取り敢えず浴室から出て、更衣室にある物置台に何枚か積み重なっているタオルを手に取り、濡れている体を拭う。
いや、何というか、はい。本当に不健康な体だと思いました。けれど、別に2週間ほど食べてないだけだ。言うほどガリガリではない。
水をすべて拭き取って、タオルを使用済みタオル置き場に投げる。
ついでにその周りには、俺が着ているような黒シャツと黒パンツも散乱していたので、俺もそこに下着を置いた。まぁ、前に盗んだ……ゲフンゲフン、奪っ……拝借したものだからね、返さないとね。
そしてその下着が沢山ある場のそばには、自由!!と書かれた札とその下に綺麗に折り畳んで重なっている下着があった。
また、拝借させて頂きます。
「あ、少尉。さっきの話は乙女の秘密ですヨ」
「乙女じゃないし」
そう、俺は乙女じゃない。ブラジャーを着けていても、パンツがピッタリでないと違和感を覚えても、乙女ではないのだ。
「乙女ですヨ」
くっ、身体をどんなに変えたとしても、心まで変えられると思うなよ!そんな辱めを受けるぐらいならば死んだほうがマシだ。殺せ!
略して、くっ殺。
ま、冗談は程々にして、割と汚れてない提督服を羽織って更衣室を出る。もちろん、下着も履いている。
漣は海に落ちたゴミを回収するらしいので、俺はδ少将の言ってた部屋に向かうとする。
「……あ、そういえば、艦娘に擬態しなきゃ、いけなかったんだったか」
すっかり失念していた注意を思い出したが、今更な感じがするので擬態しないことにする。
そして、無事に船の突き当りの部屋まで着き、鍵のかかってないドアを開けて中に入る。
そこはベッドだけの狭い部屋で、ベッドは4つ確認できた。そのうち一つのベッドには見慣れた人影が二つあり、一人はこちらに気づくや否や驚いた顔を見せ、もう一人は知っていたかのように笑って見せた。
「キリサキと、α中、大尉か」
「え、白露提督もこの部屋?え、α提督は知ってた?」
「知ってたよ。僕が呼んだからね」
犯人は貴様か。
いや、まあ、知らない人よりかはいいんだけどね?しかし、4つのベッドがあって、この場には3人しかいないとなるともう1人は知らない人なのかもしれない。
「というか、そうなるとこれ、α提督のハーレムじゃん」
「確かに、α大尉のハーレムだな。チクショウ」
「残念ながら、誰も恋心は持ってないようだけどね」
こいつッ……!ナチュラルにフリやがったな。まぁ、恋してたらしてたで、どう転んでも俺が困っていたが。
取り敢えず俺は適当なベッドに座り、暇な時間をどう潰すかを考えることにする。
すると、すぐにドアが開き、4人目が入ってきたようだ。
「ご主人様、戻りましたよ〜……って、少尉?あー、少尉ですカ」
4人目の漣は一瞬、疑問符を浮かべたものの、腑に落ちたように頷いた。
「おや、驚かないんだね」
「まぁ、α大尉の艦娘がいないなぁ、とは思ってましたし」