補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

191 / 254
帰国ヤッター

 アナウンスの後、開いているドアから身を乗り出して見てみれば、ぎりぎり見えるくらいに黒い粒が確認できた。きっとあれが日本なのだろう。

 近づくにつれて規模も大きくなり、港のある大きな陸があった。

 日本、だよな?日本の形は上から見た図でしか知らないし、港だけで国がわかるほど港について知っているわけではない。だから日本なのかは分からない。

 

 とりあえず、窓とカーテンを全部閉め、適当な椅子に座る。

 

……暇。超暇だ。暇すぎて暇という漢字を頭の中で書くほど暇だ。因みに今は50個目である。

 というか、朝潮、遅くない?もしかして帰ってこないのだろうか。

……ん?帰る……帰る?

 

――その時、俺の頭に電流が奔った……様に思える閃きが起きた!――

 

 日本に帰る、つまり、あの小島から離れるということだ。それが指すところは、白露達と別れるということ。

 

 しかしながら、あの小島で白露に殴られた後、白露達を見ていない。その理由は全くもって知らないが、些かおかしくないだろうか。

 何故、あの島で白露の顔を見なかったのだろうか?

 

 もし、仮説として、俺が殴られたあと、白露達が今の俺と同じように拘束されていたのだとしたら、あの島で会わなかったのも納得である。

 この発想は突飛だろうか。いや、そんなことはない。朝潮の発言から、俺に誘拐まがいの事をしたのは計画性がある。何らかの目的で白露達を攫うのもあり得るだろう。

 

 よって、δ少将が白露達を拘束している可能性がある。それこそ、朝潮の妹のように。

 だったら、朝潮に協力するのも吝かではないだろうか。δ少将が何をしているかの情報だけでも知ることができれば、万々歳である。

 

 とはいえ、例えそうだとしても、危険を犯す必要はないのも事実だ。

 別に白露とは2週間ぐらいの付き合いで、神通であれば4日程度の付き合いだ。彼女らに何かが起きたとしても、俺は少し寝覚めが悪いだけだ。特に心配する必要もない。

 

……と、まぁ、妄想もこのぐらいにしておいて、近づいてくる足音に警戒をする。

 先程のように疲れる会話はしたくないので、見知らぬ人なら逃げる必要がある。決して、コミュ障ではない。朝潮をちゃん付けで呼び、肩を掴んだり目を逸らしたりするキモいコミュ障ではない。

 

「少尉、ちょっといいかな」

 

 ドアを開けて入ってきたのはδ少将だ。

 

「あ、はい」

 

「今、日本の占有している島に急遽経路を変えた。ここから別の船に乗って日本に向かうことになるのだが……そこで少尉に頼みたいことがある」

 

「はい、何でしょう」

 

「少尉にはその見た目を活かして、艦娘に擬態してほしいのだ。すまないね」

 

「いえいえ、別に……分かりました。やってみます」

 

 つまり白露に似せろと?

 アホっぽく騒いでれば何とかなるだろうか。あと一番って言うことも忘れてはいけない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。