補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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赤城が沈む少し前の話。赤城視点です。


対立空母水鬼

「第二次攻撃隊、発艦始め!」

 

 赤色海域も終盤となり、残るは空母水鬼のみである。

 第二次攻撃隊は戦艦棲鬼を沈め、私は着艦した艦載機を整備するよう妖精さんに頼んだ。

 

 もうすぐ夜なので、夜も動ける駆逐艦と雷巡を優先して守るのがいいだろう。攻撃できない空母は盾代わりになるのが丁度いい。

 

「ヒッ――」

 

 空母水鬼の最後の足掻きが、目の前にいる雪風に襲いかかる。これならば、届く。

 

「雪風さん、伏せて!」

 

 被害は小破から大破へと変わる。けれども、夜戦の火力を残せたことを考えれば、全体の被害にはならない。

 

「やらせないクマーッッ」

 

「駆逐艦に手を出すとか、見過ごせないよね」

 

 球磨型の姉妹は、軽巡にしては高威力な砲撃と、軽巡にやや劣る砲撃を放つが、それでも装甲の厚い空母水鬼にダメージは見られない。

 

「オウッ、左舷に新たな敵艦を発見!」

 

「フハハ!…カエレハ、シナイヨッ!」

 

 敵艦隊は重巡級3隻と軽巡1隻、駆逐2隻である。それに対しこちらは、北上と加賀と私を除き中破、北上と加賀は小破、私は大破。夜戦までにあと一回、攻撃できるのは加賀のみである。

 大破の私はこのままでは沈んでしまう。考えうる限り、私が助かる道はない。

 

 ならば、私は意味ある死を選ぶ。

 

 思ったが早いか、幸いにも航行可能な足で空母水鬼に近づき、空母水鬼の動きを封じる。

 

「加賀さん、今しかありません!」

 

「それじゃあ、赤城さんが…」

 

 あのミッドウェーでの失態。その失態と同じ失態は犯さない。

 加賀なら私が空母水鬼を抑えなくても撃沈できるかもしれない。けれども、確証はない。もし、撃沈できなければ、その信頼は慢心へと変わる。

 

 だから、最善手を尽くし、今の私のような――新たな敵艦を予想しなかったという失態を、加賀に背負わせてはならない。

 

「はやく!」

 

「――っ!」

 

「チッ、ジャマダ…!ドケッ」

 

 加賀の爆撃隊が発艦し、高高度からの急降下爆撃をする。ボロボロの体をさらに燃やし、遂に足に力が入らなくなる。

 

 空母水鬼とともに海の中へと沈んでいき、深海棲艦の肌と同じ温度に包まれる。

 そういえば、風の噂で深海棲艦の肌は海のようだと聞いていたが、あれは本当だったようだ。その報告書を出した鎮守府は、私と同じような轟沈艦を出したのだろうか。

 

 あぁ、η提督に挨拶ができなかったなぁ。

 私が艦娘となって、とても愛しいと想った人。私の死を嘆いてくれるだろうか。

 

「イイダロウ…。ススムガ…いいわ」

 

 空母水鬼が沈んでいくのを見届け、私も意識を闇の中に沈ませた。

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