無料で支給されるシャンプーやらボディーソープやらを使って、背丈にしては色々と成長している身体を洗う。別にどことは言わないが、存在感がある。うむ。なんというか、中学校で少し成長が早くて、男子からの視線を集めることもできるだろう。
とはいえ、実際に持ってみると大変なもので、あの二週間でも散々身に染みたが、胸が大きいと割と困る。
簡単に思いつくものだけでも、弾むと痛かったり、足元が見えなかったり、と男の頃にはない故に知らないことが多い。まぁ、所謂IカップだったりJカップだったりはしないので、体の動かし方を変えたり、首を前に出して足元を見たりすれば解決するぐらいの面倒臭さではあるが。
けれど、胸があると困るのはもっと別の理由だったりする。
それは、胸というのが基本的に脂肪で出来ていることだ。脂肪は筋肉ではないので維持をすることが難しく、すぐに容姿を変容させてしまう。胸はその効果が顕著で、重力に従って垂れていく。しかも、動けば服で擦れるし、靭帯が切れてさらに垂れるし、大変だ。
だからこそ俺はこう言いたい。
「ブラジャーは最高だ」
「え、きもっ」
別に卑しい気持ちなんぞ、持ち合わせていない。むしろ、これだけ精緻な機能性に尊敬にすら値する。
そんなことを考えながら、体を洗い終わり浴槽に入ることにする。
「ぅぇ、早くない?」
「別に早くないが?」
「いや、早いでしょ。もうちょっと肌に気を遣いなよ」
「夜更しするのは肌に悪いらしいぞ」
……おっと、いけない。温泉に浸かると脳死で会話してしまう。
女子との会話には肌と体重の話を振ってはいけないのだ。ソースは俺。
「私はドックでそういうの関係ないけど、提督は人間だし」
「チートかよ」
ふむ、ドックには美容効果まであるのか。確か、白露からは回復効果しか聞かされていないので、中々に人間くさい効能だ。
人間くさいといえば、今の川内は幾らか俺から離れた浴槽の縁に座っており、胸とか股間とかを隠している。……川内よ、そっちの方が興奮する輩もいるんだぞ。俺のようにな……。とはいえ、それで理性を失っているなら、俺は自分の裸にすら興奮するだろう。
「というか、白露と神通は?」
「妹と一緒に提督を入らせるわけには行かないでしょ。ほら、神通って恥ずかしがり屋だから。それと白露とは喧嘩中じゃん」
「えー、まだあれは続いてんのかよ」
俺はもう何で殴られたのか覚えてないぞ。
「そりゃあね、白露が殴ってなかったら私が殴るとまではいかなくても怒ってたね」