バグのかけらをひたすら集めるクリームランド在住のデバッガー   作:けっぺん

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原初の過ち-4 【本】

 

 

 降り立った私に、キングマンは怪訝な目を向ける。

 そりゃあそうだ。私のPETにナビがインストールされていないことなど、その中に入った彼なら十分理解できている筈だ。

 

『パルストランスミッションを応用したナビの代わりだ。耐久力は殆どないから、多少気に掛けてくれるとありがたい』

 

 そんな注文をすれば、キングマンは納得いったように頷いた。

 王の姿であっても性格は穏やかで物分かりが良いらしい。寡黙な賢王、というやつだな。

 さて、挨拶を済ませ、すぐに先に進む。

 事は一刻を争うのだ。せっかく一度逃れたのに、ここまで来て丸焼きになるなど真っ平御免だし、先行した彼らも心配だ。

 それに――キングマンもどうやら全快ではない。

 フラッシュマンとやらとの戦いで少なからず疲弊しているらしい。

 一応、リカバリーを彼に掛けておく。だが必要以上の連戦は避けなければ。

 

 広場を抜け、通路に差し掛かる。

 電脳世界に入った瞬間から分かる、普通の電脳とは全く異なる雰囲気。

 些か以上に感じる“古さ”。このエールハーフという体だからこそ感じられる違和感を、その独特さが助長する。

 暫く歩いて、キングマンを止める。数歩前に“ある”と分かるモノに――ジャミングアイを浴びせる。

 他のプログラムが触れない限り動こうとしない、床に擬態したプロトバグ。

 それに重さを与えていき――動けない状態のまま固める。

 少し浴びせただけならばその重さで動きを鈍らせるだけだが、相応の時間照射を続ければ対象はフリーズする。

 そこから一部を抽出し、ここに発生しているプロトバグの性質を確認してからデリート。

 サブチップにしたプログラム――プロトウォッシャーの機能を更に限定的にしたものを、歩きつつ構築する。

 プロトバグ全体に対応したデバッグプログラムを既に用意しているのだ。それを限定的にしたものなら、対象の断片でも持っていればすぐ作れる。

 出来たワクチンにナイフを浸し、テストとばかりに前方に潜む次の一体に投擲。

 抵抗も出来ずに消滅していくプロトバグを見て、キングマンは感心した風に目を瞬かせた。

 

『バグを商売相手にしているんだ。この程度なら訳ないよ。機会があれば依頼は受け付けると、荒駒少年に伝えてくれ』

 

 宣伝も行いつつ、バグを片付け先に進んでいく。

 この電脳の仕掛けはプロトバグと対応しているようで、連中が何かを捕えなければ動くことすらない。

 要するに、何の罠も無いも同然。

 ただ先に進んで、道中のやけに目立つ石ころを退かしていくだけで良い。

 私が来ることを読んでいたのかは知らないが、プロトへの対応手段の足掛かりを既に用意している医者(デバッガー)を相手にこの程度の罠でどうにかなると思ったら大間違いだ。

 ……ここに来てから、散々頼りない様を見せていたからな。これが彼らの前であれば面目躍如といけたのだろうが。

 それらの様子を殆ど認識していないだろうキングマンしかいないことを少し残念に思う。

 いや、まあ、そんなことを考えている場合ではないのは分かっているが。もしも光少年と伊集院少年がこれを見に帰ってくるようなことがあれば蹴り飛ばしてでもとんぼ返りさせるぞ。

 

 最奥部に近付けば――あまり思い出したくない人影が見えた。

 火、ということから少し予想をしていたが、彼()だけではなかったか。

 まあ、相応しいとも言えるが。

 その姿を確認してから、私はキングマンに伝える。

 

『機会を見て、一気に決着できる攻撃を行う。範囲が広いから、その際にはキミにプラグアウトコマンドを送る。それがあれば、受け入れて戻ってくれ』

 

 厳かな首肯。本当に物分かりがいいな、彼。

 有効な戦法だと高速で判断しているのかもしれないが。

 こうして電脳世界で向き合ってみれば、彼が荒駒少年の作戦を黙って全て実行するだけの操り人形でないことは分かる。

 オペレーターの戦術を吟味し、是非を判断して駒に命令を下す。それを一瞬で可能とする高い演算能力を、彼は備えている。

 それを戦闘中も十全に可能とすべく、彼は基本的に後方に控えているのだ。

 

 最後に行く手に立ち塞がっていたバグを消し飛ばし、警備ロボのメインシステムのある広場に辿り着く。

 そこにいた四人――二人のナビと、二人の精神データのうち、三人には見覚えがあった。

 

『よう、バグ医者。体の具合は大丈夫か? 心配したぜ?』

『こんにちは、ヒノケン氏。おかげさまで酷い目に遭った。あれが遠因でここへの殴り込みに付き合うことにもなったんだ』

 

 どうやら連中もパルストランスミッションを用いているのか。

 精神データの彼の言葉に返しつつ、敵を観察する。

 火と花。フレイムマンとプラントマン。どちらも、私が事件に深く関わったナビだ。

 バックアップで復活したのだろう。そしてその上で更なる強化が施されている。

 ナビの強化だって安い仕事ではないだろうに。歳末セール、採算度外視といったところか。

 

『そうかい。科学省に火ィ放ったガキの付き添いたぁご苦労なことだぜ――って挑発はお前にゃ効かねえか』

『お察しの通り。そもそも挑発に乗れる自信がないからね。ところでキミに頼みがあるんだが、辺りの火を消してくれないか。キラーズアイSP保護の立役者たるキミが同じ軟弱者を二度も焼こうとする畜生だとは思いたくない』

『キラーズアイ……? ああ、あれか。あえて言いたくもねえんだが、あれは布石を打っている最中に見つけただけの偶然だ。それに最強の炎使いの火に二度も炙られるんだ。光栄なことじゃねえか』

『私は炎に包まれて感謝する変態じゃない。それにだね――』

 

 先程投げ捨てたそれの残骸を見て、苛立ちを実感する。

 本当に最悪だ。この男の所業は、やることなすこと私に散々な結果しか寄越さない。

 

『お気に入りの白衣が灰になった。どうしてくれる』

『は?』

『“は?”じゃない。燃やすしか能のない単細胞であっても燃やして良いものと駄目なものの区別くらい付けたらどうだ。WWWじゃなくキミが弁償してくれてもいいんだぞ』

 

 ――半分くらいは、この焦りの募る状況で少しでも落ち着くための冗談。

 残りは本気。同年代の女性の感性を熟知しているとは思っていないが、特別な衣服を灰にされて黙っていられるほど無関心でもない。

 というかふざけるな。これを今回の最後の戦いにするつもりもないというのに、礼服を道中で燃やす馬鹿がいて堪るか。

 どうどうとキングマンが肩を叩いてくることで、熱くなりかけた精神を抑える。落ち着くための冗談だってのに。

 

『……へっ。こんなところまできて時化たヤツだぜ。いいぜ、お前が勝ったら何倍にもして返してやるよ!』

『言ったな。十万ゼニーやそこらで買えるものだと思うなよ』

『は?』

『いつまでマンザイやってるカ! とっとと片付けるネ!』

 

 もっと追及したいのだが……プラントマンのオペレーターであるらしい少女――確か、アネッタ――が声を上げる。

 ヒノケン氏の娘と言われても納得できるほどの若さだぞ。彼女もまた、WWWだというのか。

 

『プラントマン、アイツで間違いないカ?』

『そうだよ、アネッタ。ヤツこそ自然を守ろうとした我々を邪魔し、挙句にワタシをデリートした、ネットワーク社会の手先だ』

 

 自然を守ろうと? ネットワーク社会の手先?

 ――どういう訳かは知らないが、認識の相違が起きているな。

 プラントマンの言葉にアネッタは憤慨し、怒りの目を向けてくる。一応初対面なのだが。

 

『オマエも自然を壊すためにWWWの邪魔してるな! そのために動いていたプラントマンをデリートするなんて!』

『自然を守ろうという気概は立派だが、すぐ傍で見るも悍ましい色の排水が垂れ流されているのだがね』

『自然を守るのに必要な犠牲! ワイリー言ってたネ! この結果、ネットワーク社会を破壊して、自然のためになるって!』

 

 物は言いよう――ワイリー氏の口車に乗せられているのか。

 プロトが完全に目覚めればネットワーク社会は滅びる。結果として――まあ、自然にとって好ましい環境になる可能性が無いとも言い難い。

 だが迂遠とすら言えない。破滅的に過ぎる。

 もっとまともな自然との付き合い方、自然の守り方など幾らでもあるし、現在では進んだ技術によって自然との共存も重要な研究課題となっている。

 それこそ、プロトが全てを壊滅させてからの流れよりも早く人間と自然は手を取り合うだろう。

 

『そうだぜ。オレたちの野望のために何が犠牲になろうが知ったこっちゃねえ。なあアネッタ!』

『暑苦しい顔をこっちに向けるな! プラントマンが燃えるだろ!』

 

 なんでこの二人、同じ場所にペアで配属されたのだろうか。

 植物のナビと火のナビが共闘なんて一朝一夕じゃ不可能だぞ。

 

『オレの顔が暑苦しいのはオレのハートが燃え上がってるからだぜ。なあ、フレイムマン!』

『ヴォォォォ……!』

『……で? そんな二人は何故電脳世界にいるんだ? 言うまでもないが、電脳世界に精神データなんか送っても危険なだけだぞ』

 

 ワイリー氏が何故パルストランスミッションシステムなどに手を出したのかは知らないが、開発が中止されて当たり前の技術だ。

 こんなものを再び作る理由はなんだ?

 

『その身一つで戦ってるお前には分からないだろうがな、ナビのいるオレたちにはこんなことも出来るんだぜ! 行くぜ、フレイムマン!』

『ヴォアア!』

『こっちも行くネ、プラントマン!』

『ああ――我らは返り咲く! 大いなる一輪として!』

 

 ――そうか。オペレーターだけではなく、ナビもいるならば、それが出来る。

 本来困難を極めるナビとの完全同期――フルシンクロ。

 PETを介してのオペレートではなく、自分が電脳世界にいる状態であれば、その難易度は劇的に低下する。

 精神データとナビが一つになり、そのポテンシャルを最大限に引き出せるようになる。

 確かに強力な戦法だ。だが。

 

『……先達として忠告させてもらうが。その状態で負う傷は芯にまで響く。死ぬほど痛いぞ』

『ならその痛みを負うのはお前だけだろうな! はは、熱いぜ! 燃えるぜッ!』

『ふふ……アネッタ、動きをワタシに委ねてくれればいい。そうすれば、すぐにヤツらを枯れ果てさせることが出来る!』

 

 ――忠告はしたからな。

 止まってはいられないし、助ける余裕もない。

 死ぬことはないだろうがそれなりの重傷は、覚悟してもらうぞ。

 

『キングマン、防御は最低限、攻撃重視で頼む』

 

 彼が操る作戦をオペレーターでもない私が決めることは出来ない。

 ゆえに方針だけを伝えれば、すぐに私の前に一体の城壁――ルークが現れる。

 

『いいのかよ、最低限の防御とやらで!』

 

 吹き荒ぶ火炎を、その城壁が受け止める。

 振り掛かる熱に僅かに身が竦むが――それを無理やり動かし、チップを使用。

 現れた小さな特攻隊長を火の中に放り投げてやれば、即座に着火して火の海をものともせずにフレイムマンに突っ込んでいく。

 

『うぉ!?』

 

 とはいえ、火だるまに花火を飛び込ませても効果が薄いのは自明の理。

 今回の攻撃は炎で此方を牽制しているつもりの彼らを怯ませてやるためのもの。

 導火線に着火してやることで通常の『ラットン』とは比較にならない速度と威力を発揮する『ラットンハナビ』で攻撃は中断され、その間にキングマンが駒を呼び出していく。

 防御はキングマンに徹してもらう必要はない。守りの場は私が整える。

 使用するのは『サンクチュアリ』。防御の聖域が広がり――それを突き破って蔦が足に絡み付く。

 フレイムマンの攻撃の間に回り込んでいたらしいプラントマンの攻撃か。

 床へと突き刺さって忍び寄った蔦。もう片方は直接伸びてきて、首元へと絡まっていく。

 

『捕えた。さあ、苦悶に咽ぶ用意はいいかな?』

『動きを封じるなら、足の次は手にするべきだな』

 

 そんな助言を送りつつ、手を使わずに体中に炎を纏わせて対処する。

 ジゴク島での戦いで多く活躍を見た『バーニングボディ』。

 攻撃にも守りにも使える便利な、それでいて使っている私は熱を感じない大変都合の良いチップで絡まる蔦を焼き払い、お返しとばかりに『バンブーランス』で突き上げる。

 

『くっ……』

 

 そうしている間にキングマンがナイトを中心とした布陣を完成。

 ナイトたちはプラントマンへと襲い掛かり、そして一騎のポーンはフレイムマンへと立ち向かう。

 援護すべきは――ポーンだな。あの炎の危険はいつまでも残っていてほしくないし。

 迫るポーンを対処すべく一度後退しようとするフレイムマンの背後に『ヘビーシェイク』を放り投げる。

 下がるのは良いが、あの揺れ動く鉄の一撃は重いぞ。

 

『しゃらくせえ!』

 

 しかしフレイムマンは纏う炎を緑色に変化させると、鉄塊とポーン、両方を受け止めた。

 ……あの炎は厄介だな。高温で射撃を蒸発させるだけでなく、重い一撃も防ぐ防御力を彼自身に与えるらしい。

 

『おのれ……!』

 

 ナイトの追跡から逃れるように躱していたプラントマンは、フレイムマンの方へと誘導されている。

 確かに、この方が好ましい。

 両側を注意しているのは神経を使うし、これならフレイムマンも攻撃し辛いだろう。

 

『おい! まずはあっちのナビからだ!』

 

 駒の誘導は厄介と見たか、フレイムマンが炎を放つ。

 それに続いてプラントマンもその体から棘を射出。どちらもキングマンに襲い掛かるが、盾となるように飛び込んだナイトが威力を殺し、さらに聖域の光で減衰されたそれらは既に一度戦いを終えたキングマンでも十分受け止められる。

 とはいえ――彼にも無理させられまい。

 狙いが向こうに集中している状況は好ましいが、キングマンがデリートされるようなことがあれば一大事だ。

 此方には目も向けていないな。なら遠慮なく。

 ナイフ――は駄目か。多少の傷でもこの先には持ち越したくない。そう考えて、バグを取り込んだ注射器を取り出し、腕に打ち込む。

 それが浸透していく内に、感覚が乱れていくが――“乱れ方”が分かっていればそのように動き方を変えるだけ。

 私は何らリスクを負うことはない。向こうはどうか知らないが。

 混乱する感覚を相手に押し付けるチップは、『パニックムード』。

 

『む!?』

『な、なんだこりゃ!?』

 

 同じ方向を狙いたいのであれば動かず攻撃し続けるだけで良かったのだが、特にオペレーターの二人にとってはあの感覚は初めてだろうし仕方ない。

 ナビと一つになるというのはこういうことだ。

 彼らに発生する不調は、オペレーターにとってはまったく未知な異常となる。

 感覚を振り回すそれに動揺しているうちは、とてもではないがまともなオペレートなど出来まい。

 

『うまく合わせてもらえると助かる、キングマン』

 

 あまりに大きな隙を逃す訳にもいくまいと、二枚のナビチップを一気に切る。

 どちらも、敵の動きを制限することに秀でたチップ。

 そして複数を相手取ってなお真価を損なわない、大元となった者たちの強さを証明する攻撃。

 紫色の霞が二人を覆い、そして私たちと彼らとの間にボーリングのピンが並んでいく。

 最初に現れたナビが手に持ったボールを転がす。ボールはピンを綺麗に吹き飛ばしながら霞へと飛び込んでいき、空中へと舞い上がったピンも弾丸となって降り注ぐ。

 その勢いにも巻かれることなく漂い続ける霞からもう一体のナビが現れ、その拳を内側の二人に浴びせる。

 片やウラの王の家臣であり、その左腕として闇の世界の次席を守る霞の魔人。

 片やその霞と競り合う実力を持ちながらも、ウラの秩序とは関わらない清々しき戦士。

 霞で動きを封じられ一方的に攻撃を受ける彼らへの詰めは、もう一手。

 読み切ったとばかりに跳び上がったキングマンの“チェックメイト”が下される。

 滞留する霞が効果時間を終えて薄れゆく中、着弾したキングマンを中心に爆発が巻き起こった。

 

『完璧だ――戻ってくれ、キングマン』

 

 それでも、強化された彼らはまだ倒れまい。

 彼らとて王手をかけた計画を守っているのだ。執念というものがあるのは分かっている。

 十分に役目をこなしてくれたキングマンにプラグアウトコマンドを送り、PETに戻ってきたのを確認して、文句を言わせぬ勝利のための手を打ち続ける。

 

『うおおおお! まだ負けてねえぜぇ!』

『知っているよ』

 

 二枚のチップで動きを止める。

 ここに向かう時――ウイルス研究室から餞別として受け取った数枚。

 飼育機のウイルスを再現するウイルスチップ。召喚されたのは三体のガルーと――黒いキラーズアイSP。

 巨大な瞳がフレイムマンを捉え、退避しようとするプラントマンの逃げ場を三つの炎が封じる。

 麻痺と、植物の力を持つ彼特有の炎への恐れ。それで動きを止められれば十分だ。

 続けざまに『デスマッチ2』を使用。戦場を破壊していき完全に逃げ場のなくなった彼らが反撃をしてくる前に、最後のチップを使用する。

 キングマンに戻ってくれといったのは、確かにこのチップの範囲が広すぎるという理由もあるが――何よりこれは、姿を知らぬ者にみだりに見せるものでもないから。

 私の頭上に現れた、電脳全域を照らす眩い光。

 それは――あのナビが誰にでも向ける、慈悲の輝き。

 

『――クソが。世界の終わりを見られると思ったんだがな』

 

 抗うことは愚かでしかない。

 それを察したのだろう。反撃が来ることは、ついぞなかった。

 

『……なんたる輝き。圧倒的で、絶対的な……扶桑の如き――』

 

 光が落ちてくる。まるで『サンクチュアリ』が攻撃に変転したかのような暴威が二人を蹂躙する。

 聖なる嵐が通り過ぎた跡には何も残っておらず、光が消えるのと同時に『パネルリターン』を使用して戦いの場を修復する。

 そして警備ロボのメインシステムに触れ、吹き出す炎を停止――よしよし、緊急用の消火システムは完備しているな。ワイリー氏ほどの科学者であれば、そのくらい訳ないだろう。

 炎の代わりに白い泡を吹き出した警備ロボは、自分の放った炎を瞬時に消火していく。

 私の白衣だったものもその泡に流され何処かに消えた。――ヒノケン氏、どうなったかは知らないが後で必ず請求するぞ。

 消火が終わったら、警備ロボには隅の方に移動してもらい、道を作ってからパルスアウト。

 

「……」

 

 頭痛はない。これなら、まだいける。

 ちょうどその時、坂道を下ってきた荒駒少年――おや、大山少年も一緒だ――の方へと歩き、二人の無事を確認する。

 

「助かった、荒駒少年。どうにもならないところだった」

「無事なら何よりやな。ほな、キングマンを」

 

 彼のPETにキングマンを送る。

 あまり大きなダメージはないが――それでも結構疲弊していることに変わりはない。

 

「これ以上は厳しいわな。お疲れさん、キングマン」

「ガッツマンも連戦は厳しいな……あのN1のディレクターもいやがった。手強い相手だったぜ……」

 

 砂山氏が? そうか、脱獄したとあればここの防御に出ていても不思議ではない。

 しかし、凄いな。彼は二体のナビに対して勝利を収めたのか。

 N1の時と比べて、さらに成長したらしい。

 

「とにかく先に行こう。光少年と伊集院少年が先行している。これ以上の戦いは無理でも、人手が足りない状況だったら困る」

 

 先程二人を送った扉を開け、先に進む。

 随分歩いた。ワイリー氏は――プロトはもうすぐの筈だ。




・ボウルマン、ミストマン
3に登場するナビ。ボウルマンはBLACK版、ミストマンは通常版で登場する。
キングマンと同じく公募ナビであり、各バージョンでウラランキング二位として登場。
3のプログラムアドバンスには彼ら公募ナビ三体が集合する『グランプリパワー』が存在し、本話での攻撃はそれを意識している。
本作ではミストマンがウラランキング二位となっており、ボウルマンは彼と伯仲した実力を持つがウラランキングとは関わらないナビ。


3編で色々と恨みの対象になった二人のナビとの戦い。
加えて、エールのどうでもいい趣味嗜好も判明。
その値段については多分プライド様も知らないことですが、エールとしては間違いなく理解してくれるものと確信していると思います。
そして借り物の力でボコボコにして先に進むエールたち。3編も残り僅かです。
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