川内の得意分野は建築であった。そのため、神通にも何かしらのセンスがあるのかと思ったが、どうやらあまり無いようだ。
「せ、川内姉さん。板が…飛び出てしまいました」
「ちょ、それ床の補強用のやつじゃん。壁の板はこっちに置いてあるから、私の作業、任せるよ。私は神通のやつやるから」
「せ、川内姉さん。板が…入らないです」
「それ、縦。横にすれば入るよ」
「川内姉さん、板が…」
「今度は、どうしたの?」
「嵌りました」
「はま…嵌ったのね。うん」
白露の作業を手伝っているため、横目で見ていると、大体このような会話をしていた。
「じゃあ、神通。神通は遠くから見て、私達に指示を出してくれない?」
「分かりました、川内姉さん。神通にお任せください」
まぁ、仕方ないか。
そう思って作業に勤しんでいると、神通が駆け寄ってきた。
「提督と白露、作業が遅れていますよ。川内姉さんに合わせてください」
「いや、あれは無理だろ」
「川内姉さんに出来て、提督が出来ないでいてどうするんですか」
「えぇ…」
川内を見れば、舞っているかのように次々と壁を組み立てており、まるで忍者か何かのようだ。
あれの真似をしろと…?
「白露も、弛んでいると夜戦に川内姉さんも連れて出撃しますからね」
「え"! 神通さん、それは流石に…」
「つべこべ言わないで手を動かしてください」
「はーい…」
鬼だ、鬼がいる。というか、夜戦が好きなのはどちらも変わらないみたいだ。
俺と白露が壁を一枚作っているうちに、川内は壁を二枚組み立てていて、彼女は大工か何かに転職したほうが良いのではなかろうか。
「神通ー、休憩にしよー」
「分かりました、姉さん。提督と白露、休憩です」
「だあ"あぁぁ、疲れたー」
「…俺って、提督だよな…? 艦娘に指示を出す側だよな…?」
まぁ、あまり提督という自覚はないが。
それはさておき、青妖精らが水を運んできたため、ふわふわと浮くそれに口を当てて飲む。
本当に、水分を手に入れられて良かった。海を飲むのはなかなか勇気がいる。
「次は二階かな?」
「え、二階建てにするのか?」
「そのつもりだったけど…」
労働力と時間が足りないだろう。そもそも、雨風を凌げればいいだけなので、簡易的なもので十分だ。
けれども、川内達と俺とで部屋を分けなければならないため、部屋は2つ必要だ。なるほど、それで二階建てなのか。
「別の部屋を作るか、今の家を区切るか、のどちらかだろうな」
「もう一部屋、造る?」
「それは、キツイな」
「だよね」
どうすればいいのだろうか。出来れば、あのスコールがもう一度来る前に建ててしまいたい。
「…二階、建てるかぁ」
「だしょ?」
「流石、姉さんです」
神通、シスコ…おっと誰か来たようだ。