ここに来て二週間が経った。
この二週間で私は真人間となった。夜は12時に寝て、朝は6時に起きる。7時までに身支度を済ませ、朝礼を行い、7:30からは執務のスタート。秘書艦として漣は優秀で、私は判子を押すだけである。
「ちっがーう!私は、こんなことより、世間一般の情報を集めないと、いけない!」
「うるさいです。黙って手を動かしてください。というか、秘書艦を増やすことを漣は所望します」
「仕方ないのだよ、漣くん。任務で赤城が手に入らないから、制空権が取れなくて、皆でドロップを狙ってるんだから」
「何で、ご主人様は、そう偏った知識しか持ち合わせてないんですかネ」
高校生の私にはこの仕事量は捌ききれない。そのため、私より幼い漣が全て消化しているのには、本当に感謝している。
「謝りたいと、感じている。だから、感謝というのだろう…!」
「そうですカ。気持ちだけ受け取っときます。…あ、13時ですネ。七駆の皆とランチに行きますから、ご主人様は適当に食べといてください」
相変わらずの辛辣な対応を受け、執務室に一人残される。
さてさて、この昼の自由時間。お昼を食べることも一つだが、もう一つやることがある。それは、もとの世界に帰ることだ。
この世界は嫌いではないが、もとの世界に帰ることができるのは良いことだ。もとの世界は嫌いであるが。
そして、私はこの部屋のどこかにあるだろうと、あたりを付けている。
「妖精さん、間宮さんのところに行ってお昼持ってきて」
これでお昼は確保できた。後は何がもとの世界に帰るきっかけなのか探すだけである。
「けど、どこにあるか分からないな〜」
執務室は結構広く、この部屋を探すとなると相当の時間がかかる。この部屋になければ、もう帰る気力はない。
取り敢えず、執務机の棚を開け閉めし、秘書艦の机の棚を開け閉めして、何も分からず、席に座る。
「ノーヒントで探すって、頭悪いなぁ」
ホコリを被っている万年筆を紙で拭き取り、ペン立てから取り外す。
その瞬間、目眩が起き、目を瞑りフラフラする感覚が消えるのを待つ。
目を開けてみると、無駄に高級そうなペンと服を着けている一人の女子高生が、電源の切れたディスプレイに映っている。
「か、帰ってきたー!」
外を見れば夕陽が輝いており、家中を走り回っても両親はいなかった。スマホを開けば、あの時と同じ日時を指し示している。
「あ」
あの世界に戻ることが出来ないのか試さねばならない。艦これを開き、スタートすると、普通に画面が開いた。
まじか…。
完全に萎えて、電源を落とそうとすると、また、目眩が起きた。
目に映る光景は、お昼の用意された執務室である。
「やった、やった!やぁりましたぁ!」