私は今、華の高校生活を送っている。
血生臭く、磯臭いあの場所から抜け出し、媚と油を売るこの場所に帰ってきた。
数日間、私はどういった条件で艦これの世界へと行けるのか試してみたところ、艦これを起動している状態で電源ボタンに触れると行けることが分かった。
また、私が異世界人だと明かしている漣を使って、任務だとか戦闘だとかを試したところ、色々わかったので紙に纏めてみた。
一つ、私が現世にいるときは昼夜がリンクし、昼に夜戦突入すると、こちらが夜になるまで艦これは進まない。
一つ、任務は受けることが可能で、艦これの世界にいても達成可能。ただし、艦これの世界で任務は受諾不可。
一つ、昼戦のみで終わった場合、次のマスに進むと、そこが戦闘マス空襲マス等のダメージが発生するものである限り、一日経たなければ進まない。逆に言えば、そうでないマスは進める。今のところ2-2周回は優秀である。
一つ、艦これの世界で、海軍から支給されたものは現世でも使用可能。もしかすると、震電が手に入るかも?
こんなところだろうか。他はまだ初心者提督なので分からない。
また、漣だけ練度50超えなのは、艦これの世界では貰える経験値が一定でないのに関係する。
自分にどれだけ活かせるか、を考えることができる艦これの世界では、本当の意味で練度となる。誰かが、人間は考える葦だ、と言っていたが、その意味がよく分かる。
「では、ご主人様、朝礼の時、よろしくメカド●ク、です」
「いや、それはハズい。青葉に頼んで…はそれもそれでハズいし、執務室に来た娘にサラッと伝えたい所存でございます」
「……出来ますカ?」
「…高度な柔軟性を持って的確かつ臨機応変に対応することに、最善の努力を持って望みます」
「諦めたらそこで――」
「分かったよぉ。朝礼で言うから、原稿作っといて」
「人使い…艦使いが荒い、ご主人様ですネ」
そして、もとの世界に帰ることができるようになった今、艦娘に事情説明をすることになった。
言う必要はないと思ったのだが、こんな変なことで混乱を招きたくない、と漣は言っていた。
――――――――――――
―――――――――
「―――この後、第一艦隊、夕張、村雨、夕立、五月雨、春雨、千歳は柳作戦のため、執務室に。第二艦隊、第三艦隊は編成を変えずに、防空射撃演習と、警備任務にあたってください。対潜哨戒のため、第四艦隊、五十鈴、朝潮、大潮、満潮、荒潮は鎮守府近海に出撃。……では、最後に、提督よりお話があります」
漣がチラッとこちらを見たため、艦娘達の前にカチコチに緊張しながら出る。
漣に渡されたメモ用紙を開き、前を向く。
「傾聴!」
漣の合図とともに、皆の気迫が増す。ちゃんと聞こうとするのは嬉しいんだけどね、こちらとしては普通にして欲しい。
楽にしていいよ、といった目線を送るが、首を横に振られてしまった。
「コホン、…えー、ここからの話は、外に漏らしてはいけません。…あっえーと、いけないので、異動等を考えているなら、漣に指示を仰いでください」
そう言って目線を上げると、一同は緊張した面持ちをしていた。誰一人動いていないので、一応、私に信頼はあるのだと実感する。
「…さて、正直、皆からすれば、私の行動は奇怪に感じていたと思います。今回はその理由を、この場で話します」
ざわっと空気が揺れ、若干名の頭が動いている。
「端的に言わせてもらいます。私は異世界人です」
そう言うと、一拍置いてから、皆は吹き出した。笑いが会場に広がり、呆れや怒りも見え隠れする。
「ちょっと、このクズ司令官!そんな与太話、ここですることじゃないでしょ!」
「……証拠、になるか分からないけど、そうであることを今から見せます」
そう言って例の万年筆を台に置き、ペン立てから万年筆を抜き取る。
いつもの目眩がして、気づけば艦これの画面が見える。きっと今頃、提督が消えたと騒いでいるのだろう。
私は、まだ練度の低い霞を使い、赤城とともに1-1を5回ほど回す。
そして、電源ボタンに触れると、また目眩がして艦娘達の目の前に立っている。
「ま、こういうことです」
赤城が小破し、霞が中破している姿を見て、皆一様に言葉を失っていた。