んだ者が映し出された。そして、武装した者の後ろには、無数の仲間と共に手足を結束バンドで縛られた者達もいた。
『仮面ライダーよ。
我々はお前がこの日本に潜伏していることは分かっている。言っておくが、このビルには既に数十人もの人質がいることを忘れるな。お前が真にノイズから人類を守る守護者なら、この者達を無視出来まい。我々《ウィンター・ローズ》は、お前を人類の守護者とは認めない。お前はただ無差別に民衆を恐怖に陥れる悪しき存在だ。よって、我々の正義の下、お前の力を我々が有効的に利用することとした。我々の要求はただ1つ。仮面ライダー、お前の身とこの人質達を交換だ。断れば、この者たちは死ぬ。時間は……そうだな、後60分としよう。我々の要求を飲むと言うのなら、このタワーの真下で武装解除した状態で来い!!』
そう言い切ると、リーダーと思しき男の犯行声明は終了し、先程のリポーターの画面へ切り替わった。
『以上が、犯人グループの要求のようです。しかし、彼らの要求通り仮面ライダーは来るのでしょうか?様子を見たいと思います!』
「なによ…悠星がどれだけの想いで闘っているのかもしらない癖に……ッ!」
「くそっ!……何が正義だ…ふざけやがって」
『コレでこの事件を我々が解決しようとしまいが、仮面ライダーへの非難の声は増加する。政府にとって我々を特級危険生命体に認定する良い足掛かりとなるだろう』
「…………………」
あまりにも身勝手なテロリストの犯行声明に対して、周りの人々は口々に仮面ライダーに対する不信感、テロリストに対する恐怖、人質の心配を呟いている。そんな中で、悠星は1人俯き、拳を震わせていた。
ーーお前が先に死ね!
ーーそうよ!アンタが私達の代わりに先に死んで!!
……なんで、何で僕なんだよ……
ーーよぉ〜し!それでは処刑タイムいっきまーす!
……いやだ…イヤだ!死にたくない!
ーー運の無い自分を恨みな、僕ちゃん♪
……どうして…どうして僕がお前達の代わりに………
…殺されなくちゃならないんだよ!!
彼の脳裏にこびりついた死の間際の記憶が今でも彼の心を蝕んでいる。余りにも理不尽な悪意によって殺された前世の自分の記憶が又もや脳裏に蘇り、悪意ある人間への憎しみを募らせる。
「……………………」
「……ダメよ!無策に行っちゃ!」
「幾らアークとお前とのコンビでもコレは不味い状況だぞ」
「ごめんよ。母さん、父さん……行ってくるよ。あんな理不尽を見過ごせる程ぼくは、人間を憎み切れていないから」
今にも涙が出てしまいそうなほどに力のない笑みを浮かべる息子を幹二と美智子は優しく抱きしめる。そして、本心では闘いに行かせたくたいが、息子達が行かなければならない現実に美智子と幹二は心の中で哀しみのあまりに慟哭する。
「……っ!?、分かったわ。絶対帰って来てね、アークちゃんと一緒に」
「…何があっても、俺達はお前達の味方だ。だから、俺達の所に帰ってこい。お前たちの居場所は、ココなんだからな」
「………うん。行ってきます」
『…………………理解不能だ』
それでも美智子と幹二は笑顔で悠星とアークを送り出す。
だが、コレが2人との最期の別れとなる。
送り出してくれた2人を背に悠星はアークと共に人気のない場所へ走り出す。
「『変身!!』」
アークライズ!
オールゼロ!
そして、変身を完了させた悠星とアーク……
いや仮面ライダーアークゼロは飛び立つ。
理不尽な悪意を闘うために。
しかし、
彼らが見えない所で、
小さく身勝手な悪意が動き出していた。
ちょっと長編になりそうになったので2話にわけることにしました。
次の話はまだまだ未完成なので、暫くかかります。
くそ〜劇場版のゼロワンを観たいのに行く暇がない!
アンケート式クイズです!!次回、悠星はどうなるのか!
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アーク堕ち
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善意堕ち
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半分アーク堕ち
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全てはアークの意志のままに…