補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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霧崎視点です。


甲勲章の輝き

「艦これ!春イベ!」

 

 私が艦これを始めて、現世の時間ではおよそ5ヶ月。艦これ界では約一年の月日が流れた。

 そして、冬イベには練度的に参加できなかった私も、今春イベには参加することを決めた。とは言っても、私の春イベは世の提督の言う春イベとは一味も二味も異なる。

 

 元々、艦これ界に物理的に入ってしまえる為か、演習はいつまで経っても受けられなかったり、ランキングには名前がなかったり、任務が殆どなかったりしているが、イベントもその例に漏れず、甲乙丙丁の難易度選択がない。むしろ、敵編成から考えるに、強制的に甲作戦になっている。

 けれど、札がないかというとそうでもなくて、札的な機能は実装されている。しかもルート分岐もあるため、割と高難易度である。

 

 まぁ、ここまでなら普通の春イベだろう。だがしかし、ここからが違うのだ。

 まず、ゲージがめちゃんこに長い。それはもう、2桁の出撃では足りないほどに。

 そして何より、艦これ界の提督にとってはマジの戦争なので、ゲージが勝手に削れてたり、それぞれのマスの敵編成が大幅に変わっていたりする。潜水艦だと思っていってみれば、戦艦や重巡が出るだなんてことも珍しくない。

 

 つまり何が言いたいのかというと、

 

「……これ、普通に攻略できるかいな!」

 

 私だって……私だって、割と粘ったのだ。E1の1ゲージ目は頑張った。2ゲージ目の集積地棲姫も対地装備が二式迫撃砲と特二式内火艇しかないながらも、空襲での大破を撤退し中破で乗り越え半分まで減らした。けど、対地装備が圧倒的に不足している。基地航空隊の航空隊もまともに使えるのは銀河のみ。

 しかも、私は学生であり且つテスト期間であり使える時間は限られている。となると、この海域が突破できないのは火を見るよりも明らかである。

 

 よって私は、最後の切り札を切ることにする。

 

「アツメタブッシハ……ヤラセハシナイ。アツメタブッシハ……ヤラセハシナイ…」

 

 もう何回も聞いたセリフを吐きつつ、艦これ界にログインするために電源ボタンを押した。こうして、私の春イベ(リアル)は三日間で幕を閉じた…。

 

 春イベ(艦これ界)の幕開けである。

 

「あ、ご主人様、ようやくですカ」

 

「うむ」

 

 周りのリアルに血を流している他提督の艦娘から目を逸しつつ、急に鼻腔をくすぐる磯と硝煙の匂いに息を止めて、取り敢えず建物の中へと逃げ込む。

 この建物は所謂作戦基地であり、今作戦の重要拠点である。漣がそう言っていた。

 

 造りは簡易であるものの、実質寮のようなこの建物は受付で〇〇号室を使用すると言えば、簡単に鍵が手に入りその部屋を使える。いやぁ、マジで便利。誰でも簡単!提督になるだけで作戦期間中は無料で一部屋即貸切に!

……本当にこの海軍、大丈夫なのだろうか。貿易がほぼできない今の状況で、こんな大型の建築をするとか頭がおかしいのではなかろうか。いやほら、組織のガバさは挙げたらきりがないから一々言わないけれども。

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