絶望の時間だ。そう宣言し、一斉に空へと放った鳥は次々と堕ちていく。
「ナ、ナンダ!」
「いや、台風の中で艦載機を飛ばせるものか」
俺もつい最近知ったが、艦載機は台風の中で飛ばせないらしい。それを知らないとなると、艦載機を持ったのが最近なのかもしれない。
けれども、そういう大事なところは注意するのではなかろうか。となると、生まれたてだから理解できなかったのだろうか。
「チッ、マァイイ。ヨキョウガナクナッタダケノハナシ。メインディッシュガ、ハヤマッタダケダカラナァ」
角っぽいのや歯っぽいので顔が隠されているため片目しか見えないが、それでも狂気を醸し出す笑いに顔を歪めた。
「余興は食事中に見せたり食事前の準備期間に聴かせたりするものだ。決してメインディッシュと関わりはない。ついでにいうと――」
「ドン!」(ダマレ!!!!!!)
理不尽じゃないか?黙○ドン太郎に謝……らなくてもいいや。
というか、この深海棲艦。日本語を使っているだけあって、日本文化にどっぷりのようだ。
『誰だい、黙○ドン太郎って』
「ある漫画の……やっぱり、太鼓叩いてるやつでいいや。ドンとカッでビートを刻む凄い人……太鼓だ」
まぁ、あまり説明する気もないしこれでいいだろう。
取り敢えず、ネ級はキモい鳥を尻尾と腕によって集めまわり、こちらに近づいてきた。
『嘘なんだ。…それはいいとして、ムードを壊しすぎじゃないかい?』
「いいんだよ、こんなもんで。俺はな」
「サテ、シラツユ。ワタシタチヤカンムスハ、リクデハウミホドハヤクウゴケナイ。ケド、ソレハカンキョウノデバフ。ダカラ、ステータスニハカンケイナイ――ンダヨッ!!」(訳:さて、白露。ワタシ達や艦娘は、陸では海ほど速く動けない。けど、それは環境のデバフ。だから、ステータスには関係ない)
相手の腕の射程内に入った瞬間、右腕を大きく振りかぶり、圧倒的なパワーで振り抜く。
身長が俺より高いため、俺に反撃の機会はない。だが、どんなにステータスが高くても、生物にとって――理性を持つ者にとって越えられない一線は、例え深海棲艦であっても越えられない。
台風は34ノット以上の風だ。そして、白露の速度は大体26ノットだと言う。これがどういうことか分かるだろうか。
『ていとくに、てをだすんじゃないのよ!』
「タワバッ!」
「ナイス、年増妖精!」
(運動エネルギー+風の加速)×質量による12.7cmたんそー砲の力は、他のいろいろな要素で軽減されても、十分な威力を発揮する。
いや、本当はね、俺の真上で12.7cmたんそー砲を落としてもらい、カッコよくキャッチしてロ級を倒す予定だったんだけど、急遽予定変更してネ級の頭に落として貰うことにした。
ただ、残念なことに落下物は肩に当たってしまい、致命傷ではなかった。見た目だけだけど。
「ガッ、アァァアァ!」
右肩を抑えて膝を付き、地面に向かって慟哭する。おそらく骨は折れてるだろう。骨があるのか知らないけど。