補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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大船に乗った

 今、俺はどういう状況だ……?

 前には床、横には榛名。俺の腹が締め付けられる感覚と、榛名の仄かないい香り。

 その他諸々の状況から察するに、どうやら俺は榛名の脇に挟まれ抱えられているようだ。それも、まるで自分が羽毛ほどの軽さかと錯覚してしまうほどに軽々と持ち上げられている。

 

 この細腕のどこにそんな力が……と思ったが、それについては榛名の頭の金色の角のようなものと、背中にある大きな砲によって、彼女は艦娘であったことに気がついた。

 

「榛――」

 

「口閉じないと、舌を噛みますよ」

 

 榛名はそう言うと走り出し、ただでさえ人一人が限界の狭いドアを壁ごと殴り倒して俺と榛名が通れるようにし、背中につく砲塔でもう一回り壁を削り、その勢いのまま海に出た。

 俺はというと言葉の通りの激しい運動に舌を噛み、痛みに顔を引き攣らせていた。

 

「このような手荒な真似をしてしまいすみません。けど、もうすこし口を閉じておいて下さい。ι少尉の下へ急ぎます」

 

 どうやらι少尉もこの件について関わっているようだ。ブバッ

 ということは、ι少尉の意志で俺を連れ出したことになる。ブヘァ

 けど、なんのために…?ブベラッ こんな強硬手段に出るほどだ。モゴゴ 何か、それなりの理由がビシャァァ

 

 水が顔にかかるんじゃい!!

 

 砲がデカいだけでは飽き足らず、水飛沫まで大きい。榛名が相当勢いを出している為か、体中が水をかぶる始末である。

 しかもこの水にも勢いがあり、榛名の腕がなければ俺は波に飲まれ海の藻屑となっていたことだろう。むしろ、榛名の腕があるせいで水が大量に圧してくるのを逃げ場もなく受けなければいけないので、首とか腕とか圧し折れてもおかしくない。

 

 俺、ちゃんと生きてるといいなぁ

 

――――――――――――

―――――――――

 

「着きましたよ、少尉さん」

 

「」

 

 荒波に揉みに揉まれ、途中で出くわした深海棲艦との撃ち合いもゼロ距離でリアル体験をし、デカい砲は飾りじゃないことを見せつけられ、また荒波に揉まれ……俺は疲れた。しかも、寝落ちができないタイプの疲れである。

 

 そして、どうやら俺はどこかの島の港に辿り着いたらしく、整備されたアスファルトの上にびしょ濡れの状態で寝っ転がり、夏の熱さによって蒸発させる。と、それらしいことを言ってみたが、単純に疲れただけである。

 

「お、榛名、着いたようだね。少尉も……って大丈夫か?」

 

 どこをどう見たら大丈夫に見えるんだ、コラァ?こっちは疲れてるからすぐにキレて、すぐにどうでも良くなるぞ、コラァ?

 というか、話す気力とかホント無いんで、話しかけないで欲しい。あ、でも、風呂は入りたいんで、風呂を沸かしてもらえればと、思います。

 

「まぁ、取り敢えず、話だけ聞いてくれ」

 

 疲れてるから話の内容を覚える気力がない。いや、どうせ覚えるのだろうけど、話しかけてくるのは苦痛なんで本当にやめてほしい。

 

「確か、君はα大尉と繋がりがあるな?」

 

 そうだぞ。こちとら、α大尉の艦娘……あれ?今、少尉って呼んでなかったか?え、あれ?

 

「そんな君を――」

 

「あ、提督じゃん。おひさ〜」

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