久方ぶりに爽快な睡眠ができ、気分の良いままに起き上がる。床で寝るのもなれてきたかもしれない。
周りを見渡せば未だに白露達は帰っていないことが分かる。若干意味が異なるが、言葉通りに捉えれば朝帰りというものだ。うん、違うか。
ドアを開けて外に出てみれば、島から少し離れたところで白露と神通がドンパチやっている。徹夜だろうか。
俺は暇なので、ラジオな体操の曲を脳内で再生しながら、白露と神通がどう動いているのかを観察する。
白露が神通の水柱を左右に避けて撃ち返し、神通は一発撃ってから避ける。神通の弾は白露に当たり、白露は神通がいるだろう方向の反対側に大きく弧を描くように回りつつ、魚雷を投射する。けれども、そこには神通はおらず、白露の向かう先にいた神通は魚雷を神通に当てる。
そこで二人の動きは止まり、川内が間に割って入った。
俺がラジオな体操第二に曲が変わるぐらいに川内はこちらに気づいたようで、こちらの方を指差している。おそらく、そろそろ帰ってくるのだろう。
そう思ってラジオな体操第二をし終わると、丁度白露達は帰ってきた。
「おはー。いやぁ、眠いねー」
「あいにく、俺は快眠できた」
後ろの二人より元気そうな川内と挨拶を交わす。
「そうだ。提督から見て、神通と白露はどうだった?」
どう…とは?具体的に何を聞いてるのだろうか。
まず、単純に考えて、白露と神通は海で戦っていた。俺は戦闘について知識がないので、戦闘の良し悪しは聞いていないだろう。
そうなると戦っている理由――例えば、白露と神通の仲がどうだったのかを聞いているのだろうか。
そういう話であれば、戦う理由はただ一つである。自分の思想をぶつけ合っているのだ。勝者こそがより優れた思想であるとなる。
つまり、この回答は仲が悪い、ということになる。
そう答えると川内は、こう言った。
「え?神通達って仲悪いの?知らなかったなぁ」
「いえ、仲は悪くありません。むしろ、教える相手が一人な為に、多少訓練の質を上げてもついてきているので、私は好ましく思っております」
うわっ、鬼畜だ。なるほど、鬼だな。どれくらい訓練がキツイのか知らないけど。
というか、神通は若干Sが入ってるかもしれない。教鞭と眼鏡でもかけてみればいいのではなかろうか。
「だあぁぁあぁあ!」
「うるさい、白露うるさい」
「今日は食べるよ!提督、魚釣るよ!」
「お、おう」
ヤケ食いか?急に叫んだと思ったら、釣り竿モドキを持ってズカズカと海辺まで行き、海の上に浮かぶ。
「妖精達の恐怖、再演」
『恐ろしいことを言わないでほしいね』