「いや、それはいいとして、何で睨んでたし」
話が脱線しすぎたので軌道修正を試みる。
そもそも、質問はなぜ睨むのかだったのにあれだけ話を広げるのだから、それなりに勿体ぶるべきものなのだろう。
いや、むしろ、勿体ぶるということは聞いてほしくないことではなかったのだろうか。あまり深入りして欲しくないから適当に話をそらしたのだとすれば、謝ったほうがいいかもしれない。
「あぁ、それはね。彼がいい加減しつこかったからだね」
話を繋げた、ということは話したくないわけではないということでいいんだよな?
俺が目線で詳細を求めると、それが伝わったのか、α大尉は歩きながら話そう、と言って歩き始めた。
「彼は所謂、講和推進派なのだけれど、まぁ、今の戦況では非現実的だし、将来的にも無理な話でね。まるで夢物語のような思想を押し付けてくるのだから、話すのが嫌にもなるさ。まぁ、これには僕が目立ちすぎたからってのもあるんだけどね」
「ふーん」
ι少尉は言うほど変な人には見えなかったが、一応気に留めておこう。
それはそうと、α大尉と歩いてやってきたのは食堂である。食堂の前に置いてある掛け時計の短針は6の手前を向いており、俺らが使うことができるのには1、2分ほど時間がある。
ちょうどそこには例の5人組がいて、α大尉は爽やかにおはようと挨拶をした。
「あ、おはっス、少尉さんもおはようっス」
「え、あ、えはい。おはよう、ございます」
おい、挨拶してないのに挨拶するんじゃないよ、まったく。これだから陽の者は……。
そんな挨拶を交わしたあと、α大尉はどこかに行こうとしていたので付いていくことにする。
「あの、少尉くん。僕はトイレに行きたいんだけど」
「は?トイレ?あー、じゃあ俺も行くわ」
そう言って、α大尉についていきトイレに入る。こうすることであの5人組から離れることができるわけだ。
「あの、ここは男子トイレ何だけど」
「は?俺は男子ですが?」
何を言っているのかね、このα大尉は。俺は男だ。まぁ、体が女なので大きい方を使うが。
「いや、そうじゃなくてね。これだと、僕が艦娘を無理矢理連れ込んでいるって見られるから、そういう噂は極力流したくなくてね」
「あー、そういう」
なるほど、ということは時間差で入るべきか。
「じゃあ、俺が先に入るから、α大尉はその後な」
「ん?僕は大尉で君は少尉なわけだ。分かるね?」
こいつ……!まさかのパワハラか…!?
ふふふ、今の社会では上司の方が立場的に弱いということを教えてやろう……。
最近TS要素多め。