補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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わがままな妹

 川内達がいなくなってから、神通が沈黙を頑なに守り通して、随分と時間が経った。

 その間、俺は、どうにか神通と話せないものかと考えていた。

 

 まず、この戦いには神通の存在は欠かせない。だから、川内と神通が喧嘩するなどとは考えられなかった。俺は、川内のことだからそれくらい判っている、と高を括っていたのだ。

 おそらく、艦娘を一人も欠かせられないのは川内も判っている。けれども、怒りが理性を上回り、神通に手を上げたのだと推測する。

 

 そこで、俺は何をすべきだろうか。答えはいたって簡単だ。提督らしくするだけだ。

 

 俺は、提督が艦娘の様に戦えず、管理しかしないという無能なのに、艦娘が提督を必要とする理由として一つ案を考えた。

 それは、コンディションを整えることだ。艦娘を完璧な状態で戦わせ、悔やむことなく深海棲艦と戦わせる。それこそが提督のやるべきことだ。

 

 そして、今の状況。神通のコンディションは最悪だ。素人でも分かる。

 喧嘩相手との連携は上手くいくはずもない。そんなことは一般人にでも分かる。

 

 この2つが導くものは、俺が神通を奮い立たせ、川内に負い目を感じさせないように戦いに参加させること、になる。

 

「神通が川内とどんな会話をしてたかは知らないけど、今は神通が必要だ。戦ってくれないか?」

 

 そのためには、まず神通とコミュニケーションを取らなければいけない。

 じゃあ、どうするかというと、拗ねている子どもには「君は必要だ」とか「君は正しい」とか言えば何とかなる。…一桁歳までは。

 

「…」

 

 まぁ、無反応だよなぁ。流石に一筋縄ではいかない。

 ならば、ちょっとカマをかけてみよう。

 

「そういえば、イ○ス·キリストさんがお亡くなりになられたのは、生きる罪を無くす為だったらしい」

 

 まぁ、後から付けられたものらしいが…そんなことはどうでもいい。

 

 今、俺が話しているのは、この場において超がつく程どうでもいい事だ。

 

「つまり、最大の罪である、生と死のうち生をなくして死がトップになったわけだな。だから、死ぬのは駄目ならしい。…どうでもいいけど」

 

 俺が弟に話を聞いてもらうときに確立した話術。それが今やっていることだ。

 

 面倒くさい話をすれば、相手は興味をなくす。というより、反抗の意思を失う。反抗すれば、より面倒くさいと分かるからだ。

 反抗の意思がなくなれば、俺がここにいても暴力が飛んでくることはない。まぁ、どこまでそれを続けるかの線引きは難しいところではあるのだが。




イ○ス・キリスト?誰でしょうね
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