すまん、電話だ   作:ぷぷぷまる

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第二話

微笑を浮かべながら、夕張がこちらの様子をうかがう。

 

提督「じゃあ…来週の週末な。どこに行くかはお前が決めておいてくれ」

 

夕張「嘘!?いいの!?やったぁ! ね、提督、約束だからね!」

 

提督「ああ、わかったわかった 早く執務室に戻るぞ」

 

夕張「うん!」

 

よほど嬉しいのか、満面の笑みでポニーテールを揺らしながら隣を忠犬のようについてくる。

そこでプルルルルルル、プルルルルルルと俺の電話が鳴った。

 

 

 

提督「すまん、電話だ。」

 

夕張は背伸びをして、なんとか俺の会話を聞き取ろうとしてくる。別に隠すことでもないし構わないのだが、顔が近い。そっと目を逸らした。

 

提督「…もしもし、なんだ、またお前か。三日後にこの鎮守府に来る!?…なるほど、視察も兼ねてか。わかった、空き部屋があるから寝泊まりはそこでしてくれ。…ああ、じゃあな。」

 

会話が終わりため息をつく。急いで出迎えの準備をしなくては…

 

夕張「ねぇ提督、今の人、誰?」

 

さっきよりずっと顔を近づけて、俺の目をのぞき込んでそう言った。

 

提督「俺の同期だよ。大本営に勤めてるんだが、今度こっちに視察に来るらしい。」

 

夕張「彼女とか、親しい関係ではないのね?」

 

提督「まぁそれなりに仲は良いが、付き合うなんて考えたこともないぞ。どっちかて言うと男友達みたいな感じだよ。女だけどな。」

 

夕張「そう、それなら良かったわ!ほら、早く執務室に行きましょ?急いで急いで!」

 

 

 

執務室に戻ってくると遠征を終えたのか、不知火が待っていた。

なぜか俺の椅子に座って。

 

不知火「し、司令っ!?…不知火に落ち度でも?」

 

平静を装って尋ねてくるが、頬は赤く染まったままだ。

 

提督「落ち度があるのは俺だよ。すまんな留守にしてて。コイツが悪いんだけどな」

 

夕張「もう!それは謝ったでしょ!」

 

不知火の頭をなでる。

 

不知火「構いません。どうせ暇ですし」

 

不知火は俯いてそう言った。

 

提督「そんなことはないだろう。まぁ報告を聞くのが先だ」

 

さっきまで不知火が座っていた椅子に腰かける。

やっぱりこの場所が一番落ち着く。職場が一番落ち着くのも考えものだが。

 

不知火「はい。今回の遠征も大成功です。入手した資材は既に保管庫への搬入が済んでいます」

 

提督「補給はちゃんとしたか?」

 

不知火「全員完了しています」

 

キリっとした表情で不知火が答えてくれる。こちらも釣られて背筋が伸びた。

 

提督「そうか、ご苦労だった。戻ってくれて構わないぞ」

 

不知火「…あの、司令。もう少し傍にいても、いいでしょうか」

 

提督「なら執務作業を手伝ってくれ。夕張だけだと不安だったんだ。お前がいてくれると助かる」

 

夕張「ちょっと、どういうこと!?今日たまたま寝坊しただけじゃない!」

 

不知火「それが落ち度です。秘書艦ならしっかりしてください」

 

提督「そういうことだ。だが、無理だけはしないでくれよ。軽巡洋艦夕張の艦娘はたくさんいるが、お前はお前だけなんだ。倒れられても困る」

 

夕張「はいはいわかってます!」

 

二時間後…

 

提督「ふぅ、これでひと段落か。おっと、もうすぐ正午だ、お前ら食堂に行ってこい」

 

夕張「提督は一緒に食べないの?」

 

提督「俺は空き部屋の片付けをしたら食べるから。そうだ不知火、お前は秘書艦じゃないのに頑張ってくれたから間宮券をやろう」

 

不知火「司令!ありがとうございます!」

 

不知火は小走りで食堂に向かっていった。いくらちゃんとしてると言ってもやはり駆逐艦だ。

甘い物には目がないらしい。

 

提督「ほら、夕張も行ってこい」

 

夕張「私は空き部屋の片付けを手伝いたいんだけど、ダメ?」

 

提督「ダメじゃあないが、どうして?」

 

夕張「そっちのが早く終わるでしょ?」

 

提督「まぁそうだが。遅刻するぐらい疲れてたんだから飯あちゃんと食ってくれ」

 

夕張「でもそうしたら、提督と一緒にご飯食べられないでしょ…」

 

いつもの快活な声と比べると随分小声だ。耳まで真っ赤に染めている。

ここはひとつ、からかってみるか。

 

提督「どうした?もっとハッキリ言ってくれないと聞こえないなぁ?」ニヤニヤ

 

夕張「…提督と一緒にご飯が食べたいの」

 

提督「えぇ?今なんて?もっかい言ってくれ」

 

夕張「提督と!一緒に!ご飯が!食べたいの!

 

提督「すまん、もう一回頼む」

 

夕張「聞こえてるくせに…もう知らない!」

 

しまった。怒って出て行ってしまった。

…仕方ない。一人でやるか。

 

重い腰をゆっくりと上げて執務室のドアノブに手をかけた。

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