アナウンスの後、開いているドアから身を乗り出して見てみれば、ぎりぎり見えるくらいに黒い粒が確認できた。きっとあれが日本なのだろう。
近づくにつれて規模も大きくなり、港のある大きな陸があった。
日本、だよな?日本の形は上から見た図でしか知らないし、港だけで国がわかるほど港について知っているわけではない。だから日本なのかは分からない。
とりあえず、窓とカーテンを全部閉め、適当な椅子に座る。
……暇。超暇だ。暇すぎて暇という漢字を頭の中で書くほど暇だ。因みに今は50個目である。
というか、朝潮、遅くない?もしかして帰ってこないのだろうか。
……ん?帰る……帰る?
――その時、俺の頭に電流が奔った……様に思える閃きが起きた!――
日本に帰る、つまり、あの小島から離れるということだ。それが指すところは、白露達と別れるということ。
しかしながら、あの小島で白露に殴られた後、白露達を見ていない。その理由は全くもって知らないが、些かおかしくないだろうか。
何故、あの島で白露の顔を見なかったのだろうか?
もし、仮説として、俺が殴られたあと、白露達が今の俺と同じように拘束されていたのだとしたら、あの島で会わなかったのも納得である。
この発想は突飛だろうか。いや、そんなことはない。朝潮の発言から、俺に誘拐まがいの事をしたのは計画性がある。何らかの目的で白露達を攫うのもあり得るだろう。
よって、δ少将が白露達を拘束している可能性がある。それこそ、朝潮の妹のように。
だったら、朝潮に協力するのも吝かではないだろうか。δ少将が何をしているかの情報だけでも知ることができれば、万々歳である。
とはいえ、例えそうだとしても、危険を犯す必要はないのも事実だ。
別に白露とは2週間ぐらいの付き合いで、神通であれば4日程度の付き合いだ。彼女らに何かが起きたとしても、俺は少し寝覚めが悪いだけだ。特に心配する必要もない。
……と、まぁ、妄想もこのぐらいにしておいて、近づいてくる足音に警戒をする。
先程のように疲れる会話はしたくないので、見知らぬ人なら逃げる必要がある。決して、コミュ障ではない。朝潮をちゃん付けで呼び、肩を掴んだり目を逸らしたりするキモいコミュ障ではない。
「少尉、ちょっといいかな」
ドアを開けて入ってきたのはδ少将だ。
「あ、はい」
「今、日本の占有している島に急遽経路を変えた。ここから別の船に乗って日本に向かうことになるのだが……そこで少尉に頼みたいことがある」
「はい、何でしょう」
「少尉にはその見た目を活かして、艦娘に擬態してほしいのだ。すまないね」
「いえいえ、別に……分かりました。やってみます」
つまり白露に似せろと?
アホっぽく騒いでれば何とかなるだろうか。あと一番って言うことも忘れてはいけない。