《そっちの様子はどうだ?》
《ちょっと予想以上に数が多いけど、駆逐艦しかいないから、全然大丈夫だよ!》
前にα中尉に貰った通信機により通信をしています。どうやら、川内さんが落としてしまったらしく、その代わりだそうです。
そして今、10隻目のイ級を倒して提督に返答をします。漣から1、2隻と言われていたのにも関わらずこんなにも多いのは、ある中佐が別のところに攻めてしまったからだそうです。
「おーい、白露ー、こっちは終わったよー」
「はぁい」
川内さんと合流し、これからどうするかを考えます。
まず、これまでの戦闘が多く、4戦もしてしまったため殆ど弾が残っていないです。
また、燃料も心もとないので一旦、小島の方に帰投するべきでしょう。
漣からもここら辺が終わったら帰っていいと言われたので、きっと大丈夫だと信じたいです。
「ん?…あ、白露。深海棲艦を発見!」
「え?」
そちらの方向を見れば確かに深海棲艦の影を確認できます。
目を凝らしてみると薄く赤色に光っているのが見えました。
「あ、あれは…」
その深海棲艦は、二股の尻尾の先に砲がついていて、顔の半分以上を黒い何かで覆っている重巡。
《何かあったのか?》
《ネ級…重巡ネ級…elite》
再び二日目の夜の絶望が始まろうとしています。
――――――――――――回ッ想ッ
「ふぅ…」
思わずそんな声を出してしまいました。
α中尉の入渠ドックは、シャンプーやリンス、コンディショナー等をおいてある、というとても良い設備です。
普通はドックというのは、冷たい場所に何時間も浸からなければならないものです。それが、このドックではお湯が出て、女の子関連のものは揃っているという完璧ぶりです。
そのため、あの島での生活と、天と地ほどの差があることに溜息を吐いてしまった私を、咎める人はいないでしょう。
「まぁ、ドックのおかげで髪とか肌の艶ってのは元通りなんだけどね」
完全に置物と化しているボトルや、回復効果を加えてくれる妖精さん達を眺めながら、あの島での生活を思い出す。
初対面から印象最悪の表情を顔に貼り付けていた提督との生活。相手の悪感情はあたしに向いているという自覚に逃げ場はなく、よくあのストレスに耐え抜いたと思います。
無論、あたしのせいである事には変わりなかったので、あたしは罪滅ぼしの様な気持ちで提督の助けになろうと思っていました。
あまり努力は報われなかったし、むしろ、活躍すればするほど、顔を強張らせていたように見えました。
それでも耐え抜いたあの数日。θ鎮守府にいた頃では考えられないほど濃密な数日でした。
時々、単艦で島の周りを駆け回り、少し疲れて帰ってみれば、恐怖の目を向けられます。最初こそ、こういうものなのだろうと思っていましたが、思っていた以上に長く、その目に晒され続け…。
「ん!」
水面に顔をつけ、一旦思考を止めます。こんな悪感情を積み重ねるのは姉としてあるまじき姿です。
「川内さん!一番に突っ込むよ!ついて来て!」