空が暗くなり、月が空に輝いている。
いつもより少し明るい外を眺め、俺は黄昏れていた。
「はぁ」
人には性欲と呼ばれる欲求がある。
食欲、睡眠欲のように満たすことが必要な欲求だ。そして、俺は他の二つを満たしたため、残り一つの欲求が暴れ始めたのだ。
下世話な話だが、最初から共に過ごし、苦楽を共にする。そんな相棒とも呼べるモノは、難なく自慰行為に使用できた。
だが、どうだ、女子のモノは。自分でヤるにはグロテスクである。おそらく、女子から見た男子のアソコがグロい様に、男子から見ればグロいのだ。
なら、見なければいいじゃないか。そう思う人もいるだろう。しかし、ここには艦娘と妖精がいる。
後ろに振り向けば壁も隔てずに艦娘が見えるし、青妖精は俺の頭から離れない。
『そんなにしたいなら、外ですれば?」
「露出狂か」
完全に心を読む青妖精に、溢れんばかりのパゥワーで右ストレートをかましたい衝動に駆られつつ、色々な衝動を抑えて床に寝転ぶ。
「固い」
木の床はとても固く、これならば砂浜のほうが寝やすい。とはいえ、もう三日目なので慣れてきた。
それはいいとして、問題なのは白露達だ。
急に笑ったり、静かになったりしてどうにも寝づらい。女子の会話を聞くのはタブーだと思っているが、この至近距離で会話していて、内容が入ってこないわけがない。
「そういえば白露って、提督の前にも提督がいたんでしょ?」
「そうだよ。θ中将の艦隊だけど、あまり戦ったことなかったなぁ」
「中将ですか。では、戦艦の指揮を執られていたのでしょうか」
「あー、いや、よく駆逐艦を秘書艦にしてたし、どうだろ?」
「珍しいね。水雷戦隊を中将が使うなんて」
水雷戦隊ってなんだよ。駆逐艦を使っていれば水雷戦隊なのだろうか。
であれば、βもα中尉も使っていたので、珍しいこともないと思う。
「その、θ中将は仲良くしている方は、いらっしゃらなかったのでしょうか」
別にθ中将に会うわけでもあるまいし、それを聞いてどうすると言うんだ。
「あー、η少将はよく関わってるけど、仲が悪そうだったよ。ζ大将はもう亡くなっちゃったけど、仲は良さそうだった」
「大将? それは凄いねー。どんな人なの?」
「何か、武神?とか呼ばれてたよ。深海棲艦と戦った人なんだって」
「人間が? どんな人なの、その人。深海棲艦と比肩できるだけで、相当強いでしょ」
凄いな。少なくとも俺は深海棲艦に立ち向かう気にはなれない。
そう思いながら、瞼も重くなってきたので、俺は眠りについたのだった。