艦これの世界に行って、一年が経った。
定期テスト前には艦これの世界に行き勉強し、それはもう鰻登りに成績が上がった。艦これの世界にいると、現世の時間は止まるためである。
因みに、成績が上がる事で、グループの人たちと関わることが減り、男子と勉強関連の話で盛り上がってしまうため、イジメられることは増えた。今更ではあるから気にしないが。
しかも、艦これの世界で、年を取ることがない。使い勝手が良すぎる世界だ。
そんな私もついに、演習を申し込まれた。その提督の名はα中尉らしい。
α中尉はビシッと敬礼を決めている。
「は、α中尉、ただいま参上しました」
見た目は高校生だろうか。背は高いし、顔は普通だ。目つきは鋭いため、威圧感が半端ない。
それもそうか。相手は本物の軍人だ。私みたいな一般人の場違い感が凄まじい。
「は、はひ。ふ、ふふふ、ふちゅちゅか、ふちゅちゅか、ふちゅつか、者ですが、ヨロス、シクお願いしましゅ」
噛んだ。死にたい。
「どうも、電なのです。本日はよろしくお願いします」
「漣です。電はおひさ。教育校以来?」
横の繋がりもあるのか。なら、ステータスを覗いてみますか。
α中尉は〈特例提督〉〈中尉〉〈不死身艦隊〉〈回りし者〉を冠している。不死身艦隊って名のとおりだとすると、相当実力があるのではなかろうか。それと、回りし者とは何だろうか。踊りが得意なのだろうか。
電は〈初期艦全過程卒業〉〈初期艦総合対艦試験一位〉〈不死身艦隊〉である。電は不死身なのか。響は不死鳥らしい。
そして、目を見張るのは、対艦試験一位の記録の保持。漣は三位だったので、初期艦の時点では一番強いということだ。
「では、早速演習を開始しましょう」
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端的に言おう。日本の勝利である。割とギリギリだが、S勝利だ。不死身艦隊という名の通り、非常に面倒くさい相手だったが、練度差での勝ちだ。
「流石に強いですね」
「い、いえ。それほどでも…」
いやいや、練度90超えしかいない私のPTに、改にすら至ってない駆逐艦が夜戦までもつれ込むって、相当強いと思うんですが…。
「タービンでも積んでいるんですか?」
「いえ、高角砲を二つと、電探一つですよ」
「へ、へー」
海軍、ヤバすぎでしょ。練度低くてこれほど強いと、99とかになるとどうなるんだろうか。
「では、迎えに行きましょうか」
「は、はい」
◇◇◇
コンチハ、漣です。今はα中尉と対談を行っています。ご主人様は抜きです。
「それで、どうしたんだい、漣さん」
「まずは、艦娘の話を聞いていただき、ありがとうございます。…それで、何を企んでいるんですカ?」
この人は、あの可愛い電のガラを悪くさせた人だ。相当頭の可笑しい人に決まっている。
α中尉という名は、かねがね聞いており、艦娘消去派――その中の虐待派に属するという。完全勝利派とも言われているが、あれはデマだ。
「僕は、彼女の力を借りて、この戦争を終わらせたいだけだ」
「…貴方からすれば、続いた方が嬉しいんじゃないですか?」
なるべく、切り札になりそうな情報は隠したかったが、純情な艦娘を演じるには丁度いいだろう。ある程度の情報なら持っているという牽制に、隠さずに言ってしまうという印象の効果がある。
「残念ながら、僕は四大派閥の何れにも属していないよ。きっと、サキ中佐もそれは知っている。所謂、無所属というものだ」
「そうですカ」
わかりやすい嘘だ。
それでも、ご主人様に害がなければ、それでいい。ご主人様は軍事会議の存在も知らなければ、自分の評価するも知らない。漣が消しているからだ。
理由としては、ご主人様がアホなのが該当する。
「そこで、だ。漣くん。僕に協力してくれないだろうか」
「…メリットは?」
「僕に協力してくれれば、過激な人間を近づけないようにさせよう。また、資源等も融通する。デメリットを挙げるならば、漣くんの仕事量が増えるくらいかな」
「…資源の融通はお断りします。代わりに、貯めて頂ければと」
「分かった」
「…では、話は終わりです。漣の仕事が増えるぐらいなら、問題ありませんし。…にゃはは、じゃあ、お疲れ様でぇーす☆」
客室のドアを閉め、今演習について褒めているだろうご主人様の下に駆け出した。