補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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憎しみ合う敵

 どうするか、と考えていると、ロ級は再びこちらを見た。

 

「グギャ、ギャギャッ」

 

 異様な声を上げながら、またもや俺に向かい突進してくる。

 力は圧倒的に負けているだろうけれども、速度は遅く、小学校低学年並みなので、避けることは容易い。容易いが、当たったら内蔵とか外傷とかがヤバそうなので、避けることに全精力を注ぐ。

 

「チッ、思考が纏まんねぇ」

 

 断続的に襲ってくるからというのもあるが、深海棲艦に対する恐怖やら憎悪というのもその一つである。

 そういう短気になりそうなものを押し込めて考え事をするのは、酷く不愉快だ。

 

『ぺしっ』

 

 そんな声とともに頭の上で蚊に刺された感覚――否、青妖精に叩かれた感覚があった。

 

『よく見るんでしょ、提督』

 

 はぁ?(怒)

 よく見てる。けど、分からない。考えてるから、邪魔しないでほしい。

 

『どうどう。冷静になりなよ』

 

 冷静だし。……いや、冷静じゃないな。うん。普通にキレてた。

 違う違う、よく考えろ。疑ってかかるわけではなく、捉え方を変えるんだ。最も単純化するのだ。

 

 今の状況を単純に言うと、ロ級がこちらの方向に移動した、となる。

 そう、海の方向ではなく、こちらの方向だ。俺の後ろに何かあるのかもしれないし、この位置に移動したかっただけかも知れない。

 

 要するに、海の方に行く気はないということだ。ということは、俺は海に行かないように立ち回る必要はない。

 

「…つーことは…!」

 

 つまり、俺は攻撃法だけ考えればいいのだ。そして、攻撃法は現状、年増妖精に任せるしかない。よって導き出されるのは、青妖精に家に行ってもらい12cmたんそー砲と、年増妖精を連れてきてもらうことだ。

 もし、俺が行って家を破壊されたら、たまったものじゃない。

 

「って、家、壊れてるーッ!?」

 

 一階はまだしも、二階が崩れて壁が宙に浮いている。これなら、もう家が壊れる壊れないは関係ないだろう。俺が家に向かった方が速いので、森の中に入り家に向かう。

 

「ギャギャッ」

 

 俺が木を避けつつ走っていると、後ろから木々をなぎ倒してロ級が迫ってくる。ちょ、ヤベーて、あれ当たったら、まじ死ねる。死ぬの確実ぅ、である。

 

『何が始まるんです?』

 

「言ってる場合か!」

 

 危うく、第三次大戦だ、と言いかけた。この島にはまだ4人しかいないため、皆殺しにしても絶望感がないだろう。当の本人たちは、絶望だらけだが。

 

『絶望してるの?』

 

「そんな言葉を使うほどではないにせよ、ベクトル的にはそんなもんだ」

 

 そう、大して絶望的状況ではないと思っている。ゾンビ映画のような怖さはあれど、デデドンって急に現れなければ何とかなる。

 

 そう思って森を抜け、開けた丘に出てみると一人の人影が、雨の中でも燃える半壊の家の前に立っていた。

 それは10日前に初対面し、深海棲艦という恐怖を最初に俺に叩き込んだ悪魔――重巡ネ級。しかもご丁寧に、flagshipのオーラまで持っている。




第三次妖精台風は大惨事大戦(違)を言いたいがための布石。今回の艦隊が軽空1軽巡2駆逐1の4隻編成なのも、ロ級flagshipとネ級flagshipを入れるための布石。
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