暇を惰性に過ごすこともありだったが、砂浜は非常に熱く、木陰に隠れても虫がまとわりつき、休む間もない。
太陽は真上を少し過ぎており、暑いのも納得できる頃合いだ。取り敢えず、魚を生で食べるわけにもいかないので、木の枝でも集めることにする。落ち葉や草も焼く対象にはなる。
意外とこの作業は時間がかかるもので、太陽は更に傾き、再度同じことをすれば夕方である。
そして俺は少し試してみたいものがあった。
「妖精たち、一昨日みたいに水を浮かせられるか?」
そう、まるで魔法であるかのように、水を球状に丸め自由自在に動かしていたことがあった。それを使って小学生のレンズの実験のように、太陽光を使って焚き火が作れるのではないか、と思ったのだ。
『できるかな』『できるんじゃない』『できそうだよね』
「よろしく頼む」
『たのまれたー』『がんばろー』『まかされよ』
儀式のように妖精たちが四隅に行き、はあぁっと手を突き出している。そして、海水から作った水を浮かべさせ…られなかった。
『むりだー』『むちゃだー』『あきらめんなよ』
「何で出来ないんだ?」
『あねきがいない』『ねえさんがいない』『あねうえ』
姉?妖精って家族構成があったのか。知らなかった。
「姉ってのは誰?」
『りーだー』『かっこいい』『ちからもち』
うむむ、分からん。妖精って各々の顔に違いがないから、基本的に髪型で判断する他ない。それで、かっこいいや力持ちというのは判断できず、唯一分かるのはリーダー気質といったところか。
「他に髪型とか服装とか分かんない?」
『むずかしい』『あきた』『みかはすげぇよ』
え…難しかったか?などと思っていると心なしか妖精が集まってきた。
『おどろー』『まつりだー』『うわぁぁあい』『なにするー』『もようがえの』『backgroundmusic』『いってみよー』
俺は妖精の流れについていけず、足元でわちゃわちゃしてるため動けずにいた。
そして妙にいい発音で言っていたように、何処からか曲が流れてきて妖精達が足元で踊り始めた。
『ていとくも』『のりわるーい』『そんなおどりでだいじょうぶか』
ある妖精は手に乗り、ある妖精は足を掴み、ある妖精は肩に座る。どういう原理かわからないが、おそらく妖精の思うように勝手に体が動き、それはまるで踊りのようだった。
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「提督、何やってんの?」
「……妖精が見えないと提督になれない理由の実体験かな」
夕方、白露達が釣りから帰ってきて、そこに付属する青妖精に妖精達は向かっていった。妖精達は青妖精に向かって姉貴だの姉さんだの姉上だの言っている。青妖精だったのか……。
そして、ようやく開放された俺は、砂浜に寝転び川内のスカートの中が見えるか見えないかのような位置にいる。人間って疲れると興奮しないものだ。
また、俺は一つ賢くなった。
青妖精をどこかにやってはいけない。