補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

17 / 254
三日目の朝日

「はぁ、なんかくっそ疲れた」

 

小島についた俺と白露は艤装を外し、砂浜に座る。空は少し明るみを帯びてきて、そろそろ朝が来ることが感じられる。

 

まじか、俺徹夜して戦ったのか。昔の俺に感嘆と疲労を感じつつ、その朝日を眺める。徹夜明けには眩しすぎる光だ。

 

「私達艦娘がさ、やっぱ嬉しいと思うのはこういう時なんだよね。暁が水平線を超えている頃に生きていれば、勝利なんだよ。日常も好きだけどさ」

 

逃げてきて勝利なのだろうか、生きていれば勝利とは価値観が違うことが感じられる。艦娘の方が、死と隣り合わせであることが物理的に感じることができるとか…?そういう理由で、生きるというものを実感しているのだろうか。

 

『提督、さっきの私は取り乱していて、あんなことを言ってしまった。死地に送るという、最悪のことをしてしまったことを、謝らせてほしい』

 

そう言っているのは、妖精らの中だと突出した語彙力を持ついつもの妖精だ。今思えば、ここまで流暢に日本語が使えている妖精はまだいない。

 

「別に妖精が白露を大事にしていることが分かっただけだ。そこに謝る必要はない、と思うが?それに多分妖精は昔になんかあったから、言ったんだろ?」

 

『うん…そう。実はね…』

 

そう言って語り始めようとする。俺も聞いておきたいのは確かだが、流石に徹夜で体を動かせば疲れる。白露が何ともなってないのには驚きだが、人間にはきつかったのだと思う。

 

「あー悪いな。流石に疲れたから寝ていいか?正直、目を瞑ったら絶対寝れるってぐらいヤバいから」

 

そう言ってブルーシートの方に行き、寝転がる。そして、青タヌキのところの早寝の5年生と張り合えるレベルで眠った。

 

――――――――――――

―――――――――

――――――

 

「なん、だ、ここは?」

 

多量のドラム缶が積んであるレンガづくりの倉庫を片目に、ちょこまかと動き回るのはたくさんの人形である。まるで生きているかのような機械的でない動きで、弾薬を運んでいたり、ボーキサイトを運んでいたりしている。

 

その奥には大小の艤装が並び、次々と人の身が現れる。同じ艦娘だとしても白露より小さいのもいれば大きいのもいる。

 

人になるとその倉庫に入ってきた女性が声をかけ、それについていくように倉庫をあとにする。

 

「とりあえずついていくか」

 

レンガづくりの一際大きい建物に入り、数多くあるドアの中で、高級そうなものの前で止まり先頭の女性がノックをする。

 

返事が返ってきたためドアを開け、艦娘全員で中にはいる。そこには紋章のたくさんついた白い軍服を着ている人がいて、艦娘らに書類を渡していた。

 

書類には特に情報はなく、AかBかCかを書かれたものだ。すぐに解散になり、艦娘らは文句を言っている。そこで、目の前は真っ黒になった。

 

画面が切り替わるように、Aの紙を持った艦娘が集まる場所になった。しかし、そこでの音は背中に寒気が走る金属音。カーンカーンカーンと一定のリズムで叩かれる。似たような人が並んでいたのは気のせいだろうか。

 

また切り替わり、次はBの紙を持った艦娘の行く場所である。そこでは何故か、6人で入ったのに一人しか出てこなかった。他の艦娘が入るときにはすでに中には誰もおらず、不気味な感じだ。

 

予想していた通り、Cの紙を持った艦娘である。そこは海の上で、いろんな艦娘が出入りしていて、そのうちの一人に乗ってみれば、人に似た形のした青白い何かがいる。

 

弓を引いたり、どでかい砲を撃っていたり、中破だったり大破だったり言っている。そして、泣きながら進み沈んでいった。

 

――――――――――――

―――――――――

――――――

 

「はぁッはぁッ。今のは…?」

 

太陽はちょうど真上にいて、白露と白露を囲う人形がたくさんいる。ちょっと待てまだ夢なのだろうか。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。