レップウケン。そう言って俺より少々大きな少女は、何やら飛行機を持って胸の辺りに突き出す。
しかし、それは男の頃では持ち合わせないものにより弾かれてしまった。
「なッ、我が烈風を持ってしても、この山は超えられぬというのか…!クッ、なんて奴だ。これではRJセンパイでも歯がたたないだろうッ」
RJセンパイ?いや、そんなことより驚くことがある。艦娘が人間に攻撃したのだ。
船から出てきたため、多少疑問は残るが、おそらく彼女は艦娘だ。その艦娘が人間に攻撃するということは、すなわち、川内達も攻撃できる可能性があるということだ。
ま、まぁ、多少はまだ役目あるし、大丈夫だろう。一応、信用している。
「おい、キミィ!何、言うとんのや、自分。同じ胸を志す仲間やろ!」
通称RJセンパイ、と呼ばれる艦娘は関西弁でツッコんでいる。確かに、同じ胸だ。双壁を為している。
RJセンパイは俺より少し背が低く、似たような背の夕立や白露に比べれば、身長と比例する成長だと言える。どことは言わないが。
まだ、焦るときではないと思うが、随分と胸に憧れているようだ。
「ほぉ、キミがα司令官の言ってた司令官やな?ホンマに白露とそっくりさんなんやな。ウチ、驚いたわ」
まぁ、α中尉に拠れば、白露らしいからな。そっくりと言うか、本物である。
「なぁなぁ、ウチの艦種、分かる?」
艦種というのは、確か駆逐艦とか軽巡とかの話だったはずだ。
まぁ、迷わずに駆逐艦だろう。川内や神通、白露を見ていると、駆逐艦より強い軽巡の方が背が高いことが分かる。
これにより、背の高い順に強さが決まっているのだとしたら、俺より少し小さいぐらいのRJセンパイは駆逐艦だろう。
「駆逐艦だろ?」
その瞬間、空気が固まった。え、何?
全ての艦娘がこちらを見ている…って大井っちは違うな。
「…いやぁ、α司令官の知り合いだから、つまらん奴かと思とったわ。中々、笑いの分かるやつもいるやないかい」
そう言うと、一気に空気は緩み、各々が元通りに話し始める。何だったんだ一体。
「なぁ、参考までに、どこを見てそう思ったか、聞かせて貰うか」
「身長?」
「…は?胸やなくて?」
「胸?艦種の判断にそこは指標になるのか?」
胸か。川内も神通も白露も、だいたい同じくらいだと思う。胸の大小が艦種に関係なさそうだと思ったのだが違っただろうか。
「ま、まぁ、少尉くん、龍驤さん。この話は置いといて、ここに来た目的を果たそう」
「ん、そうやな。何か、熱うなってたわ」
どこに熱くなる要素があったのだろうか…。いや、そういう対応が大人な対応か。自分に非が無くても、非を認めて他人を優先する。見た目に反して、随分と大人だ。
「さて、少尉くん。こちらが現海軍最強の軍神だ」
そう言って手で指し示すのは、レップウケン等と言っていた女性である。随分と急な紹介で、どうやら神様のようだ。
…は?ちょっと俺の理解できる範囲を超えている。この話は考えないでおこう。
ただ、現海軍最強と言われても、海軍の実力など知らないため、よく分からない。結局、何もわからないではないか。
「ちょ、その二つ名は中二病的には唆るけど、黒歴史で恥ずか死ぬから止めて」
「あぁ、済まなかった。サキ中佐だ」
「霧崎 咲でっす。サキ司令って呼ばれてまぅす」
気を取り直したようで挨拶をする。中々珍しい名前である。
……人間かよ!