この世界に来て、1週間が経った。その間で分かったことはたくさんある。
ここは地獄だ。ゲームほど生易しくなく、艦娘は腕が飛んだり足が消えたりする。しかも、深海棲艦は近海に頻繁に出現し、チュートリアルもありはしない。
「いや、艦これは元からそうだったらしいし、あんまり関係ないか」
それに、本当の戦術を立てなければならないため、むしろゲームより戦略性は高い。けど…
「そんなのは欲しくないんだよぉ!私は!ただ!短冊ブルブルゲーで暇つぶしをしたかっただけなんだよぉ!!」
「ご主人様、授業中ですよ。しょーじき、うるさいです」
そう、今私は、見た目に反して艦娘の中で最も頭のいい漣に、ご指導ご鞭撻して頂いている。
この授業で、一応、地獄と言えど、救いようはあるこど分かった。
まず、この世界に羅針盤の魔の手がないこと。真のラスボスと言われる羅針盤は、海軍黎明期から装備として使えないし、方向は分からないし、と言うふうに意味の分からない物らしい。
そのせいで、羅針盤の妖精さんは他の妖精さんとも仲が悪く、執拗に攻撃するようだ。
まぁ、その妖精さんに会ったところ、羅針盤の使用は二つ返事で了承を得た。ただ、漣から奇異の目で見られました。何故でしょう。
まぁ兎に角、これにより、深海棲艦の出現場所が分かったため、戦局は有利に運ぶことができる。そう考えると、艦これの全深海棲艦の位置を表示する機能は相当ヤバい。
次に、ステータスである。無双系お馴染みの鑑定スキル。そのモドキと言える。
例えば漣であれば、Lv3でそれ相応の火力や雷装などが数値となって見える。また、称号のようなもので、〈初期艦全過程卒業〉〈初期艦総合筆記試験一位〉〈初期艦総合対艦試験三位〉の3つが見える。は、ハイスペックだ。
因みに私は〈特例提督〉〈少佐〉〈忌避されし者〉〈迷いし者〉と書いてある。少佐は解る。特例提督は漣の言うテートクカッコカリらしい。他は分からない。迷いし者はこの世界に迷い込んだからだと、解釈したい。
そして、最後に、艦娘は進撃か、夜戦突入時に大破だと轟沈する。攻撃を受ければ轟沈することもあるが、放置でも沈むことがあるらしい。
それでも、攻撃されて沈みました、ではないだけ優しさがある。
このように、意外とゲームと似たようなものもあれば、酷くなっているものもある。しかしながら、良くなっているのはない。特に艦これ初心者にとっては。
だけれども、これは地獄ではない。地獄というのは、ここにゲームがないことだ…!
何たる悲劇か。一日中勉強に運動、睡眠食事。ゲーム時間がなければ、ゲーム機すらない。むしろ、疲れ過ぎて自由時間があっても、無いのと同じである。
私の汗をかくお色気シーンに需要はない。一刻も早くゲームしたい。けれど、艦娘は沈んで欲しくないから、勉強はしなければならない。
もし、これが私の物語なら、題名はこうだろう。
ゲームの世界にゲームは無いためゲームほど生易しくない。