「はぁ、なんかくっそ疲れた」
小島についた俺と白露は艤装を外し、砂浜に座る。空は少し明るみを帯びてきて、そろそろ朝が来ることが感じられる。
まじか、俺徹夜して戦ったのか。昔の俺に感嘆と疲労を感じつつ、その朝日を眺める。徹夜明けには眩しすぎる光だ。
「私達艦娘がさ、やっぱ嬉しいと思うのはこういう時なんだよね。暁が水平線を超えている頃に生きていれば、勝利なんだよ。日常も好きだけどさ」
逃げてきて勝利なのだろうか、生きていれば勝利とは価値観が違うことが感じられる。艦娘の方が、死と隣り合わせであることが物理的に感じることができるとか…?そういう理由で、生きるというものを実感しているのだろうか。
『提督、さっきの私は取り乱していて、あんなことを言ってしまった。死地に送るという、最悪のことをしてしまったことを、謝らせてほしい』
そう言っているのは、妖精らの中だと突出した語彙力を持ついつもの妖精だ。今思えば、ここまで流暢に日本語が使えている妖精はまだいない。
「別に妖精が白露を大事にしていることが分かっただけだ。そこに謝る必要はない、と思うが?それに多分妖精は昔になんかあったから、言ったんだろ?」
『うん…そう。実はね…』
そう言って語り始めようとする。俺も聞いておきたいのは確かだが、流石に徹夜で体を動かせば疲れる。白露が何ともなってないのには驚きだが、人間にはきつかったのだと思う。
「あー悪いな。流石に疲れたから寝ていいか?正直、目を瞑ったら絶対寝れるってぐらいヤバいから」
そう言ってブルーシートの方に行き、寝転がる。そして、青タヌキのところの早寝の5年生と張り合えるレベルで眠った。
――――――――――――
―――――――――
――――――
「なん、だ、ここは?」
多量のドラム缶が積んであるレンガづくりの倉庫を片目に、ちょこまかと動き回るのはたくさんの人形である。まるで生きているかのような機械的でない動きで、弾薬を運んでいたり、ボーキサイトを運んでいたりしている。
その奥には大小の艤装が並び、次々と人の身が現れる。同じ艦娘だとしても白露より小さいのもいれば大きいのもいる。
人になるとその倉庫に入ってきた女性が声をかけ、それについていくように倉庫をあとにする。
「とりあえずついていくか」
レンガづくりの一際大きい建物に入り、数多くあるドアの中で、高級そうなものの前で止まり先頭の女性がノックをする。
返事が返ってきたためドアを開け、艦娘全員で中にはいる。そこには紋章のたくさんついた白い軍服を着ている人がいて、艦娘らに書類を渡していた。
書類には特に情報はなく、AかBかCかを書かれたものだ。すぐに解散になり、艦娘らは文句を言っている。そこで、目の前は真っ黒になった。
画面が切り替わるように、Aの紙を持った艦娘が集まる場所になった。しかし、そこでの音は背中に寒気が走る金属音。カーンカーンカーンと一定のリズムで叩かれる。似たような人が並んでいたのは気のせいだろうか。
また切り替わり、次はBの紙を持った艦娘の行く場所である。そこでは何故か、6人で入ったのに一人しか出てこなかった。他の艦娘が入るときにはすでに中には誰もおらず、不気味な感じだ。
予想していた通り、Cの紙を持った艦娘である。そこは海の上で、いろんな艦娘が出入りしていて、そのうちの一人に乗ってみれば、人に似た形のした青白い何かがいる。
弓を引いたり、どでかい砲を撃っていたり、中破だったり大破だったり言っている。そして、泣きながら進み沈んでいった。
――――――――――――
―――――――――
――――――
「はぁッはぁッ。今のは…?」
太陽はちょうど真上にいて、白露と白露を囲う人形がたくさんいる。ちょっと待てまだ夢なのだろうか。