補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

138 / 254
日常の朝焼け

 何となく目が覚めてきたので起きると、もう白露たちの姿は消えていた。

 因みに、窓枠は日が昇る方向と逆側にあるので、家の中は割と暗い。

 

 ドアを開けて外に出てみると、ちょうど朝日が顔を出したぐらいの頃合いだった。普通の朝だなぁ、と伸びをして砂浜の方を見てみれば、そこには丁度、戦闘から帰ってきたであろう少し怪我をしている3人の姿が見えた。

 

 遠くなので声が聞こえないが、ヤバい、見られた!だから、一言声をかけて行きましょうと…。み、みんな落ち着いて。大丈夫、話せば分かる。…みたいなことを言っている気がする。

 

『超能力者かい?』

 

「いや、それ、妖精は分かっていると言ってるようなもんだぞ」

 

 どうやら、青妖精にはそう言っていることが分かるらしい。どういう手段を使っているのだろうか。

 そして、その3人が森の中に入っていくのを見て、そろそろ来るであろう、とあたりを付ける。

 

「いっちばーん!じゃなかった。提督、これはね、別に出撃したわけじゃないんだよ」

 

 なるほど、出撃したのか。だから、怪我を負っているのか。

 

「そうそう、私達は別に黙ってしようとしたわけじゃないよ」

 

 なるほど、黙って何かをしたのか。

 

「姉さんの言うとおりです。駆逐ハ級と戦ったことなどありません」

 

 なるほど、駆逐ハ級と戦ったのか。神通が一番情報量が多いな。

 まぁ、でも、服が破けているだけだし、今回は自白もあるし、咎める必要もないだろう。

 

「そうか。家で姿が見えないから、少し心配した」

 

「…罪悪感ガガガ」

 

 川内は胸に手を当てて、苦しそうに悶ている。中々に演技派だ。

 

「え、怒ってないの?」

 

「オコじゃないよ?」

 

 白露が変な質問をする。なんだろうか、別に怒ることはないと思う。

 

「提督、今、すっごい怖い顔してる」

 

「…あぁ、太陽が眩しいんだよ」

 

 今まで暗いところにいたため、陽に目を細めていたら、それが怒っているように見えたらしい。

 

「つまり、怒られるようなことをやったと?」

 

 怒っているように見える、ということは、何かしら怒られるようなことをした自覚がある、ということに繋がる。まぁ、そうとも限らない場合もあるのだが。

 

「うぇ、い、いや、別に、そんなことないよ」

 

「そうか」

 

 この焦り具合は隠している気がするが、死なない程度であれば問題ない。

 

 ぐぐっと体を伸ばし、寝起きの硬い体を少し柔らかくする。

 

「よし、じゃあ、二階を作り始めるか」

 

「あ、そのことなんだけどさ。提督は参加しなくていいよ」

 

「…え?」

 

「だって、二階に登れないでしょ」

 

 二階、ということは一階の上である。一階の上を見ると、自分の身長に跳躍と腕の長さを足しても上がれないことがわかる。

 

「マジ?」

 

「うん。だからさ、白露とお勉強ってことで、よっろしくぅ」

 

 そう言って川内は、現時点での屋根に登る。縮地だよの応用だと、言っている。お主、忍びの者か。

 

「お勉強って何すんの?」

 

「さぁ?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。