補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

14 / 254
少尉抜錨す!

「は?俺も海を行くのか?」

 

『そうそう、提督ならそれぐらいの気概を見せてよ』

 

そもそも提督にされただけで、兵術も何も知らないのだが…。それはさておき、海の上に浮くことが可能なのだろうか。

 

おそらく船の魂があることが艦娘が海を滑ることのできる理由だと思っている。普通の人間には到底できる芸当ではない。

 

しかも白露は結構速く動いている。波の上であの速度を出せるほど、この体の体幹は強くはない。根性論でどうにかできるわけではないぐらい、妖精だったら分かっているはずだ。

 

『普通の人だったら私もこんなことは言わない。でも、提督は白露さんの体を持っている。つまり、艤装は物理的に使えるということ』

 

そう言っていると騒がしい音が聞こえる。

 

『よいしょよいしょ』『えっこらひっこら』『お、おらにげんき、わけてくれぇ』

 

運ばれてきたのはライトアップされた白露の艤装である。しかし、連装砲や魚雷はついておらず、背負うものと足のものだけである。

 

『勝手に建造して、あとは白露さんの魂を呼び出すだけなんだけど、即戦力にはならない。そういう意味だと改造できる状態のほうが、戦力として優秀だと思う』

 

つまり妖精の言い分はこうだ、生まれたての白露を死地に送るより、武器を捨て軽量化した速い駆逐艦のほうが遥かに優秀だろう。

 

「いやいや、ちょっと待て。俺は人間であいつは艦娘だ。艤装をつければ強く固くなる艦娘と違って、人間にそんなことは起きない」

 

『だから、武器がない』

 

「じゃあ攻撃できないし、戦力になってないんじゃ」

 

『今は夜だから、撹乱するだけでも十分効果がある。それに海上では、妖精が扶けるからちゃんと走れるはず』

 

ええ、俺にあんな化け物じみたことをやれっていうのかよ。

 

『ああ、もう!そういう自己中の人間がいることが私は気に食わない。わざわざ逃げたのに、ここすら人間の手の内だっていうの?!』

 

『たいちょうがおこってるー』『あすはやりがふるー』『ざ·わーるど』

 

妖精に怒られた。逃げてきたってどういうことだ?自己中ってそんなに自己中だっただろうか。解らない。

 

『そんな人間、全員いなくなってっ!みんなっ人間に艤装をつけて、白露さんを助けて』

 

解らない。なぜ、艦娘を艦娘として、化け物として、怒られなければならないのか。解らない。なぜ、艦娘を助けるのか、奴らは兵士だろう。解らない。

 

『ばつびょう』『しゅつげき』『さあ、おれをたのしませてくれ』

 

解らない解らない解らない解らない解らない解らない。

 

波に揺られ、冷たい風にあたり、何も見えない暗闇を妖精たちは見えているかのように進んでいく。俺が操作しないから楽に操作できるのだろうか。

 

頭をよぎる思考はすぐさま消え失せ、別の悩みに塗り変わる。

 

解らない。




簡易関係図
            提督
       化け物↙    ↘頼れる
          
 護る対象↗       人間は総じて嫌い↖
   白露→まとめ役で頼りになる    妖精
      艦娘さんだから無条件の救済←
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。