提督となって数カ月が過ぎた。
感想を一言で述べるのだとしたら、因果応報と言う。
いい意味で言えば迅速、普通に言えば無茶ぶり。そんな人事整理のために、自衛隊と海軍本部は毎日書類に追われることになった。らしい。
噂によると、羅針盤が使い物にならなかったり、防衛省から海軍への引き渡しの際にミスを連発し、所属の分からない人物が出て、全体的に管理し直すことになったり、と色々だ。
けれども、その仕事は後方の担当であり、前方にいる我々には関係のないことだ。むしろ、日々増える艦娘や新発見の艦娘のデータ、戦果報告、妖精さんの存在、深海棲艦の区別、装備の種類etc...。を纏めている方が辛いのではなかろうか。
「てーいとくぅ、那珂ちゃんはダンスの練習をしないといけないんですけどー」
「俺がヘラヘラ出来ないくらい大変な時期だ。いつまでとは言えないが、頑張ってくれ」
「那珂ちゃんだって、☆を飛ばせないんだよぉ。これじゃあヤな雰囲気が続くじゃん。裏方の仕事は提督がやって、那珂ちゃんはみんなを盛り上げなくちゃいけないのですっ」
全員をローテーションさせていて、一人でも欠けたら崩れる不安定なところに、歌って踊っているだけの艦娘がいたら皆はどう思うだろうか。きっと、羨ましがったり、恨んだりするだろう。
今の状況は、皆が頑張っているから、自分も頑張ないといけない、という雰囲気を作り出しているに過ぎない。だからこそ、所謂裏方が士気を保つうえで重要なのだ。
「…ふむ」
けれども、那珂の案も捨てたものではない。
アイドルの日本語訳は偶像である。日本において偶像は崇拝するものだ。故に、アイドルを作るのは、究極的には宗教的な心の支えを作る可能性がある。
そこまで大げさにしなくても、明日も頑張ろう、と思えれば十分だ。
「那珂。戦闘に出るなら、場所を確保してやってもいい」
「場所って…もしかして!」
「あぁ。アイドルデビューだね」
「うん!やる!いえ、やらせてください!」
さて、では秘書艦をどうしようか。…そういえば、今日はノルマの建造をしていなかった。よし。
「では、那珂ちゃん。弾薬以外を400、弾薬は最低値で建造してきてくれ」
「あいあいさー☆」
那珂はキラキラとした光を振り撒きながら工廠に向かった。
この建造というものは、小型艦と大型艦の間で格段に資源の消費量が違う。けれども、限定できるのは駆逐艦と軽巡、潜水艦しか建造されないか、それも含め大型艦を建造できるかの違いである。
そして、そのボーダーラインが400付近にあると思われるが、弾薬は戦闘時に多く消費するので建造では最低値だ。
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「新しい子、入ったよぉ☆楽しみだね〜」
建造が終わったらしく、妖精さんが那珂に伝えたようだ。俺には見えないため、不思議なものだ。
すると、木製のドアがノックされた。
「どうぞ〜☆」
「航空母艦、赤城です。空母機動部隊を編成するなら、私にお任せくださいませ」
「η大佐だ。よろしく。早速で悪いが、君には秘書艦を受け継いでもらう。最初は那珂に教えてもらうといい」
「はい、よろしくお願いしますね、那珂さん」
「うん、じゃあ、早速やろーかー」
「え、あ、は、はい」