すまん、電話だ   作:ぷぷぷまる

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第一話

束の間の休息にいつもと変わらない窓から外を眺める。

なにやら出撃用のドッグが騒がしい。よく見ると、ちょうど昨日出撃した艦隊が帰ってきたようだ。

 

コーヒーを淹れているとコンコンと執務室のドアが叩かれる。

 

提督「開いてるぞ、入ってくれ。」

 

ビスマルク「失礼するわ…admiral」

 

提督「! お前、出撃の報告は入渠が終わってからでいいって言っているだろう?

大破してるんだから無理をするな」

 

ビスマルク「ええ、そうね。でも、はやくあなたに会いたかったの。…ねぇ、もっと近くで顔をみせて?」

 

大破して満身創痍になったビスマルクはいつもの強気な態度がなりを潜めてしおらしい。

 

提督「ああ、俺はここにいるぞ。だから早く入渠しにいけ。」

 

ビスマルク「…そんなに私と一緒に居たくないの?」

 

提督「そんなつもりh プルルルルルル、プルルルルルル

 

提督「すまん、電話だ」

 

ビスマルク「もうっ!知らない!」

 

提督「…もしもし?ああ、お前か!久しぶりだなぁ。元気にしてるか?うん、今度飲みに行くか!そうだな、アイツも誘ってな。うん、うん、部下を待たせてるからまた今度な。」

 

ビスマルク「…admiral?今のは…誰?」

 

提督「ん?大学時代の同期だ。今はたしか大本営で働いてる。そいつが今度こっちの方で仕事があるらしくてな。そのついでに久しぶりに呑みにいこうってことさ。近況報告も兼ねてな。」

 

ビスマルク「ふぅん?ねぇ、その人って男の人?」

 

提督「いや、女だよ。さ、入渠しに行くぞー!」

 

そう言ってビスマルクの体を持ち上げる。いわゆるお姫様だっこというやつだ。

 

ビスマルク「…えっ!?ちょ、ちょっと!こんなの恥ずかしい!やめてよっ」

 

口ではそういうものの、既に抵抗する力はないらしくそのままビスマルクは運ばれていった

 

提督「ふぅ、意外と軽かったな…」

 

執務室の椅子にどかっと座り、少し冷めてしまったコーヒーを飲む。

 

提督「そういえば、今日はまだ秘書艦が来ていないな。」

 

確か今日は…と、机に置かれたカレンダーをめくる。

そこには、りばうゆ と大きな文字で書かれてあった。

 

提督「またあいつは徹夜でもして寝坊してるのか?…しょうがない、おこしに行くか」

 

 

 

滅多に踏み入れることのない艦娘寮…ではなく鎮守府本館から少し離れた場所にある工廠までやってきた。普段は夕張も艦娘寮にある自室で寝泊まりしているのだが、寝坊する日は決まってここで机に向かって寝落ちしている。

 

提督「おい、起きろ!もう朝だぞー!」

 

夕張「あれぇ…?提督の姿が見える~ って提督!?嘘!?」

 

提督「嘘も何もないだろう。それとも優秀な夕張さんが遅刻して更にまだねぼけてるわけないもんなあ?」

 

夕張「そうですよ!失敬な!」

 

提督「そうだな、じゃあ早速だが開発をやるぞ。準備してくれ。」

 

夕張「え!?今日の秘書艦って私!?じゃなかった、わかりました!ちょっと待っててね!」

 

調子のいい奴だ。それが彼女の良いところでもあるのだが。

 

夕張「提督―!今日は何の開発するの?」

 

提督「まぁとりあえずドラム缶だな。」

 

夕張「えーケチ!もっとほら、あるでしょ?ソナーとかさ魚雷とかさ!」

 

提督「誰のせいで資源がないと思ってるんんだ。お前が一人で遠征に行って稼いでくれるっていうなら話は別だけどな。」

 

夕張は渋々納得したようで黙々と開発にとりかかる。

 

提督「なぁ夕張」

 

夕張「んー?今いいとこなんだからちょっと黙ってて」

 

そう言われて数秒、早くも開発は終わりドラム缶が出来上がった。

 

提督「さっき話そうとしたことなんだが、お前無理してないか?」

 

夕張「何?そんなこと?今更でしょそんなの、大丈夫だよ!」

 

出来上がったばかりのドラム缶を我が子のようにさすりながらそう言った。

 

提督「だけど、この鎮守府にはまだ明石が着任してない。工廠の整備をお前が好きでやってくれてるんなら良いんだが、無理してやってるんじゃないかと思ってな。」

 

夕張「じゃあ、今度一緒に買い物連れてってよ!ね、いいでしょ?」

 

夕張がいたずらっぽい笑みを浮かべて俺の腕を抱きしめる。

 

提督「ああ、今度な。その時は他のみんなも誘うか!」

 

夕張「いーや!私と提督の二人で行くの!じゃないともう工廠の整備やらないよ!」

 

ダメだ、完全に弱みを見せてしまった。できれば艦娘への関係に優劣はつけたくなかったのだが…

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