よく分からないし、だから考えなければいけないことが多いが、取り敢えず今やるべきことは分かっているつもりだ。
役職、階級、権力などは縦社会、究極的には自分とは別の者がいなければ役に立たない。やはり、人間というものはどうにも生きながらえたく、その為には健康が一番である。
「…腹が減ったな」
クー、と可愛らしく腹が鳴る。
そうそう、可愛らしくと言えば、白露は2、3日前より随分とキレイになった。というのも、やっぱり艦娘もそれなりに日焼けや肌荒れがするらしく、潮風の影響も受けて初日よりも体から臭いがあったりなどしたのだが、今では初日と同じくらいにキレイである。
それに比べ俺は、汗臭く、肌も荒れ、髪も傷んでいる。男の時にはあまりなかった感覚だが、自分の髪がどんどんと傷んでいる気がするってのは一種の恐怖だ。
「じゃあ、また釣る?」
川内がどこから出したのか、例の釣り竿モドキを取り出した。
川内の提案は嬉しいのだが、俺は別に殺されないとしても、自分のことぐらいは自分で世話したい。だが、俺には海に出る手段がないため、川内に利益のあるようなものを模索しよう。
『ああ、そうだ。川内さんと白露さんは私と一緒に釣りに行ってもらおう』
青妖精は頭の上から降り、白露の手の平の上に乗る。
「いや、別に一人で充分――」
『提督、女子トークの邪魔をする気かな?』
その見た目で女子というのか、この妖精は。
とはいえ、見た目の話をすれば俺も女子なので、きっと見た目は関係ないのだろう。
ここは紳士的対応をしてやろう。
「あー、そういえば俺、やることあったなー。その間、海で魚釣ってくれると助かるなー」
もちろん、やることなどない。けれども、女子トークと食事が対価交換可能なのであれば、それに越したことはない。
『それは紳士とは程遠――』
「ホントに!?提督は魚釣ってきたら嬉しい!?」
「あ、うん、まぁ、な」
「よぉーし、張り切っていきましょー!」
そう言って白露は、いっちばんに釣ってくるよ!ついてきて!と海に駆け出した。何が白露をあそこまで駆り立てるのだろうか。
「じゃあ、私も行ってくるね」
そう言って川内は白露を追いかけていく。
さて、暇になってしまったな。何をしようか。
『は、ことうにふたりっきり……ていとくにおかされますぅ』
もう無視でいいだろうか。いいよな。
と、無視していると年増妖精が顔をぺしぺしと叩いてきた。顔の上にいる年増妖精をつまみ上げ、手のひらに置く。
「何だよ」
『…は、ことうにふたりっきり……ていとくにおかされますぅ』
もう本当に無視でいいよな。