一つ賢くなったところで、白露達の釣ったであろう魚を見やる。
サイズは秋刀魚より少し小さいぐらいだろうか。見た目も悪くはないし、食べる分には申し分ない。ただ、毒があるものは食べたくないが、きっと青妖精がどうにかしているだろう。
白露に頼み、焚き火を作ってもらい、釣ってもらった魚を焼く。餌付けってのは悪くない。
相も変わらず艦娘は弾薬をバリボリと食べ、燃料をごくごくと飲み干している。よく食べるなぁ。
……はっ。そもそもこの光景は普通ではない。慣れってのは怖いな。普通の人が見たら狂気の沙汰ではないだろうか。
魚もいい感じに焼け、ヒレなどを毟ってからかぶりつく。これまた良い感じに熱く、ハウハウと口の中にある熱い身を冷まし、何とか飲み込む。なかなかに旨いではないか。
「そうだ、提督。明日はどうすんの?」
川内が燃料を飲んで一息つき、質問する。
明日…明日ならそろそろ家を作らねばならないだろう。衣食住の住だ。大事である。
優先順位としては次にドックが来るだろうか。一応戦線らしいので、回復は必要不可欠だろう。そして、後は資源とか艦娘とかを増やして、日本に確実に帰ろう。
「あれを完成させないとな」
「それもそうだけど、艦娘、増やしたほうが良くない?」
「いや、あれ作って、ドック作って、その後だと思うのだが…」
「……」
何か無言になった。変な発言しただろうか。間違ったことは言ってないと思う。うん。
では何だろうか。思い当たる節がないぞ。そう思っていると、黙っている川内に代わり白露が話し始めた。
「提督、ドックってのは入渠、つまり回復だよね?」
「そう、だが?」
「でもさ、艦娘が増えたら手数が多くなって怪我もしづらくなるし、例えあたし達が戦えなくなっても他の艦娘が戦えるんだよ。それに入渠は時間がかかる事もあるから、まずは艦娘を増やさないと」
「いや、それじゃあ増えるまでが苦しいじゃないか。例えノーリスクローリターンでもリスク無いならやるべきだと思う」
それにずっと怪我したままというのは少々目に毒だ。性的な意味で。
いや、もしかすると、ドックを作るなと言っているのだろうか。こんなとこにいるぐらいなら死んだほうがマシだ、と言うのか。
それは困る。どうしようか。生きる意味を説いてみようか。無理だ。生きる意味を俺は持っているが、個人的なものだ。
「…提督って、優しい、というか意外と純粋だよね」
「は?」
「んー。川内さんも、そう思うよね?」
「確かに、提督ってピュアだんね」
ええ…。俺は結構捻くれた考え方してると思うのだが…。
まあ、言動は普通にしていると思ってるけど、それでも捻くれてると思うがなぁ。
「…どこらへんが?」
「そうやって、他人の言ったことを、ちゃんと考えてるところ、だよ。ね」
「そうだねぇ。良いことだと思うし、むしろ、会話のテンポがズレてないのが凄いけど、普通の人はもっと適当といえば、適当じゃん? そういう意味でピュアだよね」
ああ、そういう。…あれ?何で心読まれてんの?
『まぁ、ガールズトークで盛り上がるのは、異性について、だからね』
頭の上から青妖精の声がする。そうか、犯人は青妖精なのか。
俺は腹いせに頭を振って、青妖精を振り落とした。