補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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かませ犬にもならなかったβ司令官が退場し、1章分の間を開けて白露が登場です。


第四章
夜戦投票結果


 α中尉の船を見送り、その頃にはもう陽も高くなってきた。

 

「チキチキ!夜戦したいやつ手を上げろ〜!多数決万歳スペシャル!どんどんパフパフ」

 

 急に川内がテンション高めに賭けの宣言をする。覚えていたのか…。

 白露はこのテンションについていけてない様子で、何これ、という目を俺に向けてくる。

 

「説明しようッ!これは俺と川内の間で始まった、壮大かつ高貴な闘いなのである!」

 

「二人ともテンション高くない!?」

 

 そう、この闘いは今後の安全を確保するための大事なものなのである。そして、川内も言っているように多数決で決めるため、そこに異論を唱える余地はない。故に今ここでこの白露をどちらが抱き込めるかが勝負なのだ。

 先手必勝の勢いで先に取りに行くのは俺である。

 

「白露、夜戦ってのは危ないよな」

 

「う、うん。そうだね」

 

「じゃあ、夜戦はやらなくていいよな!」

 

「え、う〜ん…」

 

 チッ、やはり数字を出さねばなるまいか。しかしながら俺に艦隊運用は分からない。だからまともに意見できる数字はない。

 言葉に詰まった俺の一瞬の隙を突き、次に川内が語りだす。

 

「夜戦、するでしょ?私達の本領は夜戦でバーンでしょ?」

 

「へあ!?川内さんまで?!」

 

「夜戦しよ!」

 

「うぅぅ…」

 

 両者拮抗といったところか。だがここで、俺が負けるわけにはいかない。理由は危ないからだ。

 

「夜戦のデメリットである危険性。これは見過ごすことができない。治療システムの整っていない今、大きな怪我を負うのは致命的と言える」

 

「夜戦、楽しい、おーけー?」

 

 ンな訳あるかぁ!夜戦、辛い、オーケー?

 

「…んで、そろそろ聞いたあげよーか。白露はそのメガネどうしたん?」

 

 あ、川内。それは態々聞かないようにしていたのに…。まあいいか。若干俺も気になってたし。

 そう、白露がβさんを守ったときに、と言っても空砲だったみたいだが、の時から着けている赤い縁の眼鏡。目が悪くなったのだろうか。

 

「あー!やっと聞いてくれたぁ。ふふん、どうよ。賢そうでしょ!」

 

 おお…ありきたりなバカ発言。しかもメガネ赤というベタっぷり。中々やるな。

 

「それで、白露はなぜメガネ属性に?」

 

「属性…?まあいいや、電に教えてもらったんだよ、秘書艦業」

 

「ヒッショカンって確か秘書のことか?」

 

「そうそう、提督を補佐する役割だよ」

 

 ほう。補佐ね。補佐……補佐、補佐!??

 俺って補佐される程仕事は…ないはず。ということはどういうことだ。何を補佐するというんだ。

 頭の中で補佐について考えていると、川内が声を上げた。

 

「はい、じゃあ、夜戦したくない人、手ー挙げて」

 

 多数決を取り始めた川内に、咄嗟に反応して手を挙げる。急過ぎるだろ。

 そして白露の方に目をやるとそこには、天を5本の指で指すものが伺えた。俺はホッと安堵し、川内に目をやる。

 

「ほら、勝ったぞ」

 

 その時の俺は忘れていた。川内の目的は白露との仲を良くさせるということ。つまり、早く終わらせれば終わらせる程、話すなどのコミュニケーションが取れなくなる。

 しかし、川内はとても早く切り上げてた。ここから導き出されるのは、白露と俺の仲を良くするのが目的ではないということ。

 

「じゃあ、夜戦したい人」

 

「あれ?あたしはよく分かんないけど、終わったんじゃないの?」

 

 そして、早く切り上げるのは勝利が確定したからに他ならない。

 

 川内の後ろにそびえ立つ手。その数は2を超えている。そこには妖精らの手があった。

 

「ありかよ!?」

 

「なしじゃないよ。フフっ」




日本の勝利である。
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