補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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おそらく、白露視点が多くなります。今回は提督視点です。
そして、白露が相変わらず季節感なく芋を食べ続けていて、可愛いなぁと和む毎日。また、川内(改二じゃない方)が、こちらも秋の私服が続いてて、寒そうだと思う毎日(特に中破絵)。です、まる。


感情かつ理性

 長兄や長姉は頼りがいがなければならない、弟妹に尊敬されなければならない、そういう考えを持った家庭で俺は育った。

 長年の刷り込みのせいか、俺はそれが間違ってないと思うし、時代錯誤だとは思わなかった。実際、俺は納得している。

 

 つまり何が言いたかったのかというと、青妖精の謎の力に長兄だから負けるわけにはいかないということだ。

 

《…ごめん、ね》

 

 はっ、と冷静になる。冷水を浴びせられたように、頭の血が引いていく。

 

《ど、どうした?》

 

《ごめん、なさい。護れなくて…怖い思いをさせて…ごめん…ごめんなさい》

 

 は…何が言いたい。

 化け物は息も絶え絶えに、謝り続ける。…そうか、通信、切ってなかったのか。通信されているのならば、俺が一人で喋っていたと思われても仕方がない。

 そういえば、リズミカルに鳴っていた爆発音もいつの間にか止んでいた。

 

《…終わったのか?》

 

《…うん、終わっちゃった。…護ることも逃げることも全部…》

 

 白露のその口調が物語る、全てが終わってしまった――負けてしまったことを。

 ようやく俺は自覚した。俺は自分自身の弱さを他人のせいにし、その責任転嫁を正しいとしていた。

 

 何が助けてもらう、だ。バカバカしい。自分の身は自分で守れて一人前である。本来、助けてというのは必要ない、という状態が好ましいのである。

 俺は他人に手を差し伸べられないから、せめて自分だけでも、他人の迷惑にならないようにする。それが、半人前が目指す一人前ではないのか。

 

 しかし、俺は助けられてしまった。化け物に――いや、違うな。俺が何をしようが助けてしまうあの白露を、自分は他を助けることが出来ないから遠ざけてしまっただけだ。

 その劣等感から「化け物」と言い、あくまで、自分は普通であるとしたかっただけだ。

 

 初日の焚き火を作ることから始まり、ネ級やホ級を経て、今回のネ級eliteでも助けられた。いや、もしかしたら、着陸したときの慌てていた様子すらも緊張をほぐすためだったのかもしれない。

 

 つまり、そういう劣等感を無自覚に強くさせる白露を俺は「化け物」と呼んだ。

 その化け物から、ごめん、と謝り続けられている。助けることはサービスであるのにも関わらず。

 

《もう、謝るな。俺はまだ、諦めていない》

 

 そうだ。俺は諦めていない。化け物と呼ぶのはもう止めよう。そもそも、頼りがいのある者を演じるには嫉妬は必要ない。

 すべて俺が間違えていた。一つの仕事に集中している艦娘を、批判し遠ざけ、屁理屈を混ぜ混ぜにして理屈のようにしていた。

 

《無理だよ。もうすぐ夜明けだから…。朝になれば、大破のあたし達はきっと、…沈んじゃうよ》

 

 考えてもみれば、半人前の俺と、人間のなり損ないである艦娘は、割と釣り合いが取れているのではなかろうか。

 タイムリミットは日が出るまでだ。それまでに俺ができることをしければならない。持ちつ持たれつつの関係である。

 

「妖精。俺が悪かった」

 

 自分が悪いと認める。これには青妖精からの恐怖による後押しも入っているが、そこは言及しなくてもいいだろう。

 

「力を貸してくれるか」

 

 散々馬鹿にしていた青妖精に、頼み事をするなど、虫のいい話ではあると思う。

 しかし、ここは嫌嫌ながらでも貸してもらえる勝算がある。

 

『仕方ないね。白露さんたちを沈ませることはできないからね』

 

 そう言うと青妖精は、青、赤、黄、橙、に淡く光るフワフワしたものを取り出した。

 

 空も白んで来た。

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