「朝…か」
日が落ちてから寝、日が昇ってから起きるという、非常に健康的な生活を送って9日目。明日になれば10日だが、今ではほとんど意味をなさない指標だ。
お腹がきゅうと鳴る。可愛い音だ。…腹が減った。
やはり、少しばかりでも食べれば、お腹はまた空く。これなら食べない方がまだ楽だった。とはいえ、栄養的には食べないより食べるほうがいいのだろう。
「ん?」
まだ眠いなぁ、寝ようかなと考えていると、不意に音が聞こえた。
大型の熊が暴れ回っているかのような音で、森の方から聞こえる。え、怖。
「青妖精ー!青妖精ー!」
頼れる妖精を大声で呼ぶが返事がない。え、ちょま、流石に怖いんですけど。
『あらあら、おねーさんがまもらせてあげさせなくもなきにしもあらずかもしれないきもするかもよ〜?』
年増妖精!嫌にまどろっこしいが、どちらでもいいという事なのだろう。きっとそうだ。そうに違いない。
そして銃を構えるかのように砲身を森の方へと向ける。
「って、撃ち方わからないんだけど」
『うてるわけないわ。だってぎそうがないし』
最初っから言えよ!というか意味ないじゃん!
何だよ、守ることは可能だとか言ってたじゃないか。
「いや、これを投げればいけるか?」
『ごきげんななめになるみらいがみえるわ』
そうか、あまり意味ないのか。いよいよ使えないではないか。
ふと気づくと、あの暴れるような音はなくなっていた。何だったのだ一体。
『そもそも、ここにやせいのどうぶつなんているの?』
「……いない」
そういえばそうだった。ではこれは一体…?
『おや、提督。起こしてしまったかい』
「犯人だ!捕まえろ!」
明らかに犯行後の発言。自分がやったと言っているようなものだ。まさか、頼れる妖精が犯人…人?妖精?だったとは…!
心の中でそんな茶番をしつつ、無理やり捕まえた青妖精を解放する。
『全く。…そうそう、人間、ええと、β大佐が来て、ちょっとムカついたから懲らしめといたよ』
「そうか」
反射的にそれヤバいだろ!と叫んでしまいそうになったが、すんでのところで踏み留まる。
一見、大佐なんて人に手を上げようものなら、何をされるか分からない。しかし、今回やったのは青妖精である。β大佐は妖精が知覚できていなかったようなので、夢でも見たで切り抜けられ…るか?
『無理だね。わざわざ、聴こえるようにしたんだから』
青妖精は馬鹿か。いや、この場合、触れない妖精より触れる俺に怒りの矛先が向く。つまり、青妖精はノーダメージ。謀ったな。
いや、信じてもらえるか分からないが、妖精のせいだと言ってしまえば勝ち筋は残るのではないか?
『さらっと提督のせいにしといたよ』
鬼畜か。鬼畜なのか。いや、ポジティブに考えれば、怒られて日本に帰れるではないか。いい事じゃないか。
そして、軍法会議なり、裁判なりで牢屋にぶち込まれ、解放されても前科持ちは生きづらい。ダメだ、明るい未来が見えない。
そのように思い悩んでいると、太っ…平安時代にモテそうな体格の男性が森の中から出てきた。割と切り傷だらけで。
「ちょっとじゃなくない?」
『すごく懲らしめてみた』