補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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提督視点です。


海上の陸上戦

 うむ、カッコつけも終わり、新しい黒歴史の誕生に悶えていると、不意に森の中に黒い陰を見つけた。

 その陰を見た瞬間、行き場のない憎悪やら嫌悪やらに心を奪われかける。この感覚は深海棲艦を見たときに、共通してやってくるものだ。よって。

 

「かかってこいよォ!深海の駆逐艦!」

 

 俺は高々と宣誓し、気持ち悪い音ともに短い脚で突進してくる駆逐艦から逃げる。

 よく見れば、その駆逐艦の体は黄色に靄にかかっており、所々壊れている。

 

「妖精、あの駆逐は何だっ」

 

『あれは、駆逐ロ級flagship。ロ級の中でも上位種だね』

 

 ロ級は確か、叢雲がいたときに戦っていた弱い深海棲艦だ。あの時の白露でも一撃で轟沈。それの上位種と言えど、大して強くないだろう。

 

「妖精。何か手はないか」

 

『強く無いとか言っておいて、頼るのかい…。まあ、そうだね…あの人間にやったやつが残っていたと思う』

 

 あの人間?

 

『β?だったかな。大佐だよ。あの太ったの』

 

 ああ、思い出した。あの階級剥奪された人か。

 そういえば、結構服がぼろぼろだったり、青妖精を怖がっていたりしてたなぁ。

 

『怖がっているとは心外だね。艦娘さんっていうものを教えてあげただけさ』

 

 おお、怖っ。

 けれど、あれだけ傷ついているなら、それなりのダメージを期待したい。

 

『まぁ、他の仲間がいないから無理だけどね。今、飛んでるし』

 

 おいこの、欠陥!唯一の攻撃がなくなったではないか。

 そもそも、あの深海棲艦を海に出しては負け確、陸の上ならパワー負けという状況で、どう相手取れば良いのだ。

 

 俺は浜辺にいるので、駆逐ロ級も海には近くなる。そうすると、ロ級は海に行こうとするので、俺はそれを止めなければならない。

 

 考えろ、俺。

 今は雨が降っている。むしろ台風並だ。そして、戦えそうなのは俺と青妖精、年増妖精。これじゃあ、勝てない。俺は神通に言ったように、この状況でまだ捉えきれてないものを考えるんだ。

 台風、妖精、砲撃……違う、もっと大きく考えろ。

 

 台風はあらゆる側面を持っている。しかし、その全てに共通するのは、災害だということ。

 そう、どんなに優れた耐久性を誇っても、自然災害によって被害が出る。人工物とは、そんなものだ。人では自然には勝てない。

 

 いや、最もらしく考えても、そんな情報は使えない。

 他のことを思い出さなければ、考えなければ、この状況は打開出来ない。

 式で考えれば、自然>俺>ロ級であれば勝てる。最悪、自然>ロ級であれば、何とかなる。

 

「……そうか!」

 

 人では自然に敵わない。つまり、人が一回でも勝てば、それは自然未満である。

 そして、二日前の夜、白露が語った武神。彼は人だ。人が深海棲艦に勝っている。

 

 つまり、俺に武神並の力があれば……って、そんなものあるか!あるわけ無いだろ、バカか俺。

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