理性が飛びそうになるほどの負の感情に抗い、常に落ち着いて物事をする癖がついて約2年。私――赤城は空母水鬼になっていた。
私としては、まだ、赤城としての感情や思考は残っていると思う。だが、艦娘としての、と言われると答え難い。認めたくないが、私は深海棲艦として生きているのだ。
「ススミタイノ…カ…」
今回の深海棲艦側からの中規模作戦では、私が一つの要となっている。
主力艦隊の強化を行っているこの場所は、この作戦において重要である。故に私は艦娘を倒さねばならないのだ。
「艦載機の皆さん、用意はいい?」
私と同じη鎮守府の赤城は合図とともに艦載機を飛ばす。私も負けじと発艦するが、ギリギリで制空権を奪取された。チ、イマイマシイ、カンムスドモメ!
……危ない。まずは、雷巡を狙うことにしよう。その次に駆逐艦である。
心を落ち着かせていると、扶桑型姉妹の砲撃が被弾し、多少のダメージを負う。私は、続いて砲撃しようとしている北上に向かい、戦艦棲姫に主砲を構えるよう指示を出す。
「ヤラセハ…シナイヨッ!」
戦艦棲姫の砲撃は北上に刺さり、大爆発を起こす。やはり、魚雷を積んでいると、燃えるのが速い。
「まぁ、なんて言うの?こんなこともあるよね…早く修理したーい」
中破して尚、砲撃をしようとする手は下ろさず、私に主砲を向けている。
北上が撃ったのと同時に、戦艦棲姫は私の前に立ち塞がり庇った。
「あーあ、外したかぁ」
「ソウイウコトサッ…!テェ!」
北上に向かって攻撃を放ち、大破させる。
すると、いつの間にか赤城が戦爆連合CIを飛ばしていて、直掩機は落とされダメージを負った。
ワタシノ、ワタシノ、ツギノ、赤城ノクセニ…!
恨めしく赤城を睨んでみると、そこには、指に煌めくものを持っていることが分かる。
あれは風の噂で聞いたことがある。確か、男女間で結ぶという誓いの象徴。それをつけているということは、あの赤城はη提督とケッコンをしたということだ。
ワタシガ、モラウハズダッタノニ…ナゼ、アトカラキタカンムスナンカニ…!
「シズメェ!シズンデシマエ!!」
「沈むのはあなたです、空母水鬼。η提督の望み通り、前回の私を沈めた仇は取らせていただきます」
ワタシノ愛シノヒトノナヲ、ヨブナァ!
バクゲキキ、ハッカンセヨ!モクヒョウ、赤城!
「第二次攻撃隊、全機発艦!」
………マタ、シズムノカ。アノ海ノソコニ。
私の体で燻っていた怨みや憎しみは、水深が深くなるとともに消えていき、かろうじて生きていた私は完全に絶命した。
不幸があれば、幸福もある。赤城が不幸でも、η提督は幸福である。
追記、ツイッターの方でこの作品について、投稿時間の変更だとか、投稿中断だとかを言うときがあります。