補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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家族の価値観

 まぁよし、経験は分かった。その上で結論を出すとするならば、朝潮は勘違いしていると言えるだろう。

 

「おけおけ、朝潮ちゃん。朝潮ちゃんは正しさは人それぞれと言ったね?」

 

「はい!」

 

「そこからして違うんだよ。まず、正しさとは一つに決まっているものなんだ」

 

「え」

 

 そう、正しさは一つに決まっている。それは全世界共通である。

 よく、私の国ではこれこれが正しい、正しさの奪い合いが戦争、などと言う者がいるが、それは違う。それは正しさではなく価値観だ。

 

 では、正しさとは何か。そんなものを俺が知るわけが無い。誰にも分からないからこそ、誰しもが違う正しさを持っていると錯覚するのだろう。

 これを懇願丁寧に朝潮に説明してやる。そうすると、朝潮は今にも泣き出しそうな顔をして、訴えかけてきた。

 

「では、司令官は……どんなに酷いことであっても、それは正しいと言うのですかっ…!」

 

「まぁ、酷いっていうのも価値観だしなぁ」

 

「それはっ、妹が人質に取られていても!同じことが言えますかっ!」

 

 人質?え?まじ?どういう状況?

 あー、そういえば、少し前にも朝潮が泣きじゃくっていたのは同じ理由だったりする?

 けど、他人様の事情に関わるのもなぁ……といつもなら思うが、今回に関しては少し関わり合いになるのも吝かではない。

 

「朝潮、ちょっと良く聞け」

 

 朝潮の両肩を握り、目線を合わせる。

 本来なら事案発生で敬遠する動作だが、今回に関してはそういうのも言ってられない。なんてったって、俺は少し怒っている。

 

「正しさは価値観だ。そこは変わらない。けど、朝潮、俺は個人的に朝潮が嫌いになった。所謂、価値観の押しつけだ」

 

 俺が嫌う行為である価値観の押しつけ。いやぁ、本当に気持ち悪い。吐き気すら湧いてくる。

 

「朝潮、お前、なんでここにいんだよ。妹は大切じゃないのか?」

 

「たい、せつ。大切だから、こうしてここにいるんじゃないですか!!」

 

「おいおい、ここにいて妹が助かるのか?んなわけないだろ?」

 

「いえ、δ司令官がこうすれば、解放していただけると……」

 

 なるほど、朝潮の妹を人質にしているのはδ少将か。

 

「じゃあ、朝潮は妹を他人に任せて、自分は一人でのうのうと生きているという、薄情な奴なんだな?」

 

「朝潮だって、朝潮だってぇ、頑張って助けようと」

 

「頑張るのは結構。俺が聞いているのは助けているかどうかだ。お前がどれだけ努力していようが、考えていようが、知ったことじゃない。妹を奪い取るぐらいの気概を見せろ。つーか、それぐらいやれ。大事な妹だろ?」

 

 おっと、泣き崩れてしまった。流石にやりすぎたか。結構、優し目に言ったつもりだったが…。

 

 いや、うん。今きっと、朝潮は、私頑張ってるって言いたいのに、頑張ってないのかな?みたいなことを考えているに違いない。こういうのを理不尽といいます。

 まぁ、あれだ。言いたいことは色々とあるが、結論を言うと、家族は大事にしろということだ。

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