補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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川内視点です。


風に弄ばれる

 2分、2分だ。2分なら弱い私でも、このヌ級を止めることができるかもしれない。

 

 私はおそらく、他の川内よりも弱い。性能的にではなく、艦娘的に。

 私はだいぶ頭が良いと自負している。だから、頭がいいが故に、提督の命令にも疑ってかかるし、全体の行動として正しい選択をしたくなる。

 そのため、考えが行動の先にくるため、艦娘的に弱いのだ。

 

 弱さは戦場において必要ないものの一つだ。

 私は艦娘的に弱いせいで、性能を十全に発揮できていない。α中尉の指揮下でも駆逐艦を一体も沈めてないし、夜とはいえ潜水艦の魚雷に真っ先に当たった。

 

 白露はそのことを知っていたのだろう。さっきまで私を守るように戦い、私を庇って大破した。提督ならきっと、足手まといだ、と言って切り捨てていただろう。

 

「肉薄するッ!!」

 

 敵艦隊の編成は、軽空1、軽巡2、駆逐艦1。軽巡1と駆逐艦1は白露が沈めた。そして、私は白露のアシストによって軽巡1を中破にしている。

 そして私は中破。カスダメでも大破になる。けれど、2分ぐらいなら残りの命を削いでも何とかなる。

 

 私は距離をとっているヌ級に近づき、発艦されないようにほぼ密着する。

 普通なら、この距離まで近づければ、格納庫に弾をねじこみ、爆発すればいいのだが、私には主砲がないため攻撃もできない。

 

 むしろ、攻撃より回避のほうが重要だ。

 ヌ級だって近づかれば負けると分かっているだろうから、どうしても距離は取りたいはず。

 だから、ヌ級の動きに付いていきつつ、軽巡の砲雷撃をも避けなければならない。

 

《…おーい、川内、聞こえるか?》

 

 やはり2分は早い。提督がこちらに連絡を入れたということは、逃げるのが終わったということだ。

 もう、提督は安全圏にいる。なら、私の仕事もこれまでだ。楽しい夜の時間が短いように、夜に生きる私の生は短い。

 

《聞こえてるか?》

 

《何?辞世の句でも聞きたいの?》

 

《どこのニンジャだよ…。じゃなくて、ちょっとカッコつけにきた》

 

……は?格好つけにきた、ということは、近くにでもいるのだろうか。私達が命を賭して機会を作ったのに、どうして…。

 

《なぁ、川内。海の天気は変わりやすいって知ってるか?》

 

《――そんなことより!逃げなよ!…神通!神通がそこにいるでしょ!提督連れて逃げて!》

 

《まぁ、そう叫ぶな川内。今日は祭りだ。妖精にとってな》

 

 何を言っているんだ。今日こんなにも天気が悪く、雨粒がポツポツと………え?

 

《祭りの参加者1名追加、川内ッ!第三次妖精台風――開催!》

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